第9話 シシの街の冒険者ギルド
カランカラン
「ようこそシシの街冒険者ギルドへ!本日はご依頼ですか?」
「あ、えっと、シシの街に到着した報告と従魔登録で来ました。」
「ああ、冒険者様でしたか。お若いのに凄いですね。では、ライセンスカードの提示をお願いします。」
「はい。」
「お預かりします。…15歳でDランク…?失礼ですが、これは…」
「え?いや、本物ですよ。登録試験で飛び級してDランクになりました。」
「にわかに信じ難いですが、まあいいでしょう。確認すればわかることです。ここに来た報告ですね?確かに承りました、記録に残させていただいた上で全冒険者ギルドに共有させていただきます。続いて従魔登録ですね。今お連れですか?」
「はい。おーい、リューク、来てくれ。」
……
「ん?リューク?」
「ふぁい、ありゅじどにょ」
「おい、どうしたんだ、お前その顔!?とりあえず、はい、ポーション。」
「なんだなんだ?お前、ゴブリンのくせに従魔ってのは本当だったのか!はっはっはっ、こいつは傑作だ。」
「人間族のしかも子供に従うしかない魔物って、だっせー。」
「「「ギャハハははは」」」
「なんだよ、リュークが何をしたって言うんだ!」
「うるせぇ、だまれ!目障りなんだよ。ドワーフでもねぇ癖によぉ。でかい面してここ歩いてんじゃねぇ!」
筋肉質のドワーフだが、どうしても身長が低いので、俺が見下ろす形になってちぐはぐだが、ニンゲンの癖にドワーフの国で冒険者をやっているのが気に入らないらしい。
「知らないよ、そんなこと。俺はカッキンロウで育った。北のハリ山だ。たとえ血縁的にはニンゲンだったとしても、俺はちゃんとここで育ってるんだ。」
「ふん、知ったことか。」
「それにそれとこれとは別でしょ?なんでリュークがこんなタコ殴りにされなきゃいけなかったの?」
「ゴブリンだろ?仮に従魔だったとしてもどうせ捨て駒と同等あるいはそれ以下の扱いの魔物なんだからいいじゃねぇか。」
「俺らのサンドバッグ代わりになれたんだからむしろ感謝して欲しいくらいだ」
「「言えてる、ギャハハハハハ」」
「リュークはゴブリンじゃない、小鬼族だ!」
「ふん、殴られても殴り返さねぇビビりなんざどうでもいいだろ、」
「あの、ギルド内での喧嘩はそこら辺にしていただいてもよろしいでしょうか?」
「チッ、いいとこなのによ」
「ああ、すみません。えっと、従魔登録ってしていただけますか?」
「はい。承ります。」
「リューク、小鬼族です。」
「性別は?」
「えっと…」
「男だ」
「だそうです。」
「はい、ではリュークさん。血を一滴こちらに垂らしてください。…はい、以上で従魔登録は完了です。今付けている街から支給されている腕輪、取り外していただいて結構ですよ。レイさんとリュークさんのことは冒険者ギルドが責任をもって保証します。」
「ありがとうございます。」
「おい、終わったか?」
「リューク、ご飯行こうか。依頼は明日から受けるとしよう。」
「え、でも…」
「てめ、無視してんじゃねぇよ。」
「リューク、何食べたい?やっぱ肉?」
「え、いや、肉は食いてぇけどよ…」
「くそ、怒ったぞ。おい、俺と決闘しろ!男なら逃げんじゃねぇぞ。いいな?ぶへぇ」
肩を掴まれ無理やり振り向かせられるが、振り向く勢いで左フックを顔面に入れた。ドワーフの男は脳震盪を起こし、そのまま倒れた。
「…」
ギルド内の喧騒がピタッと止まった。よほど予想外の事だったのだろう。
「リューク、ここに来る道中良さそうな屋台を見つけたからそこに行こう?」
「あ、ああ。」
〜〜〜
「いやぁ、食べた食べた、美味しかったね。」
「主殿、さっきのギルドのことだけどよぉ」
「ん?ああ、リュークがボコボコにされてたやつ?偉かったぞ、我慢して。あそこでお前が反撃してたらもっとややこしいことになってたからな。」
「いや、主殿って強かったんだな、って…ゴブリンを倒せないとか舐めたこと言ってなんかごめんなさい。」
「ああ、なんだ、そっち?別に、油断してたところにカウンター入れただけだからどうってことないよ。それにしても、やっぱり小鬼族だとしてもゴブリンとして見られちゃうのか…よし、絶対強くして、舐められないようにしてやる。ゆくゆくはゴブリンたちを束ねてもらう、まで行こうかなフフ」
「なんか悪い笑顔をしているような…」
〜〜〜
カランカラン
「…」
「ようこそ冒険者ギルドへ!あ、昨日の…レイさん、でしたね。ギルド長がお呼びですので、ギルド長室までお越しください。」
「え…そろそろ街を出ようと思っていたところなんですが…」
「そうですか、どちらまで行くかお決めですか?」
「出来れば王都まで行きたいんですけど…」
「分かりました。護衛依頼を見繕っておきますので、ギルド長室に行ってください。行っていただけないと私が怒られますので…」
「はぁ、分かりました。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます