第5話 三十路OL、ショタと魔法のじゅうたんで空を飛ぶ

 いったい、何の音だろう??


 窓を開けて、バルコニーへ出る。

 あれって……まさか、

 魔法のじゅうたんやん!


 夜空に、魔法のじゅうたんに乗ったジャンがいた。


「ジャンくーん!何やってるのおおおおおー??」


 空に向かって叫んだ。


「すみません!驚かせちゃってえええええ!」


 なんだかんだ言って、この異世界で空を飛ぶ魔法を見たのは初めてだ。

 暖炉の火を起こしたり、台所で水を出したり――生活に最低限必要な、夢のない地味な魔法しか見たことがなかった。

 あれはトルコ風の、いかにも魔法のじゅうたんぽっい魔法のじゅうたんだ。

 

 しばらくひゅんひゅんトンボみたいに飛び回っていたが、徐々に、ローザのほうへ近づいてきた。


「ごめんなさい。まだ飛ぶのに慣れてなくて……」


「へー空飛べるんだー」


「その……あの……」


 うん??

 なんかまた、モジモジしてる。

「どうしたの?」


 ローザは優しく聞いてみる。


「……一緒に、空を飛びませんか?」


「え?」


「ぼくを、信じて!」


 ジャンは手を差し出した。

 

 って、


 アラジ○かよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!


 顔を真っ赤にしながら、プルプル震えながら、ローザの手をつかもうとする。

 

「ローザ様が悲しそうだったから……。ぼくにいろいろ良くしてくれましたから……。今日は夜空がきれいだったので、その、元気づけたくって」

 

 ジャン君はアラジ○にしてはかわいすぎるし、

 あたしはジャスミ○みたいなプリンセスじゃないけど……

 でも、なんだかとっても嬉しい。


「ありがとう!じゃあ、あたしを空の旅に連れて行って!」


 ローザはジャンの手を握った。


 

 

 



 

 

 

 

 


 

 

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