第31話 推しに会いに行く服がなかった

約十数年ぶりに、嶽本野ばらの小説を読んだ。映画化される「ハピネス」。

野ばらちゃんの話といえば、ロリータ少女とロリータ少女の対になる青年が出会ってなんやかんやあって最終的には結合する、というものが結構あり(そう考えると、下妻物語はだいぶロックですね、桃子は確かにロリータちゃんですが)、高校時代は好きだったけれど、大学生になって読むのをやめてしまった。

しかし久しぶりに「ハピネス」を読んだら、スイスイ読めて、確かに野ばらちゃんの小説って読みやすさがあるよなーと改めて思ってしまったのだった。

そして、ロリータファッションってちょっと憧れるなぁ……と、ハピネスを読みながら、アイフォンでinnocentworldのお洋服を眺めてしまっていた。


私はV系バンドは好きだけどバンギャにはなりきれない人だったので、大学時代からロリータファッションに興味はありながら、そもそも金銭的に無理、と思っていた。BABYもイノワもプトマヨもヴィクトリアンメイデンも、ロリータのメゾンは単価が高い。そして、それを似合うまでの道のりが長い。顔のメンテ(整形ではなくメイクという意味で)に髪のメンテに全体的にそのファッションに似合うものにしなくてはならない。いや、お洋服は高いものだけど……。つーか野ばらちゃんのヒロインは、どうしてあんなにバンバンロリータ服を買えたんだ? 高校生や中学生が。親が富豪か何かか?……そういった金銭感覚の違いも野ばらちゃんから足が遠かった一因かもしれない。

服は好きだけど、きているものは大体ユニクロとかしまむらとか、たまにWORLDグループの服。憧れとか「これいーなー」と思いながら、「服に金をかける」感覚が身に付かなかった。


そんな私に転機が2回の訪れる。1回目

アイナナのトリガーのオンラインライブに行く時に、「推しに会いに行く服がない!」と思ったのだ。

その時にハマったのがアクシーズ。30代でアクシーズを買い始めるのもどうなのか、もっと若い時に通っておけよ、とツッコミを入れつつ、いや、でも着たい服に年齢はないし……などと思い、セールの時にポチった。

しかしその時に「服に金をかけてもいい」というのを遅ればせながら覚えた気がする。それを教えてくれたアクシーズには今でも感謝している。(そして、今でも買ってる)

(ちなみに羽生結弦は推しだが、アイスショーに行く時はファッションよりも防寒を重視しているので、着たい服が着れないというジレンマに陥る時がある)


2回目は友人が買ったしまむらと青木美沙子さんのコラボワンピース。それを着ている友人が本当に似合っていて、そしてワンピが可愛くて、「これ、ちょっとほしいな…」などと思ってしまった。縁があって手に入れられたのだが、夏服なのでしばらくお預けである。

青木美沙子さんは2000年代から活躍されているロリータファッションのモデルである。そのかたが、しまむらとコラボして可愛いワンピースを作ってくださる……。

しまむらありがとう!青木美沙子さんありがとう!

……しまむらもいいものがあるんだよ!と心を大にして言いたい。


そんな私もそろそろ30半ばになる。

イノワさんの服を着てハピネスを見に行くのが、密かな目標である……。

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