第5話 討 伐 終 了 !
足が勝手にうごくーーーー頭もクラクラしてきた。
防護マスクしてたのにガスにやられるって隙間があったのかなぁ。
いろいろ原因を考えているとあと一段で部屋にはいろうとしてる。
原因なんてどうでもいい、これじゃ本当に
なんとかしないと、抵抗も虚しく足は勝手に部屋の床についていた。
このダンジョンは全6階層からなっていて5階に主が待ち構えている。
わたしは今、目前にその
わたしの膝上くらいまでありそうな
もうだめ、掴まる、あれ?手が勝手にマスクをはずしてる?
完全に
死にたくない、生きて子供たちに会いたい!リュートの計画を潰してやりたい!
涙が止めどもなく流れて神様って叫んだような気がする。
足先はアギュウレバに掴まった!
動きは普通のスライムよりもゆっくりだけど足は包まれて動かない!
尻もちをついて足で抵抗したけど弾力性のある体には反応がない・・・・・・
眠くなってきた、めちゃくちゃ眠いダメよ!!
寝たら死ぬ!!目を覚まして!!
あいつのせいでこんなことになったのよーーー!死んだら化けて出てやるぅー!
それからの意識は消えて長い夢を見ていたのね・・・・・。
つぎに目覚めて必死で手を
リュートは副官にあとを任せるから少し待ってるようにわたしに言うとテントの方に歩いて行った。
マーリンは椅子とテーブルを出して座るように促し、お茶を出してくれた。
それはやさしく身体に染み渡っていく。
マーリンは
「マーリン、話は後でいい?少しこの至福のときを味わいたいの。」
「そうか。」
マーリンは私の顔を見て一緒にお茶を飲んでこう言った。
「フルポーションはよく効いたみたいじゃのう。」
「ん?」
マーリンが尋ねてきたのでまたお茶を飲んだ。
マーリンは下でなにが起きたか知ってるような口ぶりだけど無視だわ。
いまはただ生きてることに感謝して子供たちにはやく会いたかった。
それに思い出したわ、リュート、あの人に離婚宣言しないと!
わたしが生還したこともきっと想定内だったでしょうから。
でも不思議だわ、ダンジョンに入る前よりは憎んでない悔しくもない、なんでだろ。
思うに死を目の前にして生きることの幸せを知ったから?
・・・ふふふ・・・少し大人になったかなぁ。
あの人にはあの人の幸せがあるんだし私はあの子たちがいたらそれでいい、なにもいらないわ!
「リリ、帰るぞ。」
彼はそう言うとハルシオンを召喚してわたしを席から立つように促した。
来たときと同じように自分の前にわたしを乗せるとマーリンに
「はやく来ないとなくなるぞ?」
マーリンはふっと笑うとはやく行けと手を振ってみせた。
ハルシオンは勢いよく空めがけて舞い上がり帰路についた。
リュートはわたしの腰にしっかり手をまわして前を見ている。
「もう二度とこんなことはさせないから、今日のことは許してくれ。おまえが無事で良かった!リリ俺は・・・・・・。」
「もういいよ、わたししか隔離出来ないんだったらしょうが無いもん。でも次、おなじ依頼があったら、わたし逃げるよ?子供連れて」
「そうだな、そのときは俺も一緒に逃げよう!」
リュートはわたしの顔をのぞき込んでみつめている。
ハルシオンをホバリングさせ、顔を近づけてきた。
「あ、あのね話があるんだけど」
わたしは慌てて話しを切り出した。
「はなし?今しなければならないのか?」
「はやいほうがいいと思うよ?!」
「よし、聞こう。つまらない話しだったら怒るぞ。」
「リュートにとってもわたしにとっても大事なことよ」
「わかった、話せ。」
私はリュートと離婚したいと告げた。
彼は一瞬理解できないでいるのか眉をひそめて顔をあちこち向けて首を傾けていた。
わたしは彼が二つ返事で承諾すると思っていたので彼の反応がわらなかった。
「どう?これであなたも自由になれてやり直せる。そのかわり子供はわたしが連れて行くね?残っても新しい奥さんに可愛がって貰えないだろうし辛い思いさせたくないの、あの子たちには。」
「・・・・・理由は『アギュウレバ討伐』のことか?」
「それも関係してるかなぁ?」
「他にもあるのか?それも聞きたい!それに新しい奥さんとか遣り直せるとかどう言う意味だ?!」
「それは言いたくないかなぁ~」
「ふぅ、リリおまえが異世界人で感覚も考え方も違うのは俺なりに理解しているつもりだが、理由も言わずに離婚したいという話は到底受け入れられるものではないぞ!」
「もう!せっかくわたしから離婚してあげるって言ってるのに何で喜んで受け入れられないの?!リュートの都合の良いようにしてあげるって言ってるのよ?その代わり、養育費と慰謝料は貰うわよ?子供たちの将来もあるし!」
「だから、理由をいえ!『アギュウレバ討伐』のことでおまえが別れたいと言うのは理解出来るが・・・・本当の理由がそれでないと言うのであればそれを言え!」
彼はしつこく理由を聞いてきた。こうなったら話すしかないかなぁ。
「いまから2ヶ月前・・・私みたの・・・・・その・・・あなたが昔の彼女とキスしてるとこ。」
彼の顔がだんだん曇ってきて家につくまで一言も話さなかった。
家に着くとわたしをおろしてまたハルシオンに
「なに怒ってるのよ!怒りたいのはわたしの方よ!!」
庭から実家の居間に入った。
義父や義母達はわたしの姿をみるとみんなかけよってきて泣きながら抱きしめてくれた。
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