第4話 ショタの食事に萌えてしまう

 はあぁ……食べてる姿もかわいい!

 

 ジャンはチキンスープとパンを食べている。

 あったかいスープを、ちっちゃな口でフーフーして、音を立てないように、口を小さく小さくすぼめて、チョロチョロ飲んでいる。 

 パンは半分にちぎって、おいしそうに、リスみたいにかじってる。

 子どもだけど、一生懸命大人みたいに、上品に食べようとしているところが、とてもかわいらしい。

 

 前世で小学生の頃に飼っていた、ハムスターを思い出すなあ。

 まるで、とっとこハム太○が人間になったみたい……

 モンスターボー○を投げて捕まえたい。


「あの、ローザ様、ジャン君がかわいそうですよ。そんなに食べるところをじーと見ちゃ……」


 熱すぎる視線をジャンに向けるローザを見て、マリアがたしなめた。


「いいじゃない。減るもんじゃないし。ジャン君、あたしが見ているとイヤ?」


「全然、イヤじゃないです……」


 ジャンが恥ずかしがりながら、小さな声で言う。


「無理やり言わせてるじゃないですか……」


 マリアは呆れてしまった。

 

 ジャンが食事を終えると、もう夜中になっていた。

 一同は解散し、ローザも自分の部屋で休んだ。


 あー久しぶりにちょっと楽しかった。 

 ローザはベッドでゴロゴロしながら、ジャンのドレス姿を思い出していた。

 婚約破棄――その重たい現実を、忘れさせてくれる。


 でも……マリアの言うとおり、お屋敷に置いておくわけにはいかないわよね。

 とりあえず、お金をいくらか渡して、故郷へ返してあげよう。

 たしか、両親はダンジョンで死んじゃって、家族は王都でメイドをしている、お姉さんだけだっけ……。

 でも、故郷に帰れば、親戚の一人ぐらいはいるはず。

 もしも、故郷で誰も頼れる人がいなかったら……


 ううん。所詮、他人の人生だ。考えても仕方ない。

 あたしはあたし自身のことで、もう精一杯だ。

 前世の社畜時代と、何も変わらないな……。

 

 コンコンッ。

 窓を叩く音がする。

 いったい何だろう??

 

 ローザは起き上がって、窓へ近づいた。

 

 






 

 

 

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