執拗
ここまでやっても抵抗しない少女に気をよくした男は、彼女の体をべろべろと舐めまわし始めた。怖気の走る感触に玲那の体が総毛立つ。さらに男は、彼女の唇まで奪い、口の中に舌をねじ込んできた。それにさえ抵抗できず、玲那は成すがままになった。彼女の口の中を、男の舌が執拗に
吐きそうなくらいの嫌悪感を感じているのに、やはり玲那にはどうすることもできなかった。暴力を恐れるあまり竦んでしまったというのも最初はあったが、今ではもう、自分に降りかかった状況があまりにも意味不明で彼女のキャパシティを超えていて、脳がそれを処理しきれていない状態だったと思われる。なのに、
「オジサンとのキス、そんなに良かったかな? オジサンも、れいなちゃんとのキスでもう我慢できなくなっちゃったよ。だから、れいなちゃんの初めて、全部オジサンがもらってもいいよね…?」
男は確認するようにそう訊いてきた。実に身勝手極まりない発想である。実際には玲那には既に男の言葉自体が届いていなかっただけだ。何か言ってるのは分かるのだが、何を言ってるのか意味が入ってこないのだ。それだけである。
なのに、彼女の沈黙を承諾と解釈し、男は幼い彼女の体を抱えるようにして板間の床に寝かせ、男の腕とそれほど変わらない太さしかない太ももを掴んで大きく広げさせたのだった。そのあられもない格好に、男の心臓はドンドンと殴るように鼓動を刻む。これまでに味わったことのない興奮を感じ、男の思考も停止した。後はもう、ぎりぎりと肉体を軋ませるほどに膨れ上がった欲望にただ突き動かされていただけだった。
しかし、ここまできてようやく、これ以上はダメだと本能的に察した玲那が、
「や…だぁ…こわいぃ……」
と、文字通り蚊の鳴くような声でそう訴え、男の体を押し退けようとした。少女にできる精一杯の抵抗であった。だがそれすら、男にとってはただのスパイスにしかならなかったらしい。
「あ…つ…っっ!」
男がぐいっと体を押し付けてきた瞬間、玲那は、焼けた金属の棒でも刺されたのかと思った。そうだ。<挿入>などではない。文字通り<刺された>痛みだ。それを、少女の脳が熱さと誤認したのだ。その途端、ぼろぼろと涙が溢れた。知らない男に尖った鉄の棒か何かを腹に刺されて自分は殺されるのだと彼女は思った。何一つ楽しいことのない、苦しくて辛いだけの短い人生の最後がこれだとは……
「……」
後はもう、それこそ何も考えられなかった。自分は串刺しにされて殺されてしまったと思い込んだ彼女は、考えることを止めてしまっていた。そんな中でも痛みなのか熱さなのかよく分からない感覚はずっとあったが、それすら『死んだらこうなるんだ…』くらいの認識でしかなかったのだった。
憐れな少女の体は、人形のようにぐったりとなっていた。
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