第4話 天空屋敷のメイドは、坊ちゃまの愛犬と仲良くしたい 後編



 メイドの一日は、なにもフウリンの世話だけをして終わるモノではありません。

 シーツを交換するベッドメイキング、屋敷内の清掃、ジャガイモやニンジンの皮むきと下処理など。オールワークスの名は伊達じゃなく、業務内容は多岐にわたり、カラダを休める暇もないわけです。


 そんな私が一息つけるのは、意外かもしれませんがやはりフウリンと一緒の時なのでございます。時刻は真夜中、皆が寝静まったあと。暖炉でマキがパチパチと音を立てる傍ら、遊び疲れて寝そべるフウリンにブラシをかける至高のくつろぎタイム。その穏やかな作業に没頭していると、言い知れぬ安らぎを感じるのです。


 昼間は暴君として振舞い、好き勝手にコチラを振り回す厄介者。

 ところが夜の彼は、一転して素直で無垢むくな忠犬へと変身するのです。

 私の前でだけ見せる無防備な姿、このギャップがたまらないんです。


 綺麗でフワフワなフウリンの体毛にはノミ一匹いません。


 美しい物をより美しくする。その為のブラシがけは、何やら崇高すうこうな存在に奉仕しているような心地がして昼間の疲れなど吹き飛んでしまうのです。


 きっと知名度の高い芸能人やスポーツ選手の奥さんなんかも、毎晩こんな気持ちを味わっているんだろうなって思います。


 いつもは私がニヤニヤしながらじっくりブラシがけを終わらせるだけなのですけれど、その晩はなんと思わぬ乱入者があったのです。


 咳払いをしながら暖炉の間に入ってきたのは、ヨハン坊ちゃまではありませんか。



「昼間はウチのフウリンが迷惑をかけちゃったみたいでゴメンね?」

「いえいえ、済んだことですから」

「早速、柵の修理を姉さんが手配したから。それとリードを長くして端に手錠を付けようと思うんだ。そうすればひもがすっぽ抜けて落ちることはなくなるでしょう」



 それだと引きずられる時に、私が逃げられずそのままになりませんか?

 でもヨハン坊ちゃまが気遣ってくれた結果なのですから、反論はしませんけれど。実際に手錠を使うかどうかはリードを握る私が決めることだし。そして案の定、本題はそこじゃなかったのです。



「どうか辞めないでね。フウリンもアカネに懐いているようだから」

「え? これで? あっ、すいません」

「あはは、ここまで気持ちよさそうにしてるフウリンは見たことないもの。アカネは素質があるよ。間違いない」

「うーん、そうですかね。私にはどうも犬の気持ちが判らなくて」

「……もしかして、誰かと目を合わせるのが苦手だったりする?」

「へ?」



 坊ちゃま! 残酷な言葉はそれだけで人を殺す刃を秘めているものですよ!

 言い返せませんけど。



「いやね、リリムお姉さまがそうおっしゃっていたものだから。あの子は人と話す時、目を合わそうとしないって」

「はうー、陰キャラオタクにはハードル高すぎですよ~」

「よく判らないけど、僕も昔は苦手だったから隠さなくていいんだ」



 そう聞くと、一転して親しみを感じますね。



「うー、どうして苦手じゃなくなったんですか?」

「それも全部、フウリンのお陰。犬と人の心を繋ぐ決め手は、なんといってもアイコンタクトだから。目を合わせるとフウリンが何をして欲しいか、だいたい判るんだ」

「目を合わせれば……」

「良い関係を築こうとする努力はきっと無駄にならないよ。慣れてしまえば気恥ずかしさもなくなるから。なんだったら僕を練習相手にしてくれても」

「あっ、それ良いですね! 是非お願いします」



 そうだよ、私はもっと人との縁を重んじなければいけないんだ。

 こちらから良い関係を築けるよう、変わっていかないと。

 天国から見ているお祖母ちゃんをガッカリさせない為にも。

 だから、恥ずかしがらずに動け! 私の身体。


 私はずずいと間合いを詰めてお坊ちゃまの青い瞳を覗き込んだの。


 アイコンタクトで伝わるかな? 私の想い。


 メイドの華は「玉の輿こし

 だってメイド史を紐解くまでもなく、そうなんだもの。

 幼い坊ちゃまと言えども、ツバをつけておきたい女は沢山いるんですよ?

 先輩の女中方も裏でそんな話ばかりしていますよ?

 あの年の男子はすぐに大きくなる。背丈もグングン伸びてるって。


 それに、考えてみれば私達って二つしか歳が違いませんよね。

 お・似・合・い。

 そして坊ちゃまの大切なフウリンの面倒をみているのは、この私。

 私、気付いてしまったのです。

 自分が誰よりも有利な立ち位置に居るって。


 そんな入魂のアイコンタクトが通じたのでしょうか。

 ヨハン坊ちゃまは、頬を赤らめて目を逸らしたではありませんか。



「あれれ? 慣れているつもりだったけど。やっぱり恥ずかしいものだね」

「……そうですねぇ、ふふ。坊ちゃまにもまだまだ練習が必要みたい。また今度一緒にやりましょうね」


 うん、やっぱりアイコンタクトは効果があるみたい。「私達の輝かしい未来」の為にも、これからは全身全霊でフウリンと仲良くしなきゃ!

 やっぱり将来設計は万全にしておかないとね。



 ―――



 翌日のお散歩時、私とうとう発見しちゃったのです。

 つぶさにフウリンの仕草を観察していると、時折なにかを言いたそうな目でコチラを見ているんですよ。まさかとは思いますが……。



「もしかして『お手』だったりします?」

「ワン!」



 私が恐々と掌を差し出すと、フウリンの大きな前足がそこへドンと乗せられたではありませんか。お前、ちゃんと出来るじゃないの!

 それなら、私も期待に応えなければいけませんね。



「すごい、すごい! 賢いんだねぇ、偉いぞフウリン」

「クゥーン」



 首筋に抱きついて撫でまわしながら、私は最高のボディランゲージで彼をめたたえてあげたのです。フウリンは嬉しそうにしながらも、どこか物足りなさそうな目をしています。判っていますって、ちゃんと準備してありますよ。



「はい、良く出来たご褒美ほうび。こんな物しかないけど……」



 ポケットから出したのは台所からくすねてきた干し肉の切り落としと、ダシをとるのに使用した牛の骨。フウリンのご飯に比べたらみすぼらしい限りだけど、オヤツやオモチャとしては悪くない……はず。どうかな?



「ワン!」



 夢中で干し肉を噛みしめ、骨にかじりついてる。

 良かった、喜んでもらえたようだ。

 私も骨をかじるフウリンの頭をなでながら、嬉しさを噛みしめちゃう。

 遂に、遂に単純なものだけどコミュニケーションがとれたよ。あとはコレを繰り返していけば、芽生えた信頼はより強固なものへとなっていくはず。

 道が拓けた! 陰キャラオタクの私でも、やれるんだ。

 まるで世界中から私達の未来を祝福されたみたいに爽やかな気分。

 清々しくて泣いちゃいそう。


 でも実際は……皆に祝福されるどころか。

 世の中は、トンビに油揚げをさらわれて、それを認める人ばかりじゃなくて。

 私はすぐに社会の厳しさを思い知ることになる。



 ―――



 その朝、獣の鳴き声が天空の浮島を揺るがせ、私は屋根裏のベッドから床に滑り落ちて目を覚まし……いったい何事!?

 はめ殺しの窓から裏庭をのぞけば、フウリンが勝手に走り回っているじゃないの。

 この時刻なら、テントみたいな大きさの犬小屋で寝入っているはずなのに。

 それにどこか様子がおかしい。庭の木に何度も頭突きをしては押し倒している。

 いつもの無邪気な悪戯とは大違いだ。


 私は慌ててメイド服に着替えて玄関まで走る。

 ようやく現場に到着すると、フウリンは台所の裏に置かれた木箱を壊して、中身のトマトを食い散らかしているみたい。近くの勝手口には、半開きの隙間から坊ちゃまと先輩女中の姿が見えています。

 出ていこうとする坊ちゃまを皆で抑えているみたいね。


 つまり、いま庭に居るのは私とフウリンだけ。

 血の気が引くというのは、こういう状況を言うのだろう。



「あのフウリン、何をやっているの。ちょっと落ち着いて……」



 皆まで言わせず返答は強烈な頭突き。ぐふっ、アバラ骨がぁ!

 気が付けば息が詰まって芝生の上で大の字になっている。そんな自分の有様に脳が大混乱を起こして何も考えられません。


 昨日はボール投げをして遊んだのに。いったいどうして?

 フウリンは口の端から泡を吹き、極度の興奮状態にあるのが見てとれます。

 もしかして、病気なの?


 荒い呼吸をしながらフウリンが向かってくる。

 犬歯むき出しの口から赤い液体を滴らせて。

 ああ、狂犬病の類であれば私は……もう。


 死を覚悟したその時だ。


 流星のごとく落ちてきたものが、私とフウリンの間に降り立ったの。片膝つきで着地した彼女は、ゆっくりと身を起こし、つまんだ帽子のツバを持ち上げる。



「ワン?」

「絶体絶命のピンチにお邪魔しまーす。フェニックス運送です」


「め、メチャ子さん。危ないですよ」

「編み物図鑑、持ってきたよ。受け取りサインをもらうまでは帰れないからさ。それまで絶対に死んじゃ駄目だからね。ハグロ、彼女を診てあげて」

『私はナビであって医療は専門外ですが。まったくもう、どれどれ、どこを怪我しました?』



 言われて気付いたのですが、フウリンの頭突きを受けた際にトマトの赤い汁が胸元へ付着しているではありませんか。え? 死んじゃ駄目って? もしかしてメチャ子さん、何か誤解していない?


 止める間もなく、メチャ子はフウリンへと向かっていったの。



「お前、一線を超えたね? いくらお客様のペットだって、もう捨て置けないぞ」

「グるるる!」

「やはり、番犬と配達員はやり合う運命なのかな! カモォン!」



 フウリンもテンションが高くて乗り気だから、もう誰も両者を止められません。

 たちまち両者は浮島中を駆け巡りながら激しく牙と拳をぶつけ合ったのです。

 秒針が一度進む間に、右へ左へ、上へ下へと、目まぐるしく変化する戦況。もう私では何が何やら。

 刹那で何度も首を伸ばし噛みつくフウリンと、小刻みなフットワークでそれをさばき切るメチャ子。動体視力が追い付かずに、残像とリードの縄が何度も私の目前を行き来するばかり。


 そう、フウリンの首にはリードが付けっぱなしになっていたのです。

 誰かが裏庭へフウリンを連れ出すために付けたのでしょうか?

 もしかして、裏庭なら私の窓からでもフウリンの様子が見えると思って?


 そして、そのロープこそが決着へのカギとなったのです。


 いつまで経っても相手の動きをとらえきれず、業を煮やしたフウリンはメチャ子の前で大きく体を捻ります。しなるロープは勢いよく飛んで、あたかもカウボーイの投げ縄みたい。そして、先端についた手錠がメチャ子の手首にガッチリはまったではありませんか。

 当のメチャ子は手錠にまったく動じていませんでしたけれど。



「ん? チェーンデスマッチ? 足を止めてクロスレンジの攻防ならばそちらに分があると? へぇー、違うんだな、それが」



 なんとメチャ子は逃げもせず、大股でフウリンに歩み寄っていったのです。

 怒り任せに彼女の頭を丸かじりにしようと、フウリンが大きな口を開きます。

 しかし、ワニのような大アゴが閉ざされる直前、メチャ子の姿はふっと消え失せ牙は虚空をむなしく噛むばかり。


 残されたのは前足を持ち上げ、飛び上がった姿勢のフウリン。

 そんな彼の周囲を赤いシルエットが素早く飛び交ったのです。


 リードロープが風を切る。メチャ子が次に靴底でブレーキをかけた時には、荒縄でがんじがらめとなったフウリンがそこにあるではありませんか。縛られた足では着地もままならず、フウリンはそのままドシンと芝生へ転がったのです。



「カラダギミック、龍爪りゅうそう



 メチャ子が何事かつぶやくと、手袋を突き破って手の甲から二本のカギ爪が伸びてきたのだから驚きです。その鋭い爪で手錠に繋がったロープを断ち切ると彼女は天を仰いでようやく一息ついたわ。

 成程、竜宮の娘ですね。すると、あの角も本物かぁ。



『そんな顔しなさんな、アカネさん。猫だって普段は爪を引っ込めているでしょう。あれと似たようなものです。彼女は出し入れできるんですよ、色々とね』

「別に、助けてもらって、異形を怖がったりなんか……」



 私とハグロが言葉を交わしている間にも、メチャ子はフウリンの方を振り向き、身構えていたのです。こうして縛り上げられたというのに、まだフウリンが諦めず何かをする気だと。その気配を感じ取ったのでしょう。


 フウリンは腹が膨れるほどに息を吸い込むと、鼓膜を破かんばかりの大音声で喉から咆哮ほうこうを振り絞ったのです。それも遠吠えのように途切れることを知らず延々と。


 不断の音響兵器は屋敷の窓がひび割れるほどの威力、聞いているコッチの耳もどうにかなりそうです。流石のメチャ子もこれは防ぎようがありません。



「風鈴の割にはチョイ情緒が足りなくない? 大人しく出来ないなら、なってもらうしかないな」



 彼女は何事かを口走ると、伸びた鉤爪を構えたのです。

 いけない! その子を傷付けないで!


 気が付くと、ひとりでに私の足が前に出ているではありませんか。

 私は吠え続けるフウリンの首に抱きつき、何度も懸命に叫んだの。



「ステイ! ステイ! 止めてフウリン! その人は敵じゃないから」



 フウリンの目の色が少し変わった……私にはそう見えたのです。

 やがて肺の酸素を使い果たしたからか、私のハグが効いたのか、フウリンの鳴き声はかすれるように消えていったのです。



「よしよし、良い子ね、フウリン。もう大丈夫だからね」



 ポケットに残っていた肉片と骨を放り込むと、フウリンはボリボリとそれを噛みながら怒りの衝動を忘れていく様子。抱きついた四肢が少しずつ弛緩していくのを感じたから、きっとそうでしょう。


 立ち尽くすメチャ子にハグロが近づいて声をかけます。



『メチャ子、爪、ツメ。危ないですよ』

「あっ、これは。いや、ちょっとワンちゃんの気の流れを乱して、失神してもらおうと思っただけで。爪は別に使うつもりなんてないよ」

『お得意の拳法ですか。乙女に過酷な労働環境であることは理解しています。しかし、龍のすぎた凶暴性は制御の術を学ぶべきですね。いつか自分に返ってきますよ』

「使わないって、もう!」



 メチャ子が爪を引っ込めて、どうやら一件落着です。

 ハグロが血液を採取して調べた所(医療用じゃないとブツブツ言いながら)どうやらフウリンが凶暴化した理由はウイルスではなく薬物だということ。

 それはつまり……人為的な……故意の犯罪?


 屋敷の薬箱から鎮静剤を持ち出し、注射器でそれを静脈注射すると……どうやらフウリンも落ち着きを取り戻したみたい。


 事の次第をリィド氏に報告すると、事態を重く見たご主人様は原因の究明に全力を尽くすと約束して下さったのです。

 屋敷の使用人総員が呼び出されて取り調べ開始。更には家探しを強行した結果……とある女中の部屋から未知の薬品が発見されたらしくて。


『ハイパーステロイド』


 そのふざけた薬品のラベルには「尻尾をくわえた蛇」が印刷されていたそうなのです。いったい動機は何かといえば、所持していた古株の女中は、私とヨハン坊ちゃまの仲を横恋慕していたのだとか。



「何の副作用もなく生き物を凶暴化できるって聞いたから、邪魔者を片付けるのに丁度よいかと思って……すいません」

「片付けられるのは君の方だ。フウリンに一服盛るとは私の信頼を裏切ったな! 荷物をまとめて出ていくんだ。そして、その薬を扱った行商人も同罪だ。今後はいっさい屋敷への出入りを禁じる!」



 ご主人様の決断は速やか、かつ厳粛なものです。蛇のマークについて私達が尋ねると、ご主人様はただ黙って首を振りこうおっしゃったのです。



「多次元籍企業は、なにもサンジェルマン・グループ一つだけとは限らない。どんな商いにも競合相手というものが居るものだよ……光ある所にはまた影もある、そういうものさ」



 メチャ子やハグロにも何やら思い当たる節がある様子でしたが、多くを語ってはくれなかったのです。



 ―――



 こうして、角が生えたお友達のお陰で私とフウリンはより強い絆を育むことが出来たのです。暖炉の部屋でフウリンが寝そべる傍ら、私はしばし編み物に興ずる時間を設けています。編針をせかせか動かしていると、仕事の忙しさも、郷愁の想いも、ほんの一時忘却の彼方へ追いやることが出来るので。


 天空屋敷の冬は寒そうなので、セーターなどを坊ちゃまに編んであげられたら。

 そう思って練習中なのです。その最中、ふと思い出すのはやはり配達員のこと。

 あの日、メチャ子がお暇請いをする際、ご主人様はこう言って彼女を引き留めたものです。



「君の実力は、実に素晴らしい。そこで相談なのだが、フウリンに変わって屋敷の番人を引き受けてはくれまいか? クラン家の番犬という意味にちなんで『クーフーリン』という役職名はどうだね? 屋敷の秩序を守ってくれるなら、給料は君の言い値で出すよ」

「ははは、まるでケルトの英雄ですね。でも、そういうの柄じゃなくて。アタシは色んな所を走り回っている方が性に合っているんです。ドキドキする景色や、ワクワクする人の営みを沢山見てみたいので」

『ドカバキする修羅場も求めているのでしょう? 無駄ですよ。ミスターリィド。この子には探しているモノがありますから。立ち止まれないワケがあるんです。いくら貴方でも、引き抜きはご遠慮願います。この子はウチの虎の子ですから』

「はは、虎の子じゃなくて龍の子だけどね。それじゃ、次の依頼が待っていますので! バイバーイ」



 私は揺れ動く暖炉の炎を眺めながら思いを巡らす。

 メチャ子が探し求めるモノって何だろう?

 私に思い当たるのは、生家の竜宮城が建物ごと神隠しにあったという件。


 いつかお母さんやお祖父ちゃんと再会できますように。

 そして彼女の目にする世界がきっと美しいものでありますように。


 私もいつか、お母さんの所に帰りたい。

 その時は、出来れば人生の伴侶と出会えたことを報告できたらな……なんて。


 綺麗なだけの世界なんて、どんなに待っていようが実現しないよ、きっと。

 自分の手で美しい物を作り上げて、私達みんなが世界に貢献しないとね。

 例えば理想的な家族とか。例えば心にしみる編み物の贈り物だとか。



「私達なら、きっと出来るよね、フウリン?」



 フウリンは片目だけ開けると、小さくワォンと吠えた。 

 天空屋敷の生活も満更悪くはないようだ。


 素敵な贈り物をありがとう、おばあちゃん。

 そして、私の大切なお友達。

 貴方はきっと皆の所へ幸せを届ける配達員。

 上手くなったら編み物を教えてあげるからね!

 彼女が誰に編み物を送るのか、私はそれがとても気になるのです。

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