おぞましい

「あららあ、お漏らししちゃったねえ。大変だ。すぐに着てるものを脱がないと」

 男はそう言いつつ、玲那が着ていたワンピースの裾に手を突っ込んで、下着に手を掛けた。

「…あ…っ」

 脱がされようとしていることに気付いた彼女は小さく声を上げて膝を合わせ抵抗を試みたが、男の目がギラリと光るのを感じ、幼い体は強張った。暴力の気配を察知し、彼女は無意識のうちにそれ以上の抵抗を諦めてしまっていた。両親からの暴力を避ける為に身についた習性が働いてしまったのだ。

「ん…む、おっと……でも、これはこれで…いい……!」

 玲那が漏らした小便の所為でスムーズにはいかなかったが、それが逆に男の興奮にさらに火を注ぐ結果になった。

「よっしゃ…!」

 ぐしょぐしょの下着をようやく脱がせて床に放り出し、男はワンピースの裾を掴みそれも脱がせた。ワンピースと下着しか身に付けていなかった玲那はそれだけでもう身を守るものをすべて失ってしまった。

「っはははは! すごいね、れいなちゃん」

 男の顔は真っ赤に紅潮し、下衆以外の何物でもない歪んだ笑みを浮かべながら玲那の股間を凝視した。

「……!」

 それでも彼女は抵抗しなかった。いや、できなかった。恐ろしくて不快で気を失いそうなほどにおぞましいのに、体が動かないのだ。

『こわい…こわい……こわいよぉ……!』

 下手に抵抗するともっと酷い目に遭わされるという恐怖が勝ってしまっていたのだろう。

「いい子だね、れいなちゃん。それとも前からこういうことに興味あったのかなぁ?」

 恐ろしさで抵抗できないだけの彼女に対し掛けられた言葉は、あまりに下劣かつ卑劣なものであった。しかし男はそんな自分にさえ酔い、少女を己の支配下に置いている状況だけで果ててしまいそうになる自分を必死に抑えていた。

「すごい、すべすべだ。すごい…!」

 ほぼ思考停止の状態にある玲那の体を男は撫でまわし、その感触を存分に味わう。皮肉なことに、まともに食事がとれるようになったことで彼女の肌は潤いを取り戻していたのだ。以前はもっとカサカサして手などはそれこそ酷く荒れていた時期もあった。

『や…だぁ……! やだ……ぁ……』

 また、彼女にはこの時、性に関する知識はまだ殆どなかったが、自分がこれからとんでもない目に遭わされるのだということだけは本能的に察していた。なのに、やはり体が動かない。それどころか思考すらまともに機能しない。

 まだ十歳にもならない少女には、自分自身の身さえ満足に守れる力がなかったのである。

 彼女の両親は、そんな自分の娘を守ろうともしなかったということだ。


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