第10話 眷属の見下ろす空は、曇り空

地のはずれにある地下には、広間のように灯りが燃え盛り、中央の壇上には、おい大狐が横たわっていた。大狐と呼ぶ事が相応しいのかは、わからないが、齢を重ねて白髪を通り越して、銀色になった毛皮は、数え切れない年月が過ぎ去っていった事を物語っていた。大きな体を横たえ、その周りには、多くの四つ足の獣達が、周りを囲んでいた。

「大主様。。」

筋肉質で、小さな黄色の狐が、その主に寄り添っていた。

「やはり、この地で、衝突は、避けられそうにありません」

「傍観しているだけでは、いけません。時に、排除も必要かと」

「関わるのは、時期が早いかと」

大きな年老いた狐の側にいた純白の狐が答えた。

「我々は、この地を守らなくてはなりません。余計な事に、振り回されるのは。」

「白夜狐様!」

黄色い狐が、歩み寄る。

「あの娘が現れてから、変ですよ。この地のものでないのは、いずれ消さなくてはならない。あの娘がそうです」

大狐が、今まで、閉じていた目を開けた。

「関心があるのか?」

「封印がありました」

白夜狐と呼ばれた狐は、答えた。

「生じるには、すべて理由がある。この時期にあの娘と出会うには、理由があるのではと」

「白夜狐様は!」

黄色の狐が早口で、捲し立ててる。

「あの娘に、関心があるのでは?」

「ある」

即答する白夜狐に、周りは、怯んだ。

「我々、眷属は、外部の眷属達に押され滅びゆく眷属となっている。あの娘の元には、今や使い魔達が、集まろうとしている何故なのか?何故、この地なのか、知る事が、我らが残る術では?ただ、今すぐ、動くには、時期が早すぎるのです」

「ですが。。」

2匹の間に、もう一匹の純白の狐が、割って入ってきた。

「真冬様」

黄色い狐は、慌てて、自分の居る位置から、下に降り立った。

「いつの間に、おいでになっていたのですか?」

「あの者は、まだ、眠っている状態と聞いている。魔族達は、あの者を害そうとしていると聞くが、我らが、関わる必要は、ないのでは?」

「ですが。。」

小さな黄色い狐は、ますます小さくなりそうだった。

「我々とは、相容れない間とは、思われるのですが。。。なんていうか」

黄色い狐は、白夜狐の顔色を、恐る恐る伺った。

「長年の勘と言いますか。。嫌な予感がするんです」

「ふむ」

真冬は、白夜狐を見ながら微笑した。

「では、私が、よく見てみましょう」

「え?」

白夜狐は、拒否しようとしたが

「いいですね」

強く言われ、黙って様子を見ることにした。

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