第11話 竜とそばかすの姫

アマプラに入っていたので、布団の中で試聴しました。

以下感想。あくまで個人の感想なので、怒っちゃいやよ。


個人的に細田守監督の作品は「おおかみこどもの雨と雪」を見てからマジで苦手になり、ちょっと遠ざけてしまっていた。一応「竜とそばかすの姫」を見たので、「未来のミライ」以外はコンプリートしたことになるが……。


どうしても私の中で、「時をかける少女」を超えるものがない、というのが正直なところ。そして今回も、あくまで私の中で超えなかった。

ただ、今まで見た「サマウォ」「おおかみこども」「バケモノの子」よりもはるかに良かったところはある。


それはヒロインの描き方。


私の穿った見方かもしれないけれど、細田守のヒロイン=主人公、家族、家、男のために描かれたセックスシンボル、というイメージがものすごくあった。サマウォのヒロインはカズマじゃね?って思うこともあり、バケモノの子のヒロインって一郎彦じゃね?って思うし、花ちゃんはヒロインというよりも「細田守が描く理想の母」であり、つまり細田守は「家も家族も男もいなくても魅力のあるヒロイン」が描けない、もしくは描く気がないのかとぼんやりと思ってしまっていた。

でも「竜とそばかすの姫」のすずはちょっと違った。この監督は、今回は、ちゃんと自立したヒロインを描こうとはしているし、今までとは違ったふうにヒロインを描こうとしている。

そこを感じられたのが、今回「竜とそばかすの姫」を見ての一番の収穫だった。


ただ。

あの、ものすごく、全編にわたって眠かったんですよ。特に冒頭。冒頭15分見て、サマウォを再評価したんですよ。サマウォの冒頭が何が良かったって、「これからとんでもない田舎に連れて行かれてとんでもないことが起こるかもしれない」というワクワク感があって。そういうワクワク感が今回全然なかったっていうのがだいぶ私の中でマイナスで残ってしまった。マイナスといえば脚本がやたらととっ散らかっていて間伸びしているような気もしてしまった。。多分眠いのはそれなんだよね。Uの世界では画面やらアニメーションは綺麗なのに、今回現実世界でのアニメーションの質があんま高くないなぁというか、キャラクター造形が荒く感じられてしまった。アニメーションのディティールが荒いかもしれない、と思った瞬間、ちょっと細田監督を心配になった。


あと「すずを正面から描こうとしているのが良かった」と確かに書いたけど、ぶっちゃけこのヒロインに魅力があるか?って聞かれたら、ちょっと30分ほど悩むし、同じ要素を新海誠に与えたら、とんでもなく魅力的なヒロインになってしまうと思ってしまったのよ。

だけど新海誠だったら、すずが、こんなにも冴えない・根暗・ボソボソとしていてベルとのギャップが激しい感じのキャラクター造形にはならないだろう。ある意味魅力の希薄なヒロインをここまで描き切れるのは、細田守監督の美点なのではないかと思った。ここまで冴えなかったから、Uで素顔を晒した時の効果が高いんだよなあとも。


脚本といえば。ものすごく間伸びがしていて「そこいるか?」って思ったり、キャラクターがルカちゃんと男のくだり必要か?と思ったり、Twitterで「DV家族の元になんですずを一人で行かせるんだ!周りの大人は何しているんだ!」って湧いていたけど、あそこは別にすず一人でもいいんじゃね?っては思った。すず以外が言っても「は?」って感じでしょ。ただ、行くのはいいけど、なんでスマホ持っただけの荷物なし、ノープランで、DV父に突っ込んで行っているんだ?っていう疑問の方が優ったよ。助けるっちゅうなら、電話一本だけじゃなくてもうちょっと調べてからいけよ!目力一つでDV父を撃退させるとか脚本的にも力技すぎるから!


総括をして。

いいところはあったけど、全体的にはちょっとダレた。面白味は少なかったけど、悪い映画ではない。

細田守監督が「どんな形であれ、家族や男に包括されないヒロインを描く力はある」というのがわかっただけでも試聴して良かったと思った。


……なんかちむどんどんを擁護した時と似ているな、と気がつく。


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