第2回『王になった男』2019年 韓流ドラマ感想

 以前、イ・ビョンホンさん主演の映画版を観たことがありましたが、今回はドラマ版で、当時まだ21歳だったヨ・ジングさん主演の『王になった男』の感想を書きたいと思います。


 まず感想で、良かった!や、感動した!は語彙力ごいりょくの無さを露呈ろていするので言わない方がいいと書かれているものを読んだことがありますが、しかし、本当に人が感動する作品を観た時は、この一言しか出てこないものですね。


 本当に感動しました!(懲りずに言います)作品の素晴らしさもありますが、子役から活躍されていたヨ・ジングさんの演技の上手さや凄さは言葉では言い表せない程素晴らしいです。


 特にこの作品では一人二役を演じなければなりません。それも王様と賤民せんみん(旅の道化の仕事をしている)ですので、それぞれの性格や生まれの違いを表現することがどれほど大変か計り知れません。



 作品のネタバレは避けたいと思いますので、あくまでもあらすじと私の感想だけですが、映画版の大人のイ・ビョンホンさんの暴君役と、ドラマのヨ・ジングさんの常軌じょうきいっした若い狂気の王とは違い、映画版の方では大人ならではのふてぶてしさや狂気が感じられる怖い暴君ですが、ドラマのヨ・ジングさんは、若い王だからこその自信のなさや経験のなさ、人を信じられず常に怯え、敵味方の判断もつかず周りに振り回されて身を滅ぼしていく危うさも巧みに表現されていたと思います。


 今回はドラマ版を観た感想を書きたいと思います。




 ヨ・ジングさんは、以前観た『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』で知りましたが、本当に演技の上手な俳優さんだなぁと漠然ばくぜんと思っていただけでしたが、今回『王になった男』を動画配信サービスで観て、演技が上手いだけではなく、人を惹きつける笑顔の魅力と、表情の豊かさ、涙に嘘のない演技に惹き込まれ、みるみるうちに彼のファンになってしまいました!


 周りを固めるベテランの俳優陣はもちろん私には評価する資格などないほどの素晴らしい方々で、自然な演技で迫力もあり、思わず前のめりの釘付けで観てしまうほど世界に引き込まれました。


 これこそがプロの役者さんというものなのだ、と改めて韓流ドラマの俳優さんたちを賞賛させて頂きたいと思います。(もちろん日本の俳優さんたちも素晴らしいですが、今回は韓流ドラマの感想ですので悪しからず願います)




 公表されているあらすじのみ書きますと……。

 旅の道化どうけのハソンは、狂気の王イ・ホンと瓜二つの顔を持っています。

 まともな判断の出来ない王のため身代わりにされたハソンでしたが、すでに荒れ果てている政治に翻弄されます。またハソンは数々の命の危険に遭いますが、自分を王の身代わりにした側近の都承旨トスンジイ・ギュとの関係にも変化が。


 本物の王様で狂気のイ・ホンを冷たくあしらっていた王妃ソウンでしたが、ハソンが成り代わった純粋な心を持つ王様に次第に惹かれていく二人のラブロマンスも見どころの1つです。


 また、都承旨トスンジ(承政院の最高責任者)、内官、武官、算員の指導者の、王様を取り巻く4人の臣下の年上の男性たちとの関係性にも注目です。


 


 とにかく狂気の王イ・ホンのときは、麻薬に侵されている危なさをみせる演技で、目は血走り表情も冷酷で、常に刺客しかくに怯えながらも威厳を見せたいため落ち着きもありません。父王に愛されず乳母もつけられなかったため、生まれたばかりで初めて口にしたのがわかめスープだったという……。父王が亡くなると、その恨みからか弟を殺して玉座に着きます。落ちぶれてもまだプライドを捨てられない哀れさを表わす演技には、悪役ながらつい涙してしまいました。


 しかし、一方ハソンの演技になると、優しい潤んだ瞳と口角の上がった白い歯が印象的なチャーミングな笑顔と、どことなく道化のイメージの抜けない明るい表情で演じられ、観ているこちらがホッと安心できるほどの包容力すら感じました。



 このお話は1人の未熟な若者の成長ストーリーとも言えると思います。

 まだ若かった(今も25歳と若いですが)ヨ・ジングさんの見事な演じ分けに心から感動しました!





 ぜひまだ観ていない方や興味のある方にオススメの、泣き笑いと感動のできる作品だと思います!



 最後にまたヨ・ジングさんについて書きますと、彼の堂々とした立ち振る舞いと、惜しむことなく流す涙、怒りに任せ荒れ狂う狂気の演技には、彼の未知数の演技の幅の広さを感じました! これからも目が離せない役者さんですね!



 そして、王妃役のイ・セヨンさんの上品な美しさに惚れました✨美しい王様役のヨ・ジングさんとの並びはこれ以上ないほどお似合いで、後光が差しているように輝いていました。




 また、架空の時代劇でありながら、少しも違和感なく、豪華な衣装や宮廷のセットに目を奪われ、美しい韓国の山や海の景色も楽しませていただきました。

 さっそく観たくなったと思っていただけたら嬉しいです❣️





 ****** 追記 ******


 さて、ここからは私の妄想と想像だけの考察ですので、このドラマの主旨や原作者さんの意図するものとは違いますので、どうぞご了承ください。既にドラマをご覧になった方に向けて書いております。




 私が思う、狂気の王様イ・ホンと道化師ハソンは、実は実の兄弟、つまり双子だったのではないか? と推測しました。

 その昔は多胎児たたいじと呼ばれ忌み嫌われていた時代があったそうです。今では双子や3つ子はとても羨ましいくらいですが、昔の日本でもそうですが、生まれた双子のうち1人は捨てられるか、命を奪われてしまうこともあったことに驚きます。


 つまり、もしかするとハソンは前王の世子せじゃ(王位継承者の王子)で双子の1人だったから山に捨てられたのでは? それを旅の道化人たちに拾われ育てられたのではないか? と。


 側近や王妃さえ見分けがつかないほどそっくりなら、それも有り得る気がしました。

 そして、予想の根拠の1番は、ハソンの能力の高さです! 彼は旅の道化なので貧しい暮らしで、学はありませんし、もちろん読み書きも習っていません。それが、宮に入ってから努力で漢字も読めるようにします。

 大臣たちとの謁見えっけんや王家のしきたりも、賢く機転を利かせて臣下の疑惑をかわしたりと、その頭の良さは道化らしくありません。


 また、一昼夜では身につけられない気品が彼にはあります。王様を演じている割には、元々遺伝子に組み込まれていた気高さが功を奏したのでは? と思うほどです。

 つまり、彼もやはり本物の王族だったのでは? とまでついつい妄想してしまいました。


 レオナルド・ディカプリオの『仮面の男』をご存知ですか?

 あの映画は、正にこの『王になった男』の元になっているのかな?と思いました。


 もちろん、『王になった男』では最後まで、ハソンは道化の出身として描かれていますので、これは当てはまらないかもしれませんが、私個人としては、あの心根の優しく、賢い、謙虚で本物の王を超える裁量の持ち主のハソンが、王族であって欲しいという夢の妄想に浸っております!


 皆さまは如何いかがご覧になられたでしょうか? 色々な想像をさせてくれる本当に素晴らしいドラマだったことだけは真実ですね❣️


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