第8話 浮気の真相 ②

 「ん?おぉ!か」

 

 「このままでは水掛け論になって話が進みません。お許しがあればを使いたいのですが」


 義父は賛成して許可をだした。


 「リュートよ、痛みもないし体には一切の負担はかからん、安心せよ」


 そういうと自らが立ち、リュートの方に向かって何やら呪文を唱えるとマーリンの目の前にあらわれた。


 それは、目玉のようなもので文旦ぼんたんというフルーツくらいの大きさだった。


 黒目はよく動いてまわりをみて瞬きもしていた。


 マーリンの杖が指す方向に移動し机の真ん中くらいでそれは浮遊していた。


 まぶたあるんだ、わたしは気味悪くなった。


 「まぁ、それはなんですの?」


 滅多に口を出さない義母が義父に聞いてきた。


 「あれか?まぁあれのことはそのうち話すとして今はリュートの記憶を確認することが先じゃ。」

 

 義父は義母にそう答えるとマーリンにはじめてくれと顔を縦に振った。

 

 「わかりました。」


 マーリンが答えるとまた目玉のようなものに呪文を唱えると目玉は部屋の天井近くまで飛んでいき眼から光線を出すと空中に大きな水晶のようなものがあらわれた。


 1mを優に超すその丸い透明な水晶玉のようなものは机の上にすれすれに浮いていた。でっかい水晶玉、はじめてみるかも。


 義母や兄妹もあっけにとられ水晶玉をのぞき込んでいた。

 

 「待ってください!説明くらいしてもよいでしょう!」


 リュートが怒って説明を求めるとマーリンは簡単に説明してくれた。わたしも知りたい。


 マーリンの説明では、名前を『真実の眼』というもので取り憑いた人物の行動や会話をつぶさに記録することができるそうだ。


 魔獣とかそういう類のものではなく、ただ単に記録・録音するというものでなんら害のあるものではないらしい。


 普段は姿がみえないがマーリンが特別な呪文を唱えると、姿をあらわし第三者でも確認出来、命令されるままに映像を映し出す魔道具の一種だそうだ。


 ビデオカメラのようなものかなぁ~あれば便利なものかも。


 リュートはいぶかしげに『真実の眼』をみていたが唯一の証明になることを理解したのか黙ってそれを睨んでいた。


 「どこから見るとしようか」


 マーリンが独り言のように呟くと


 「☆月の第二週目の中の日、昼前を。」


 リュートがすかさず言った。


 マーリンは『真実の眼』に杖を戻しまた呪文を唱えだした。


 『真実の眼』の瞳孔どうこうの部分が光り出し映像は鮮明に映し出された。


 場所はどこかの訓練所のようなとこ?一人は王国の騎士っぽいかなあとの二人はこの国アルフヘイムの警備隊の鎧に似てるけど・・・


 「やっぱり・・・無理か、」


 「リュートさま、お役に立てず申し訳ありません。しかし、そのような生物どこからこの世界に侵入したのでしょ?!」


 「わからん、何分にも資料が少なすぎるのだ。いま、資料を集めているところだが大したことはわかっていない。」


 「ともあれ、その生物の事こちらでもできるかぎり調べてみましょ!

人事ひとごとではありませんからな!」


 「くれぐれも他言無用で頼む!ここでよい、忙しいところすまなかったな。」


 渡り廊下の半分くらいのとこで他の二人の騎士は手を胸に当て立礼をして去っていった。


 リュートは中庭の中央に向かって歩いているとき建物の影からひとりの男がリュートのなまえを呼びかけよってきた。


 「リュートじゃないか?」


 彼はおもむろにその男を見遣ると思い出したかのようにその男に近づいていった。


 「スーリオン?」


 「おぉ、覚えてくれていたのか!久しぶりだな!元気そうだな。」

 

 ふたりは久しぶりに会ったみたいでエルフの挨拶をして笑いあっていた。

 

 「どうしたんだ、お前がここにいるなんて人族の国で将軍をやってると聞いたが、まさか首になったのか?」


 悪戯っぽくスーリオンは笑って見せた。


 「出来ればそうなりたいのだが、いろいろこき使われてるよ。おまえこそここに勤めているのか?」


 「あぁ、少し前から親父の命令でな、しかたなくさ。」


 「そうか、しかしまさかこんな所でお前に再会できるとはなぁ・・・」

 

 二人はお互いの近況報告と昔話に盛り上がっていた。

 

 ひととおり話が終わるとスーリオンは神妙な面持ちで話しはじめた。


 「リュート、実はな相談したいことがあるのだが・・・・・」


 スーリオンは上目使いでリュートをみながらいった。


 「相談?いいぞ!お前と俺の仲ではないか。話してみろ!」


 「込み入った話なのでここではちょっと・・・」


 スーリオンはここでは話せないので時間と場所を改めてくれるようにリュートにはなした。


 「そうしたいが・・時間かぁ・・」


 「無理ならいいんだ。たいしたはなしではないし、また今度会ったときにでも・・・」


 「そんなこというな!・・・そうだ!来週の中の日はどうだ?昼なら少し時間がとれると思う。あまり長い時間ではないがそれでよければ話を聞くぞ!」


 「あぁ!それでいいよ、ありがとう!恩にきる!」


 「どこで会うかだが・・・」


 「それならよいところがある!子供のころの秘密基地だ!今はだれも近づかない場所で人もいないから」


 「よし!来週の中の日、昼だな。場所は秘密基地!」


 「ありがとう!リュート!感謝するよ。」


 「友達だろう!何言ってるんだ。」


 二人はエルフの挨拶をして別れた。

 

 義父はマーリンに映像を止めるように合図しマーリンは映像を止めて義父が質問した。


 「これはなんだ?これがどう繋がるのだ?」

 

 「あの男は黄色の領地の息子です。」

 

 「なんだと!お前が女と会った場所は・・・」


 「森の外れのです。」


 リュートはわたしの顔をみて、

 

 「リリ、おまえはなぜあの場所にいたのだ?あの場所は散歩がてらに歩くような場所ではない。」


 「リュートの白衣を洗濯しようとポケットの中をみてたら紙切れが出てきてそれに書いてあったのよ。場所と時間が・・・四つ葉のクローバーも書いてあって・・・こっちでは恋人同士がよく使うって前に教えてくれたでしょ?だから、わたし・・・おかしいなって・・・。」


 「父上、きのう帰りにリリから女と会っていたときあの場にいたと聞かされたとき気がついたのです。あれは仕組まれたことだと」


 「それでおまえは黄色の領地にいったのか・・・・・。」


 「はい・・・リリ、その紙切れもっているか?」


 「それが、場所がわからなくて迷っているとその紙切れが蝶々のように飛んだの、その後を追いかけていたらあの現場に・・・紙切れはどこかに飛んでいって消えてしまったわ。」


 「ふむ、次は翌週中の日、昼だな?」


 マーリンはリュートに尋ねた。リュートは画面を睨んで頷いた。






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