011.君がエルフで主がオレで~最初の『おつとめ』~

いつもありがとうございます。


少し短いですが、次が次なのでお察しいただけると嬉しいです……。

長身エルフっ娘はいいゾ

――――――――――――――――――――――――――――――――





「あ……――が、おめ――――ますよ」


「そのよう――――ますね。ある――ま。主様……」


 力尽きて深い眠りの底にあったオレの意識は、耳心地の良い話し声によって現実へと復帰していった。


「……ん……ぁ……」


 『主様』って誰のことだ……なんてボーッとする頭の何処かで疑問を覚えつつ、目を開けば……。


「ふふっ……おはようございます、マスター」


 視界の半分にはシラユキの慈愛に満ちた微笑み。


 そして……。


「あっ……主様、お目覚めでございましょうか……?」


「……おぉ……!」


 もう半分には、オレが思い描いた理想の美エルフな新しい嫁が微笑む姿があった。


 サラサラとベッドのシーツの上に流れる明るい金色の髪は自らが発光しているかのように輝かしく、シラユキに膝枕をされて寝ているオレを覗き込むためにベッドに手を付き半身を横たえたその裸体は、『これが女神か』と言っても誰もが信じるような神々しいほどの美しさだ。


 こうして目の当たりにすると、自分で手掛けたはずなのにその美しさに思わず感嘆の声を上げてしまった。


「主様……? どうかいたしましたか?」


「いや、なんというか……すごいな。生まれてきてくれてありがとうと言いたくなるほどだ……」


 その現実離れした美しい存在が現実のものであるかを確かめるように、オレは手を伸ばしてその頬を撫でる。


「んっ……ふふっ。わたくしこそ、こうして主様に生み出していただき、主様のお傍にいられることを光栄に思いますわ」


 オレが触れると少しくすぐったそうにした美エルフな彼女は、そのまま頬に触れるオレの手にそのしなやかな手を重ねるとそう言って目を細めた。


 思い描いた通りの物腰穏やかな口調で、さらにオレが考えうる限り一番美しい声でそんなことを言われて、嬉しさと愛しさが湧き上がってくる。


「あぁ……そうだ、お前の名前は――――ユミネ。ユミネ・サクラだ」


「ユミネ……それがわたくしの名前……素敵なお名前をいただきありがとうございます、主様っ!」


「よかったですね、ユミネ」


「はいっ!」


 オレが与えた名を噛みしめるように繰り返すユミネを見てシラユキがそう微笑みかけ、ユミネもシラユキに向かって嬉しそうに満面の笑みを向けている。


 なんとも眼福な光景じゃないか……。

 シラユキの純白とユミネの白金が視界いっぱいに広がり、オレの世界を明るく照らしているかのようだ。


 いつまで見ていても飽きない自信があるが、今は話を進めなければならない。


「ユミネ。オレが寝てる間にもう話したかもしれないが……一応紹介をしておくと、こっちはシラユキ。お前の姉に当たるオレの嫁だ」


「はい、よろしくお願いいたします。では……ユキ姉さまとお呼びしてもよろしいでしょうか?」


「ええ、もちろん良いですよユミネ。……ふふっ、妹ができるというのはこういう感覚なのですね。なんだか嬉しいです」


「く、くすぐったいですユキ姉さまっ」


 オレに膝枕をしているシラユキが嬉しそうにユミネの頭を撫で、ユミネは少し恥ずかしそうにしつつもそれを嬉しそうに受け入れている。


 お、おお……見える、オレには見えるぞ……百合の花が見える……!


「一緒にマスターを支えましょうね、ユミネ」


「はいユキ姉さま。……主様、この身はずっと主様と共にあることが一番の喜びでございます。どうか末永くよろしくお願いいたしますわ」


「ああ、もちろんだ。今日からお前もシラユキと同じく、オレの大切な嫁だ。オレはユミネを絶対に離さないし、ずっと愛すると……ずっと守り抜くと誓おう」


 オレは半身を起こすと、生まれてきてくれた新しい嫁に愛しさを込めて誓いの言葉と共に軽く触れ合うようなキスをした。


「んっ……!」


 ほのかに頬を染めたユミネはそっと目を閉じてそれを受け入れてくれて……次に目を開いたときにはその瞳を僅かに潤ませていた。


「嗚呼……主様……主様のお気持ちが伝わってまいりました……。いま、わたくしの胸の内は主様がどれだけわたくしを想っていただいているか……この身に注いでいただいた愛情でいっぱいでございます……」


 ユミネには創った時点までのオレの記憶データを与えているが、シラユキと同じようなリアルタイムで――感情までも――共有ができるようなアクセス権を付与していない。

 シラユキのときはよく考えずにアクセス権を与えていたが、本来ならばあまり良くないことらしい。


 それでもこうして触れ合うことで想いを伝えられるなら……オレにとっては何の不都合もないだろう。


 シラユキが特別なだけで、愛する者同士が『触れ合う』ことで想いを伝えるというのは、人間としてごくごく普通の行為だからな。


「綺麗だ、ユミネ……もっと近くで見せてくれ……声を聞かせてくれ……」


 言葉でだって、いくらでも伝えられる。


「はいっ……喜んで……! いくらでもご覧ください、お聞きください、主様……」


「……ふふっ、マスターはとても喜んでいますよ、ユミネ」


「そりゃあ、そんな嬉しいこと言われたらな……シラユキもそうだが、ユミネもオレにとって良く出来た嫁だ……」


 頬を染めながらも美しい満面の笑みを見せてくれているユミネと、釣られて微笑んでしまうオレ。

 そしてそんなオレたちの様子を微笑ましく見守っているシラユキ。


 自分で創り上げたものだが、また夢が叶ったと思える瞬間だ。


 いや、この後のことを考えると……まだまだ叶ったと言うには早いか。


 さっきから嬉しいことばかり言われてオレの胸の内もいっぱいになっているし、美しい裸体を目の前にしてオレのオレも『新しい嫁さん相手でも万全でっせ』と主張をし始めている。


「ありがとうございます……その、主様……」


「……ああ」


 当然だが、身を乗り出しているユミネにもそれはバレバレで……頬を染めてそう言いながらチラチラと見られていた。


「わたくしは、主様からいただいた想いにお応えしたいです……ですから、その……最初の『おつとめ』を、させていただけますか……?」


「ユミネ……生まれていきなりになるが……いいのか……?」


「はい……正真正銘、わたくしを主様のものにしてください……ご存分に、ご堪能ください……」


 い、言い方っ……! それは、ヤバいだろ……!


 瞳を潤ませてそんなことを言われては……オレのあってないような理性が吹き飛ぶには十分すぎた。


「ユミネっ……!」


「んんっ……! ちゅっ、んぅっ……!」


 溢れ出した想いと欲望に忠実に……オレはユミネを引き寄せると、その瑞々しい唇を存分に味わっていくのだった……。





――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき

お読みいただき、ありがとうございます。

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ファンタジー世界を舞台にTS主人公が女学院で繰り広げる恋愛話もしっかりめのイチャラブも連載中ですので、合わせてお読みいただけると大変嬉しいです。

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https://kakuyomu.jp/works/16817139554967139368


次回、「ファースト・ナイト~ユミネ~」

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