第2話 ラブカは静かに弓を持つ

話題になっていた「ラブカは静かに弓を持つ」をこの夏に読んだ。


……いや、マジね。この小説、エモい。そして「ああ、小説読んだ!」って感じ。途中までで止めるとものすごく気持ちが悪くて、早く救われてほしいと思いながらも、「お前(橘くん)の気持ち俺は分かるぜええ」みたいな気持ちになり、早く読みおわしたい気持ちでいっぱいになった。二楽章は一気読み。読み終えて深夜。

そもそもこの小説。「音楽×スパイ」、「潜入先は音楽教室。武器はチェロ。幼少期のトラウマを持つ美貌の潜入捜査員(男)」という飯ウマな設定に惹かれない人はいるのだろうか。いないと断言したい。しかも音楽教室で出会うのが若いチェロ教師(男)。罪悪感と奏でる喜びと、透明な壁を超えてきた人との友情。


……あああああああ!!!!やべえ!!ああああああやばい!!!やばい!!!こういうのが一番くるんだよ!!感動とかそういうんじゃなくて、エモい!!!誰よりも、何よりも!!エモい!!!!!

もうさ、橘くんの「全員と縁を切って楽になってしまいたい」っていう地の文とか私にマッチしすぎていて俺はお前かお前は俺か状態で、読めば読むほど私は橘くんなんじゃないかと思うし、だから読めば読むほど浅葉先生の言葉に救われるし、同じようなことを斉藤壮馬さんも書いていたし!!


今年のナンバーワンはこの一冊です(断言)。私の煩悩の108冊に入れます(断言)。


いやほんと、これ色んな人に読んでほしい。橘くんのような派手なトラウマを持っていなくても(読んでくれ、話はそれからだ)、自分がそれほど明るくなく、ずっと嫌な記憶を抱えたままの人や、自分が橘くんなんじゃないかって思う人ほど、これを読んでほしい。


あとこの「ラブカ」の文章、めちゃくちゃ好き。無駄がなくて、一文一文が厳選されているっていうのが本当にわかるし、「ああ、文章の贅肉を削ぎ落とすってこういうことか……」という風にも思わされた。地の文の中で、橘くんの容姿については一切触れていないんですね。そこから周りの人間の発言から「彼は綺麗なのか」というのがわかるのも個人的に好き。


その後、阿壇美緒さんが小説すばる新人賞の出身者だと知り、チャレンジしようと決める。

間に合わなかったら笑ってね!(ゲラゲラ)

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