第7話 浮気の真相 ①
お腹いっぱいになったので窓の方を見遣ると、薄いレースのカーテンが柔らかい光を部屋に招いていた。
そとはお昼近い感じで明るかった。
起きようかなぁ、ベッドテーブルを片づけてベッドから降りて立ってみたがフラつくことはないみたい。
あっ、討伐したときの装備のままだ。と、いうことはお風呂も入ってなかったんだ。家に帰って着替えるかな。
わたしはゆっくりとドアの方に向かってドアノブに手をかけたとき勝手にまわってドアがひらいた。
そこにはリュートが立っていた。
「起きて大丈夫なのか?」
心配そうにわたしに声をかけてきたけどわたしは聞き流しながら部屋をでると彼もついてきた。
「何かほしいのか?母上にいって持ってこさせるから無理はするな。」
なんというやさしい言葉、信じることはできないけど。
昨日、義父からいろいろ聞かれたときリュートの浮気現場での会話を思い出して段々腹が立ってきた。
もう少し穏やかに別れたかったのに。
子供たちには絶対知られたくない会話だわ、
「子供たちは?」
「あの子たちは学校だ、昨日はみんなこちらに泊まって朝は父上と母上が学校まで送ってくださった。だから心配することはないぞ?もう少し
自分では送らないんだ。
リュートの部屋は階段近くにあるのですぐに階段に到着した。わたしは階段の手摺りに掴まりリュートに
「家に帰るわ」
もう、会話もしたくないのでそのまま階段を降りていった。彼も一緒に階段をおりてくるのがわかった。
階段下では使用人が私たちがおりるのを待っているのか頭を下げて立っていた。玄関の扉に向かおうとしたとき聞き覚えのある声に呼び止められた。
「お目覚めかな?」
声の方を見遣るとそこには顎髭を撫ながらニコニコしてマーリンが立っている。
「家に帰る、着替えたいのお風呂も入りたいし」
「そうか、では・・」
そう言うとマーリンは指をパチンと鳴らすと
「それでどうじゃ?お前さんの好みじゃないかもしれんががまんしてくれ、風呂はあとでゆっくり入ればいいじゃろ」
マキシ丈のシフォンを使った着やすいボヘミアン調のクリーム色のドレスだ、胸も開いておらずわたし好みで足もとはドレスと同じ色のフラットサンダルでまったくこのじいさんわたしの好みよくわかってるわ。
マーリンはわたしの手を取ると居間のほうに誘い広いリビングに置いてあるソファにわたしを座らせると隣にすわりリュートも私のとなりの空いてる方に座った。
なんだろ、二人とも私が逃げられないように?両脇にすわっている。変な感じなによ・・・これ・・・そんなことを考えていたら、義父や義母、アノーリオン兄上、次女のカリナエリエル姉上が部屋に入ってきてソファにすわると、いつの間にか使用人がそれぞれのまえにお茶を差し出していた。
わたしだけお茶を出されないって、えっ?なんか悪い予感?
マーリンはわたしの考えがわかったのかのように、
「お前さんにはこれじゃ。」
昨日、出してくれた同じお茶を出してくれた。
「それはな、増血剤よりは弱いが同じ効能があるのじゃ、そのお茶と増血剤のカプセル、フルポーションはリュートの最高傑作じゃ、よう効くぞ!」
そういうとウィンクしながら自らカップにお茶を淹れてくれた。今更、そんなこと言われても何とも思わないわよ!何が最高傑作よ。ポーズよ!わたしのために何かしたって言う事実を残したかっただけよ!
みんな出されたお茶を飲んでいる。
わたしがマーリンが淹れてくれたカップに口をつけると同時に口を開いたのはマーリンだった。
「昨日、食事に招待されたので来てみればリリは倒れたというしリュートは監禁中だと言うしどうなっておるのじゃ、説明を求めたいもんじゃな!」
マーリンがそういうと義父が説明しだした。
わたしが離婚を言いだしたこと、その内容について事細かく・・・。
リュートの監禁て私も初めて聞いたので知りたいわ。
なんで監禁されたのよ?
義父の話ではわたしの話から推測してすぐにアノーリオン兄上にリュートを確保するように指示をだしたらしい。
あぁ、それで扉のほうを頻りに気にしてたのか、でもなんで?
「・・・・・ということで息子が言うには、黄色の領地に行き友人と話をしようとしたが友人から拒まれ、領地を閉ざされて入れてもらえなかったと。
その友人は領主の子息で知っているはずなのだがこのような行為は現在では反逆罪とみなされることを・・・
それで息子は反逆罪とみなし領地の入り口を破壊しそこへアノーリオンの指示で息子を探していた『アルフヘイム警備隊』が到着して息子を拘束し監禁ということになったらしいのだが・・・落ち着いた息子から話を聞いて、いまその検証をしているところかのう」
義父はひととおり話し終わるとマーリンをみた。
マーリンは頷きながら義父の話を聞いていた。
義父が話し終わるとわたしの顔をみて話しはじめた。
「まず、おまえさんに聞きたいことがある!わしはおまえさんの親代わりとして婚儀にも参加してるのはわかっておるな?」
「は、はい」
「ふむ、ならばなぜ離婚をリュートに話す前にわしに相談せんかった?」
「えっ?あ・・のそれは・・・だってリュートが悪いんだもん!あの女の人とキスして抱き合ってたんだからしかも子供たちのこと汚らわしっていったのよ?!彼は怒りもしないで話を聞いてたのよ!これって確かな証拠じゃないの?! 話し合う余地なんてないと思ってそれで・・・それ・・・で」
私は冷静さを失って子供のように泣きながら訴えた。
「待ってくれ!それは違う!おまえの勘違いだ!!」
「どこが勘違いよ!!わたしは確かに見たんだから!」
「ふたりとも待ちなさい!リュート、おまえの記憶を見せてもらってもよいか?セルシオン殿あれを見れば真実がわかると思うのですが」
マーリンは指先で頭をトントンと突くしぐさをして義父にウィンクしてみせた。
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