007.嫁(船)を動かすための嫁(船員)?~お前がNo.1だっ!~

まえがき

いつもありがとうございます。

本日で連載開始から7日目!

もう少しストックがあるので明日も更新いたします。

引き続きよろしくお願いいたします!


小ネタ挟むの楽しいです(歳がバレる)

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 それからさらに、数日が経った。


「ふおぉぉぉ……!」


 オレとシラユキの愛の巣と化している特別制御室で、オレの心の底から漏れ出た感動が……よくわからない叫びのようなものになって口からも漏れ出していた。


「えへへ……マスターからいただいたこの服、いかがでしょ――」


「完璧だっ……! 完璧以外にあり得ないっ! パーフェクト!」


「――うか……ふふっ、ありがとうございます」


 自分の格好を確認するように身体を捻っていたシラユキの問いにオレが食い気味で答えると、シラユキに可笑しそうに微笑まれてしまった。


 ここ数日の間は……結局、起きて飯食ってイチャイチャして、イチャイチャして寝て起きてイチャイチャして……と、イチャイチャしっぱなしでぶっちゃけシラユキは裸のままだった。もちろんオレもだけど。


 誰が悪いというとオレが悪いんだが、目を開けばシラユキの理想のボディがさらけ出されている状況はオレの我慢が保たない。


 そんなこんなで、ようやくシラユキ用の服を創って着せてみたのだが……。


 あぁ……オレの目の前に天使がいる。

 天使のように微笑む夢の猫耳メイドがおるでぇ……。


 オレがその姿を穴が空くほど見つめても、シラユキは微笑みながらオレが見やすいように佇んでいてくれる。


 シラユキが着ているメイド服は、日本にいたころなら完璧にコスプレに見えるだろうか?


 もしくはえっちなお店でそういう目的で着られるような……要はミニスカートでフリフリで胸元も背中もパックリと開いているタイプのものだ。

 こんな格好ですることといったら夜のご奉仕しかありえん。


 何も知らないやつに聞いたら『ド●キで売ってそう』とか言われそうだ……。


 とは言ってもオレが創り出したものだから、サイズは細部までシラユキに合わせてあるし既製品などには負けない生地の良さとデザイン性を誇っているがな!


 色は白と黒を基調にしている。

 他の色が悪いとは言わないが、メイド服と言ったらやっぱり白黒だろう。


 前述の通り胸元は大きく開いているが、シラユキの形の良いおっぱいの谷間が少しだけ見えているという絶妙な開き具合。

 胸部分は柔らかめの生地でできていて、乳袋になってしまわないように意識した。

 袖は短く、背中は大きくV字に開いている。普段は髪で見えないだろうが、不意に見える背中がそそるであろうこと間違いなしだ。


 袖口と胸元や首元・エプロン部分にはフリルがあしらわれ、ふわっと広がったフリフリのスカートの後ろからは、フワフワの尻尾とサラサラの白髪が覗いている。

 足には白のガーターベルトにフリル付きの膝上ハイソックス。これも外せないよな。


 ちなみにちゃんと下着も用意した。

 女物についてのオレの知識と欲望を総動員して創ったのは、シラユキのイメージにぴったりの純白のブラにショーツ。


 可愛らしいリボンがついたものや、レース生地でできたスケスケのエロいものまで、何セットも用意してある。


 オレは詳しいんだ。


 そして最後に、オレの手にあるヘッドドレスを乗せれば……。


「ふぉぉぉ……! やっぱり似合ってる……似合いすぎてるぞシラユキィッ……!」


「ふふっ。マスターに喜んでいただいて私も嬉しいです。マスターも、とてもお綺麗ですよ」


「フフ……そうだろう? メイドなシラユキに合わせてお嬢様風にしてみたんだ。さすがオレ、着こなしも美しくて完璧だ」


 今のオレはちゃんと服を着ている。


 落ち着いたフリル付きのブラウスに、ハイウェストのスカート。髪もツーサイドアップでまとめていて、『清楚なお嬢様といったら』というイメージを完璧に体現したコーディネートだ。

 シラユキに褒めてもらって気分を良くしたオレは、ニーソに包まれた美脚を組み替えてふんぞり返ってみせた。

 上体をそらしたことで胸元が揺れ、オレにとってはその慣れた重みがとても落ち着く。


 オレとしたことが、これまで胸を付けることさえ忘れていたからな……。


 今のオレはシラユキよりもサイズは小さいが、形の良さに全振りした美乳な偽乳を付け、その上からブラをしている。

 もちろんこれもMCで創った。


 日本ならシリコン製がせいぜいだったが、そこは未来。

 生体移植や機械生命の製造目的でそういう技術も進歩しているらしく、カタログを見ながら創った偽乳は本物と変わらない肌触りで、付けているというよりは元からそこにあったかのような違和感の無さが素晴らしい。


 その違和感のなさの正体は素材にあるらしく、常にオレの体温と同じ温度に保たれているらしい。

 さらに無駄に高性能なのが、触ると脳内で触覚まで再現されることだ。流石に性感帯は再現しないように設定したが。


 オレはあくまで男の娘として女になりきっているだけで、女そのものになりたいわけじゃないからな。

 そうじゃなきゃとっくにチョッキンしてるだろう。


 さて、余談が過ぎたが……要は今の俺達の格好は、『お嬢様とメイド』なわけで。

 オレの手によって作られたこの部屋の雰囲気にもマッチしている。


「なぁシラユキ、せっかくだからちょっとポーズを取ってみてくれ。こんな風に……」


「はい、かしこまりましたマスター」


 ふと思いついたオレは、自分の記憶から復元した映像データをシラユキに送った。

 目線が空中を彷徨うようにしているから、きっと網膜に映し出して確認してくれているのだろう。


 フフ……今のオレの身体は超便利マシーンだ。

 オレが見たものや記憶しているものを映像や画像に起こすことなど造作もないし、逆に見たものを保存しておくこともできる。


 つまり、これからオレの目の前で繰り広げられるであろうメイド姿のシラユキのスクショなど、いくらでも保存できるというわけだ!


「ではいきます……こほんっ」


「ああ、やってみてくれ」


 オレはまたひとつ妄想が現実になる瞬間を見逃さないように、ワクワクしながら居住まいを正したシラユキの姿を見つめた。


 シラユキはオレが見せた通りにその場で優雅にお辞儀をすると……。


「何なりとお申し付けください、ご主人様♡」


 天使のような輝く微笑みで、映像では『お嬢様』だったところを『ご主人様』にアレンジしてくるという暴挙に出やがった……!


 しかもオレのことを好いてくれている感情まで盛々だ。


「――――」


 オレは完全に破壊力抜群のそれに頭をやられ……。


「あ、あの……マスター? 私、何か間違っていたでしょう――――んんぅっ!? ぁんっ……♡」


 せっかく着せた服を脱がすことになってしまった。



*****



 い、いかん……このままではいかん……。


『……はぁっ……はぁ……』


 オレは部屋に併設したトイレに座りながら、自分を戒めていた。


 扉の向こうでは、ベッドに横たわるシラユキが息を整えていることだろう。


 メイドなシラユキが可愛すぎて、またハッスルしすぎてしまった……。


 裸じゃハッスルしすぎるからと服を着せてみたが、それでもシラユキは似合いすぎて可愛すぎて……つまりは人のせいにしてないでオレ自身が自制を覚えないと、このままではオレはえっちしかしないダメ人間になる気がする……元から真人間のつもりはないが。


 うーん……特に目的もないし、爛れた生活でも問題はない気もするが……って、いかんいかん。


 目覚めてから3大欲求を満たすことしかしてない……しかもその中で性欲が大半を締めているのは確実だ。


 服を着ている時間よりも裸で過ごしている時間のほうが圧倒的に多いし、未来に来たというのに昔の生活よりも文明レベルが原始時代くらいまで退化してるぞオレ……。


 あと、オレにとって問題なのが、女として振る舞っている時間がないことだ。


 シラユキを前にすると、完璧美人で美少女なオレもただの男になってしまう……のはもう仕方がない。

 男の娘だって狼なのよ? 気をつけなさい。狼は牙を剥く、そういうものよ。


 ただいくら仕方ないといっても、オレのアイデンティティである完璧な女を演じる自分になる時間が、このままでは全く無くなってしまう。


 頭の中をピンク色から少しは別の方向に向けないと、ヤバいのだ。


「ふぅ……。……そういえばオレ、未来に来てまでも引きこもりやってるな……」


 水も流れず出したそばから分解されていくという未来のトイレで『これからどうしようか』と考えていたオレは、スッキリした途端にふと気がついたことがあった。


 オレとシラユキの愛の巣になっている特別制御室、艦長席に座っただけのブリッジ、そしてここのトイレ。

 オレが目覚めてからの活動範囲はたったこれだけだ。


 気を紛らわせるためにも、オレが今いるこの船を探索でもして……。

 そう、嫁であるシラユキのもうひとつの身体のことをもっと知らねばなるまい!



*****



「――ということで、この船のことを何にも知らないことに気づいてな。色々と聞きたいんだが……いいか?」


 色々な液体で汚れた身体を綺麗にしてから新しい下着とメイド服を身に着けたシラユキに、オレはお嬢様っぽく紅茶入りのティーカップを手にしながらそう提案してみた。


「はい、もちろんです……! 嬉しいですマスター、もっと私のことを知ってください……♡」


 そうか、ならもっともっとベッドの上で……って、いかんいかん。そうではない。


「あ、ああ……そういえば、この船ってどこかに向かってるのか? この前ブリッジで見たときには、動いているようには見えなかったんだが……」


「いいえ、どこかに向かっているということはございません。マスターがご覧になられた通り、当艦はこの座標……フィーデン自由銀河連邦領の外縁部から少し外れたところにあるA2V6-6星系は第四惑星の衛星軌道上で相対速度を固定し……」


「…………」


「……ええと、星間国家が存在する方向を宇宙の中心と考えた場合、常に惑星の裏側に入るように……うーんと……簡単に言いますと、この宇宙の中でもすごく田舎で人が中々来ないようなところに隠れている状態です」


「……ありがとう、最後のでようやくわかったよ……」


 シラユキはオレと宇宙の地図らしきものを共有しながら、シラユキなりにしっかりと説明をしてくれようとしていたのだろうけれど……。

 オレの顔を見て理解が追いついていないことを確認すると、その後はどんどんと表現が優しくなっていった。


「す、すみませんマスター……」


「いいや、シラユキは悪くない。オレの知識がなさすぎるだけだからな……」


「お気遣いありがとうございます……ところで、そうお尋ねになられるということは、マスターはどこか行きたいところがおありなのでしょうか?」


「うーん……特にはないな。今わかっただろうけど、オレにはどこに何があるかとか、どうやって行ったら良いかなんてさっぱりだし」


 MIM-NETで調べれば色々と分かるのかもしれないが、何から調べて良いのかさえオレにはわからん。


「そもそも、この船は動かせるのか……? オレが目覚めるまでずっと動いてなかったんだろう?」


「おおよそ問題ございません。この船は私そのものでもありますので、私がこうして稼働……生きている以上は動かせます。しかし……以前とは私の状態が変わりましたので、実際に動かしてみないことには自信を持って『大丈夫です』とは言えないのですが……」


「2つの身体があって、別々に動かすのはできなくはないが難しい……ってことか?」


「はい、そうご認識いただいて問題ないかと。マスターに愛していただき調整液をいただいた影響は船としての私にも適用されておりますので、性能には自身がありますよっ!」


 そう言ってシラユキはメイド服の短い袖から出ている細腕で力こぶを作ってみせたが、どう見ても見た目は全然変わってない。

 ただの『ドヤ顔が可愛いオレの嫁』だった。


「ただ申し訳ございませんが、今言いました通り私が動かすのにはまだ不安がありますので、船の性能を十全に発揮するためにはをご用意いただくのが良いかと思います」


「専門のクルー、か……」


 そういえば某週刊誌の海賊漫画でも、船長が航海のために役割を持った仲間を集めてたな。

 海の上を進むのというだけであれだけの船員がいるなら、宇宙だともっと専門性のある船員が必要なのだろう。


 それにしても……。

 オレのアレは、シラユキの……目の前にいる嫁な身体だけでなく、船そのものの性能まで強化してしまうとか……どんだけすごいんだよ。

 どこかどうなってリンクしてるのやら……。


 まあとりあえず、この船を動かそうと思うと今のままでは難しいことはわかった。

 とは言っても、いったいどこでそんなありったけの夢をかき集めれば良いのかわからんが……。


「……ん? まてよ? 『専門のクルー』を『用意する』って言ったよな? それってもしかして、創っても良いってことか……!?」


「はい、もちろんですマスター。人員不足に陥った船では船員を生み出して補充するということはよくあることです」


「マジか……もちろんなのか……」


 『足りなければ作っちゃえ』って、そりゃそうだしできちゃうのがこの宇宙だけどさ……。


 純粋な目をしたシラユキにそう言われると、もうちょっと思うところがあっても良いのではないかと思ってしまう。


「その……もしオレがそのクルーを創ったとして、絶対に嫁が増えることになるが……シラユキはそれでいいのか?」


「……? なぜでしょう……?」


 うぐっ……だからそんな真っ直ぐな目で見られると、オレのなけなしの良心が痛むってば……。


「シラユキはオレに嫁が増えても……オレが他の女も囲うことになっても良いのかってことだが……」


 もしシラユキが他の男とも……なんて言い出したらオレなら嫉妬で狂う自信がある。

 てか死ぬ。そんなのもう生きてられないぜ……。


 クソがつくほど身勝手なのは分かってるが……それが本音なんだからどうしようもない。


「はい、何も問題はございません。マスターがそれでお喜びになられるなら、私にとっても嬉しいことですので」


「お……おぉ……?」


 しかしシラユキは――オレの嫁は……オレの妄想以上によく出来た嫁だったようで、『オレの喜びこそが私の喜び』と曇りのない笑顔で言い切った。


「私がマスターの手によって一番に生み出していただいた事実に変わりはありませんし、マスターでしたらどれだけ他のお嫁さんが増えたとしても私のことも大切にしてくださることは分かっていますので……ふふっ、ですので問題ございません」


「シラユキ、お前はなんて……オレにとってどこまでも最高の女なんだっ!」


「んんぅっ……!? ちゅっ……くすっ……ありがとうございます、マスター」


 思わず抱きしめてキスしてしまった。


「オレのほうが礼を言うべきだよ……まったく……」


 オレのことを一番理解してくれていて、全てはオレのためと言ってくれるシラユキはやはり最高の嫁で、この先にオレがどれだけの『理想の嫁ハーレム』を築いたとしても、シラユキがオレの一番であることに変わりはないだろう。


「よしわかった、そこまで言うなら嫁を……船員を増やしていく方向で動くぞ?」


「はい、マスターのお望みのままに」


「ただお前が言ってくれたように、シラユキがオレの一番であることに変わりはない。今後に創る嫁は、お前の妹という立場にしよう」


「わかりました。これから家族が増えるってことですね? 楽しみです」


「おいやめろ」


「え……?」


「い、いやすまん……なんでもない。うん、そうだな。オレとシラユキと、生まれてくる嫁たちで……家族だな」


「マスターにも家族と言っていただけるなら……とても嬉しいです」


 オレがつい定番のツッコミを入れてしまって不思議そうにしていたが、家族という言葉を噛みしめるように口にしながら……ぎゅっとオレに抱きついてきた。


「あぁ……これからもよろしくな」


「イエス、マイマスター♡」


 あぁ可愛いなコンチクショー!


 これは……シラユキと明るい家族計画についてじっくりしっぽり、ベッドの上で語り合うことが必要なのでは……って、いかんいかん。


 シラユキの笑顔にやられてまた脳内がピンク色になってしまいそうだった。


「そ、そうだな……どんな嫁――クルーが必要かどうかは……実際に船の中を見ながら決めるか。案内してくれるか?」


「かしこまりました。では、まずはブリッジへ行きましょう」


「わかった」


 まさしくメイドのように控えめにオレを先導するシラユキのお尻を……いや尻尾をなんとなく眺めながら、オレは特別制御室から出るのだった。







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あとがき

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ファンタジー世界を舞台にTS主人公が女学院で繰り広げる恋愛話もしっかりめのイチャラブも連載中ですので、合わせてお読みいただけると大変嬉しいです。

作者情報または下記URLよりどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/16817139554967139368


次回、「船員(嫁)選びと船(嫁)の構造~ただし推進エネルギーは●から出る~」

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