夫 婦 の 危 機
第6話 離婚してやる!
本当にやさしい人たちだ、リュートとはちがう。この家の人たち大好き!
リュートと別れてもこの人たちとは繋がっていたいなぁ。
「一人で帰ってきたのか?リュートはどうした?」
義父が聞いてきた。
どのみち話さなくてはいけないのだし、もう話してしまおうと思って帰り道のリュートとの会話を包み隠さず話した。
きっと反対はしないだろう、わたしの言い分を指示してくれるだろうと思ったんだけどとんでもない勘違いだった。
「それをリュートに話したのか?その・・ふたりが・・」
「はいっ!しつこく聞くからしかたなしに」
わたしがそう答えると義父は長男のアノーリオン兄上に何か耳打ちをしていた。
人族の王国で言えば王太子の地位にいる人?で跡取りである。
義父の仕事の手伝いを主にしているので幅広い知識と人脈をもっている人だ兄上はあわてて部屋をでていった。
どうしたのかな。なんかあわただしい、義母はオロオロしているし、長女のアグラリアン姉上は次女のカリナエリエルや三女のエルミア姉上たちと落ちつかない感じだし。
ん~わたしなんかやっちゃったのかなぁ。
いや、わたしじゃなくてリュートだね。
「それは本当にまちがいないのかね!リリ」
「ええ!わたし視力はいいほうなので間違いありません。二人の会話もききました。」
義父はわたしを椅子にすわらせて話に聞き入った。
「なんといったか覚えているか?」
「はい!私が結婚したので当てつけにあんな異世界人の小娘と結婚したんでしょ?しかも魔力がないと聞いています、あなたをそこまで追い込んだわたしがわるいのです。もう一度やり直しましょう。子供は里子にだせばいいし異世界人の血が入った子供など汚らしいですわあなたにはふさわしくありません、と」
「それでリュートは何と言ったのだ?」
「わたし、そこまで聞いたら気分が悪くなって逃げ出してしまったんです。それ以上聞く勇気なくて。 でもリュートはだまって話を聞いてました。」
「なんてひどい言いようだ!そのおんな本当に種族の血が流れているのか!黒魔女ではないのか?!!」
「マイグリン、落ち着きなさい。滅多なことを言うでない!!」
「でも父上・・・」
マイグリン兄上は精霊魔法医で、この国の唯一の病院のお医者様である。子供たちはみんな兄上に取り上げてもらってるの。
まぁ国立病院のお医者様ってとこかな、情け深くて熱血漢で奥さんのララノア姉上と手を取りあって怒っている。
ララノア姉上の方が少し冷静な感じがするけどね、看護師でいまも病院に勤めている。
義父はなにか考え込んでいてドアのほうを頻りにみてアノーリオン兄様がもどってくるのを待っているようだった。
もうお昼も過ぎて三時前くらいかなぁ、お腹すいた、そういえば襲われてかなり失血してるしなぁ。
ダンジョン内でご飯食べたけどまたお腹すいてきたしどうしよぉ。
そんなことを考えているとうちの長男のセオディンが下の2人を連れて学校から戻ってきた。
わたしを見つけると満面の笑顔で3人は私の方にかけよってきて抱きついてきた。
この子たちにあいたいがために生還したんだ!!3人を抱きしみんなの顔をみてまた抱きしめたのだった。
涙が止まらなくてもう絶対この子たちから離れないと決めたのだ。
義父たちはそんなわたしたちをみて涙を流していた。
「お腹すいたでしょう?何か食べる?」
「ははうえがつくったおやつたべるの~」
次男のクーリンディアがいうと長女のエリンがわたしが先にいいたかったのにと喧嘩をはじめたの。
「喧嘩はやめなさい!いま出してあげるから待っててね。」
立ち上がろうとしたら目眩を感じ、目の前が暗くなり、その場に倒れ込んでしまった。
気がつくとマイグリン兄上がわたしを抱きかかえてリュートが子供のころから使っていた部屋に運んでくれた。
「あ・・のすみません、どうしたのかなぁ、目がまわって・・・」
「大丈夫だから少し横になりなさい。いまララノアが増血剤を持ってくるからそれを飲んで静かに寝ていなさい。」
ララノア姉様が部屋に入ってきて薬を飲ませてくれた。
「すまない、医者でありながら気がつかなくて、かなり失血してるね、セオディンが私に教えてくれてねあの子は本当によく気がつく!」
セオディンが心配そうに二人のうしろから顔をだしていた。
二人のことは心配しないでとつげると三人は部屋をでていった。
わたしは幸せな気分になり安心して深い眠りに入った。
どれくらい寝ただろうか、夢も見ずに寝たなんてよほど疲れていたのかまだ頭が目覚めてない。
からだもだるい増血剤が効いたのか目眩はしないけどお腹すいたなぁ。
わたしは自分の空間倉庫から小さなベッドテーブルをだして飲みものを置き、食べるものをその上に並べた。
飲みものといっても麦茶に似たものなんだけど、冷たい麦茶を一気に飲み干した。
ふぅ~人心地着いたわ、少し頭がはっきりしてきた。
テーブルに並べた料理を食べはじめた。好物ばかりだからどれだけでも食べられる~口いっぱいに食べ物をほおばりガツガツと食べていた。こんな姿子供たちには見せられないなぁ。
なぜかある惣菜屋の料理だけはアレルギーをだすことはなくてそこで買ったものを私に食べさせていた。
その惣菜屋は当時では珍しく無添加無農薬の健康野菜とか餌とか環境に拘ったお肉とか調味料とかを使っていた。
いわゆる「スローフード」を実践したお店だった。
お値段も結構なものだった。家は共働きで収入は多いほうだったので毎日このお店を利用していたな。
あのお店のおにぎりやお味噌汁、卵焼きとかうまかったなぁ。
わたしの「味覚の根源!」といっても過言ではないのだ!
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