第7話 ナナシ出発
「えっと…ギルマスさん、俺はなんで呼ばれたんですか…まさか不合格だったとか!?え、じゃあ、まさかあのデザートスネークの換金も認めてくれない、とか?」
「まあまあ、そう慌てるでないわ。まずお主は合格じゃよ、文句なしのな。」
「ああ。この俺に攻撃を当て、膝をつかせたんだ。誇っていいぞ。」
「このゴロッサはのぅ、巨人族の血も引いておるんじゃ。そんなゴロッサにその年齢で膝をつかせられるのは王都に神聖国家『ヒイブキ』の勇者様くらいじゃないかのぅ」
「そ、そうなんですね…よかった…。ん?じゃあなんで…」
「お主に伝えることと聞きたいことがあったからじゃ。まず、お主は合格なのは合格なのじゃが、その強さを鑑みてもFランクスタートはあまりにも役不足だと思ってのぅ。飛び級制度でDランクスタートにしてやろうと思う。どうじゃ。」
「あの、ランク、というのがよくわかってないんですけど、Aが最高でFが最低だってことであってますか?」
「その認識でだいたいあっとる。まだ質問はあるかの。」
「詳しいランクの説明等に関しては私共受付の方で資料をお渡しするので、またその後にいらしてください。」
「うむ。それが良さそうじゃ。それで、お主に聞きたいことなんじゃが、ルドルフは元気にやっとるか?」
「ルドルフ…爺ちゃんのこと!?」
「そうじゃの。クギ山に住んどる儂くらいのドワーフじゃよ。」
「多分爺ちゃんだ!知り合いなの!?」
「知り合いも何も、儂はルドルフの従兄弟、フロイド・シュヴァルツハインじゃからのう。ガッハッハッ」
「爺ちゃんは元気にしています。」
「そうかそうか。そいつは良かったわい。麓の村が襲われたと聞いてから気が気じゃなかったんじゃよ。ルドルフに限って遅れをとることはないと思っとったがの。」
「そうですか…」
「さて、時間も時間だし、お主、王都を目指しとるんじゃろ?今日はさっきの部屋を使い、明日でも明後日でも都合がいい日に出立するが良いわ。」
「はい!ありがとうございます!」
〜〜〜
どこか爺ちゃんに似た顔だ、と思っていたけど、まさか従兄弟だったとは、思いもよらなかったな…うん。いい土産話ができたぞ!!
さて、明日に備えて早めに寝るとするか。
〜〜〜
翌日
「はい、こちらギルドの説明書と冒険者ライセンスカードになります。無くさないように保管してください。」
「何から何までありがとうございました。」
「達者でな。クギ山に戻る時は絶対寄るんじゃぞ。」
「叔父ちゃん、絶対寄ります!ありがとうございました!!」
「うむ。…叔父ちゃん、か…」
〜〜〜
ナナシ街から王都まで間に5つ街を挟む。
ムナシ街もイツシ街も冒険者ライセンスカードを持っていたので素通り、なんの不自由もなく通り過ぎることができた。
「冒険者ってすげえんだな…ナナシ街の衛兵さんに感謝、だな。あの衛兵さんが優しく教えてくれていなかったら今頃お金は底をつき、叔父ちゃんとも会うことはなかったんだしなぁ…」
〜〜〜
シシ街の手前…
ゴブ林:ここはゴブリンが多く住む林。
そんな林の近くで野営することにした。ゴブリンと言うとどの絵本でも序盤に倒される弱い魔物だけど、実際は狡猾で不意打ちをしかけてくるから意外と厄介だって爺ちゃん言ってたなぁ…ちゃんと警戒しておかないとな。
〜〜〜
またこの夢だ。マグマの流れる世界。暗黒世界という名前が合いそうな…
「閻魔様!閻魔様はこれから現世に行かれるのですよね。現世には私たちの子孫が多く住んでいると聞きます。それも雑魚キャラとして。小鬼族当主としてお願いいたします。彼らを鍛えてあげては頂けませんか?」
「
「はっ!ありがたき幸せ!!」
〜〜〜
「はっ!い、今の夢は…」
「ギギィ!!」
「なっ、この声はゴブリンか!?」
慌ててテントから出る。結界石を置いているからこれ以上近づいて来れないようだが、外にはゴブリンが1匹いた。
聞いていたより人間に近い形をしていて、棍棒を振り回している。
「ギギィ!!(早く外に出てこい!俺の食い物になれ!!)」
「えっ、嫌だ!」
「ギィ?(なんだ、言葉が分かるのか?まさか仲間なのか?)」
「な、仲間?ち、違うと思うぞ。少なくとも種族は違う。うん。違うぞ。」
「ギギィ!!」
「ギギィ!!」
「ギ、ギギギ…(やべ、奴らが来た…)」
「奴ら?」
「ギィァ(そうだ。俺と同じ村の奴らだ。俺よりずっと強い。俺なんか奴らのせいで獲物が全部取られて…くっ)」
「3文字でこれだけと情報量入れられるって、ゴブリン語すごいな…」
「ギギギィ!(そんなことはどうでもいいんだよ!それよりも逃げろ、今ならまだ気づかれてないはずだ。)」
「どういう風の吹き回しだ?」
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