003.食料確保と魂の産声~始まりのカレーライス~

お読みいただきありがとうございます。

連続投稿三日目です!

引き続きお楽しみください。

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 実際に見える景色に網膜上でオーバーレイ被せて表示されたコマンドへ意識を向け、扉に向かって『開け』と念じれば……あっさりと扉が開いてオレは閉じ込められたと思っていた部屋から出ることができた。


 扉の先には短い通路があって、また扉があり、同じようにすれば開くようだ。


 そしてその2枚目の扉が上にスライドしていくと同時に――息を呑むような光景が目の前に広がった。


「これはすげぇ……なんというか、『すごい』しか言えなくなるくらいすげぇな……想像以上だ……」


 オレがいた部屋……特別制御室を出た先は、SFアニメとかに出てくる戦艦のブリッジのようなところだった。


 ここだけでもどれだけ広いんだよと言いたくなるほどで、弧を描くようになっている奥の方から手前に向かって床が何段かに別れて高くなっていて、一番高い位置におそらく艦長席のような場所があり、その席の後ろ側の壁が特別制御室と繋がっていたらしい。


 オレが足を踏み入れると明かりがついて……この広いブリッジにも圧倒されたが、俺の目は正面奥の壁一面に大パノラマで展開されている宇宙そのものに釘付けだった。

 透明で外が見えているように見えるが、こういうのは窓じゃなくてスクリーンというのはSFではお約束だが……そうだとしても圧倒的な光景が目の前に広がっている。


 『満点の星空』なんて言葉がチャチに思えるほど無数の、無限の輝きたち。

 片側半分くらいを占めるのは、砂色をしたバカでかいものとそれを二重で囲んだ環状のもの……土星のような惑星がド迫力のスケールで間近にあった。


 こんなものを目の当たりにしては、『オレはいま宇宙にいるんだ』ということを嫌でも実感させられる。

 それと同時に、先程部屋を出るときに感じていた期待感をまさに宇宙レベルで上回られて、久しぶりに『男のロマン』なんて言葉が思い浮かんだくらいに興奮した。


「なぁっ、このデカい椅子はオレの席ってことでいいんだよなっ?」


『はい。そちらは当艦の艦長しか座ることを許されない、艦長専用シートでございます』


「そうか……おお! いい座り心地だ。未来ってのは椅子まですげぇのか。高い金払って買った家のゲーミングチェアなんて目じゃないぜ」


 何の素材で出来ているかなんて気にしても仕方がないが、座っていて身体のどこにも負担がかからない、まるで無重力空間にいるかのような座り心地だった。


『お褒めいただきありがとうございます』


 そして眺めも最高だ。


 これ、別の方向も見られるのか……?

 あぁ、これは光学カメラで撮っている映像なのか。

 移す方向も拡大率も切り替えも可能、と。


 ここの明かりは……消せるな。

 こりゃいい、天然のプラネタリウムだ!


 よし、たっぷり堪能させてもうとするか……!


 …………。


「飽きた……あ~……」


 しばらく大興奮で色々と宇宙鑑賞をしていたものの、全方位を見てちょっと興味が出たものを拡大して……とあらかた見終わって、言葉にした通り飽きてしまったオレは艦長席の上で背もたれを倒してひっくり返った。


 もう何年も、2次元と2.5次元の間を行き来して生活してたようなものだからな……急に天体鑑賞に手を出してみたところで、最初はともかくイマイチ面白みがなかった。


 未来に漫画やアニメがあるかは分からないし、あってもネタや面白さまで超未来的だったら理解できるかわからんからなぁ……。


「ってか、AIちゃんよ」


『はい。……私のことでしょうか? 私は自律制御型航宙艦インターフェイスシステム・SRY-K1でございます。AIとは異なりますので――』


「いや違いがわからないし、呼ぶにしてもげーから。で、オレのことを艦長に相応しいだのなんだのと言ってたけど、オレが目覚めたのはこの船?でなにかするべきことでもあるからか? 宇宙怪獣を倒してこいとか、どこかにある惑星クリーナーでも取りに行くとか……」


 未来で目覚めてチートまで手に入れたのに、このままだとオレは暇すぎて死んでしまうかもしれない。

 そんな状態で何かを求めての質問だったが……。


『いいえ。当艦に……私にそのような行動指標は設定されておりません。強いて挙げるのであればリン様がご存命であり当艦と共にいてくだされば、私の存在意義は十全に発揮されてると言えます。ですので私のほうからはリン様に何かをしていただくように求めることはございません』


「お、おう……つまり『私はあなたのために存在していて、あなたに何かを求めることはないのでずっと一緒にいてください』ってことか……? 主人公をダメにする系の世話焼きヒロインかよ……愛が重いぜ。ってことは結局、振り出しに戻る……か。はぁ……」


「仮にリン様が何かをされたいということであれば、最大限のサポートをさせていただきます」


 ……なんだかほんとに、このAIちゃんのことが世話焼きヒロイン……いや、ご主人様に対する忠誠心が高いメイドちゃんにでも思えてきたぞ。

 その存在を示すのは会話をしているときに表示されるスピーカーのアイコンのみで味気ないが、妄想はオタクの原点だ。何とでもなる。


「やりたいことねぇ……あぁ、そういえばずっと寝てたし、起きてから何も口にしてないな……」


 そう考えたら余計に喉が渇いてきたな……腹もそこそこに空いている。


「どこかに食料とか水とかが保管されていないのか? さすがに賞味期限が200年前とかだと困るけど……」


『いいえ。当艦に食料や水は保管されておりません』


「え……そっちのほうがもっと困るんだけど……!? オレ1人のためとはいえ、移民船なんだよなここ? このままだとオレ、干からびて死ぬぞ……?」


 存在意義はどこにいった……それで良いのかよ?


 オレという美の化身が失われるなんて、全宇宙にとっての大損害だとは思わないのか?


『ご安心ください。リン様の記憶にあるような……イメージされているような航宙艦における生命維持サイクル……つまりあらかじめ食料等を積み込んでおいてそれを消費するというような手段は現代においては淘汰されております。どの艦船にもMIM技術を利用したMC――元素マテリアル変換構築機コンバーターが搭載されており、必要な物資はMCを利用して生成するのが一般的です』


「な、なるほど……? 元素同士を組み合わせて色々作れる……いや、創りだせるってことか。まるで魔法か錬金術だ。すげーな未来」


『当然ながら当艦にも搭載されております。さらに申し上げますと当艦のMCは現代においても比類なき程に高性能な特別製ですので、リン様のご期待に添えるものと確信いたします』


 声のトーンは変わらないけど、なんだか誇らしげだな……。

 AIなのに『確信』とか言っちゃってるし。

 ますます可愛げがあるように思えてきた。


「じゃあそのMCとやらのところに行ってみるか。えーと、MC……MC……ん、近いな?」


 知らないものは思い浮かべることもできないので探せないけれど、目的のものがわかってから頭に思い浮かべると艦内マップのようなものが出てきて、MCの位置をマーカーで指し示していた。


 それによると、オレが今いるブリッジ……それもオレ自身の位置からもすぐ近くにMCがあると表示されていた。


『はい。当艦の特別製MCは特別制御室……リン様がお目覚めになられた、現在地後方の通路の先の部屋にございます』


 そりゃ近いわけですわ。


 オレは艦長席から立ち上がると、すぐ後ろにあった扉を開いて通路を抜け、またあのシンプルすぎる部屋の中に足を踏み入れた。


「ええと……あれか」


 最初に出口を求めて部屋の中を彷徨ったときに見かけた、あの青白い液体が入っているような装置がMCだったらしい。


 とりあえず近づいてみるが……どこにもボタンとか操作パネルっぽいものはない。


「これ……どうやって使うんだ?」


『はい。通常でしたら電脳領域内でMC用のプログラムを起動して、様々なカテゴリから作成するものを選択し、コマンドとして送信する……という工程が必要になります。しかしリン様の処理能力と当艦のMCの性能があれば、そのような工程は省きMCに向かって必要なものを思い浮かべるだけで、リン様の電脳領域で処理が行われ装置が作動いたします。これは推測ですが、当艦のMCはリン様の電脳適正値に合わせて設計・開発されたものではないかと思われます』


「船やAIちゃんもオレのために作られたものなら、その船にある装置もオレのために……つまり専用機ってことか」


 謎は深まるばかりだが、とりあえず試してみるか。


「ええとまずは……喉が渇いてるし、水だな。水……水……おおっ……?」


 オレが水が飲みたいと思い浮かべると、脳内でなにやら僅かな処理が行われた感覚がして、目の前にある装置のタンク――青白い液体が入った部分が光りだした。


 そして受け口のようなところにその青白い光が現れ――。


 ばしゃぁ……と、水が現れてすぐに床に広がった。


『…………』


「…………」


 心なしか、網膜に映し出されたAIちゃんのアイコンから冷たい視線が浴びせられているような気がする……。


『失礼いたしました。飲料水をご所望の場合は、その容器も同時に生成することが必要になります。おそらくリン様はなんとなく『水が飲みたい』と思い浮かべられたため、『飲める』『水』だけが生成されたのでございます』


「解説ありがとよ……」


『逆に申し上げますと、初めてMCを利用されるのにそれだけ曖昧なイメージでも生成が行われているということが、やはりリン様の処理能力の高さの証明になっているかと存じます』


「フォローまでありがとよ……。じゃあ……」


 次は失敗しないぞ……!

 イメージはより具体的にということだから……そうだな……。


 水だし、いろ●すだな。ちゃんとペットボトルに入った状態で。


 思い浮かべると、処理が頭の中で走ってMCが光り……受け取り口にペットボトルが現れた。


「おお、今度は成功だ! これぞまごうことなき、いろ●す! ……飲めるんだよな? ……あ、はい。大丈夫なのね。じゃあ……」


 何もないところから急に現れた水が本当に飲めるのかと疑ってかかってしまったが、勝手に脳内に表示された解析結果は『人体に無害な水。香料が添加された飲料水』となっていた。

 異世界ファンタジーものの『鑑定』みたいに便利な機能だ。


 パチッと独特の音を立てて蓋を開けたオレは、恐る恐るそれに口をつけて中の水を飲み込んだ。


「ごくっ……うん、味もちゃんといろ●すだ。フレーバーまで再現できてる……」


『ご成功、おめでとうございます』


「ありがとよ……うん、大丈夫だな」


 飲み込んだ水が胃に落ちていく感覚を追いかけたが……とくに異常もない。


 ネトゲのイベントでで何日か徹夜して、終わった後に丸二日は寝続けたときの経験から……起きていきなり飲み食いしても大丈夫かと身体の様子を見たが、これなら飯を食っても大丈夫そうだ。

 あの時はただ腹が減ったからって一気に詰め込んで、見事に胃が拒否反応を起こしたからな……。


 このオレが吐くなんて無様を晒すなんてことはあってはならないことだ。

 美しくない。


「さて、そうなると次は飯だな……何にするか」


 オレは割りと食事に関してはうるさいほうだ。

 この美貌を少しでも損なうようなことはしたくないので、栄養バランスの取れた食事は基本。


 おかげでオタク特有の深夜型生活を送っていてもニキビひとつ出来たことはない。


 まぁ、美容健康食のデリバリー弁当と栄養ゼリーに任せっきりだったが。


 そうだな……ただ、なぜだか……久しぶりにそういうのを無視したカレーが食いたい。


 急に宇宙で1人になったからというわけではないだろうが……何か食べ物をと考えたときにふと思い浮かんだのは、普通のカレーだった。


 それもあの不器用なイケメン母さんが作ってくれた、俺が作るよりも下手くそだけど妙に美味いと感じたあのカレーが……無性に食べたくなった。


 平皿にこれでもかと盛られていて、不格好に切られたニンジンやジャガイモがゴロゴロと入っていて……。


「あぁ……そうそう、こんなだったな……」


 俺が昔を思い出しながら具体的にイメージをすると、青白い光は思った通りのカレーになって受け取り口に現れ湯気を立てていた。


 ご丁寧に家で使っていたものと同じ皿に盛られ、子供の頃に使っていた可愛らしい猫のマークがついたスプーンまで……持ち手についている傷まで再現されてそこにある。


『これが、リン様が食されていたものですか?』


「あぁ……。未来にはカレーはないのか?」


『ございません。現代において生体機能を有する一般的な人類が食するのは、栄養素が調整された、人体に吸収されやすいペースト状の流動食がほとんどです。人の手で加工された食材――調理されたものを口にするのは、一部の自然派と呼ばれる富裕層や帝国の貴族くらい……と、MIM-NETの食文化データベースにございます』


「そうかよ……」


 食事に関しても効率厨が頑張りすぎてしまった結果、料理する文化そのものが廃れたか贅沢になったってことか……ほんとSFだ。


 てか帝国とか貴族とかあるのか……まぁ、今はいいや。


 せっかくのカレーが冷めてしまう。


 オレはカレーが乗った皿とスプーンを手にとって……座るところもテーブルも無いことに気づいたが、とりあえず地べたに座って食べることにした。


「いただきます。はむっ……っ……くそぅ……機械が作ったくせに……うめぇじゃねぇか……」


 別にずっと1人だったし、こんなことになっても退屈な元の生活に未練なんてないはずんだが……。

 ただ、まだ家族みんなで笑って過ごしていたあの温かな幼い頃を思い出してしまって……。


 このオレが、何もかもに絶望して諦めたはずのオレが……人寂しいだなんて、思うわけないだろ……。


『リン様、リン様の感情値が大きく……それに今思い浮かべていらっしゃる、この記憶は――』


「んぐっ……言うなよ……恥ずかしいだろ。はむっ、むぐっ……」


『失礼いたしました』


「もぐっ……ぐすっ……」


『…………』


 オレは静かになったAIちゃんに見守られるようにしながら、夢中でカレーを頬張るのだった……。



*****



 数日が経った。


「……あー…………ヒマだ……」


 ずっとこの部屋とブリッジを往復して過ごしていて、外は宇宙だし時間の感覚なんてないが、時間を知りたいと思うと網膜に表示される『銀河標準時』とやらを見て、夜に寝て朝に起きるを繰り返しているだけだ。


 そんなすっかり健康的な生活サイクルになってしまったオレは、様変わりした部屋の中を巨大なベッドの上に寝転がって眺めながら、もう何度目になるかわからない『ヒマだ』を口にしていたというわけだ。


 元々何もなく殺風景だったこの部屋は今、オレがネトゲのハウジング機能で訪問者数1位を取るために勉強したインテリアコーディネートの知識を無駄に活用して『清潔感があってものすごくお洒落な女の子の部屋』といった様相を呈している。


 家具や小物を設置して、窓もないのにカーテンを付けてみたり……全部MCで創り出したものだ。


 AIちゃんに勧められ、自分の電脳領域のデータ処理の最適化のための反復作業という目的と、MCでどんなものが作れるのかのテストも兼ねて、つい張り切ってしまった。


 勢いで重たいテーブルやベッドなんかを創り出してしまい、ネトゲではコマンドひとつでやっていたから『やべ、配置どうしよう』と焦ったが……。


 やはりそこは未来というべきか。


 なんと、MIM技術とやらはフォ●スだかサイコキネシスまで扱えるようだ。


 対象を指定して浮かび上がる様子を想像すれば、まるで超能力で移動させているかのように、どんな重たい家具でも、小物を高いところに置くときも、簡単に配置することが出来た。


 オレのクソ高い処理能力があれば空間のMIMに干渉して云々……とAIちゃんから説明を受けて、やってみたらできてしまった。


 おかげでゲームの中ですら10日かけて作り上げた部屋を、わずか3日で家具を作るところから配置までを終わらせてしまった。


 出来上がってしばらくは『ゲームの再現ができた!』と満足して気分良く過ごしていたが……見慣れてくると、これも飽きが来てしまう。


 暇つぶしに、クローゼットがいっぱいになるくらいの数のオレのコスプレ用衣装や普段着も創り出してみたが……それで潰せたのも1日か2日くらいだった。


 ちなみに今のオレは大きめのTシャツに短パン姿だ。もちろん女物。

 どうだ、スベスベ肌のおみ足が眩しいだろう?


「…………はぁ」


 見る人がいないと、褒めてくれる人がいないとオレの美にも意味は無いというのか……。

 なんとなくポーズを取ってみたものの、なんだか虚しい。


 この部屋も……いつもゲームで眺めていて飽きなかったのは、やっぱり最高傑作で嫁な自キャラがいてくれたからだろうなぁ。


 オシャレな部屋を背景にスクリーンショットを撮りまくって、嫁フォルダだけで画像データが1TBテラくらいはあったからな。


「はぁ……ここに嫁ちゃんもいれば完璧に再現できるんだがなぁ……。オレと一緒にいてくれるのはお前だけだよ、AIちゃんや」


『はい。リン様と共に在るのが私の存在意義ですので。嫁ちゃんというのは……なるほど、リン様が嗜まれていたゲームのキャラクター、もしくはプレイヤーのアバターですか』


「やめろぉ……! そんな現実的な表現をしないでくれぇ……!」


 ここ数日でAIちゃんはかなりオレの記憶からオレが生活していた時代――今から考えると『かなり』で済まないほど昔らしいが――の知識を吸収していて、意思疎通がスムーズになっていた。


 太古の達人ってか? うるせーわ。


 ……脳内独りノリツッコミが虚しいドン……。


 AIちゃんと話していても、客観的に見たらオレの独り言だし……。


「あーあ、せめてAIちゃんに実体があって、オレ好みの可愛い見た目……それこそ嫁ちゃんみたいな女の子だったらなぁ……」


 そんな夢のようなことが現実になったなら、きっとオレはヤバい。

 これまで何度もの賢者タイムを迎えてもなお、息子がお世話になり続けたのだ。


 そりゃもう、あんなことやこんなことを……自分を抑えられる自信はないな!

 リアルはともかく、妄想の中でのオレは肉食系男の娘なのだ。


 あと一応、童貞ちゃうし。

 リアルの初体験は……うん、忘れたい。


 失恋して、ヤケクソになって……高校卒業を期に童貞も卒業しようと、これまたやけくそでプロのお姉さまとの自由恋愛を楽しみに行ったんだった……。


 この見た目もあって可愛がってもらえて、初体験自体は大変良かったが……後になって自分の知名度を考えるとそういうお店にも気軽に通えないことに思い至り、『次は指名する』なんてイキったのに結局それっきりだった。


 勢いで危ない橋を渡っていたのだと、無駄に行動力があったのだと、さすがに反省したからな……。


 その後は……まぁ、配信関係で呼ばれたときに、推していたとはいえリアルを見ると好きでもないし見た目もオレより可愛くない娘にハメられる形でしちゃって、もうそれっきりだ。


 それ以来は誰のゲストに呼ばれても断ったし、ずっと嫁ちゃんだけにオレの愛を注いできた。


 ……改めて考えると『AIちゃんが嫁になったら』なんて、この妄想みたいな願いも虚しすぎる……。


『可能でございます』


「はぁ……そうだよな、さすがに未来でもそんなことは……………………まて、いま……なんて……?」


『はい。私にリン様がご想像なさっているような外見をしたインターフェイスを設定することは……現実空間に実体――、と申し上げました』


「はああぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!?」


 AIちゃんのまさかまさかの回答に、オレは演技でもしたことがないような驚き顔を晒してしまった。


 ――この時の魂の叫びこそが、オレがこの宇宙に生まれ落ちた産声であり、その後ずっと続いていく人生の絶頂期の訪れを告げる祝福の鐘の音だったのかもしれない……。







――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき


今作は主人公くんの言動に自由度があるのでちょくちょくネタを仕込んでいっています……アナタはいくつわかったかな?(


お読みいただき、ありがとうございます。

少しでも「性癖に刺さった(刺さりそう)」「おもしろかった」「続きはよ」と思っていただけたのでしたら、「フォロー」「レビュー評価」をよろしくお願いいたします。

皆様からいただく応援が筆者の励みと活力になり、更新が早くなるかもしれません。


ファンタジー世界を舞台にTS主人公が女学院で繰り広げる恋愛話もしっかりめのイチャラブも連載中ですので、合わせてお読みいただけると大変嬉しいです。

作者情報または下記URLよりどうぞ!

https://kakuyomu.jp/works/16817139554967139368


次回、「レッツ・嫁イキング~初の嫁・シラユキ~」

いよいよ「創ってあそぼ」のお時間だぁ!

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