第9話 巡り循るわらべ歌

 元宮幸斗からの話を聞き終えた康平は琥蒲第三小学校前に待機している晴彦と合流し、念の為この話を聞けば巻き込まれる事を伝えたが、もう既に決めた事だと晴彦は言い切り今回倒すべき敵について教えてほしいと意思を示す。そんな決意に満ちた彼の様子を確認したあと康平は元宮幸斗の身に起きた不可思議な現象の顛末を話した。



「七不思議の7つ目、それが今回の倒さなくちゃならない……敵? 他に何か良い言い方無いかな?」


「バケモノで良いと思うけど、分かりやすいし」


「あの時のバケモノを思い出しちゃうから、もっと別の呼び方で一括りに出来ないかなって」


(そんなくだらん事で悩むなアホらしい)



 康平の頭の中で駈剛がそう発言するが、聞こえていないフリをして晴彦と話を続ける。



「怪奇現象? うぅん、何か違うような」


「あんまり僕も詳しいわけじゃないから、ああいう相手のことを何て呼べば良いのか分からないかな」


(全く、この手の知識が無いとこれから先やってられんぞ……。一応人間どもの間では俺様達のことを“怪異”と総称している、そう呼べばいい)


「えーっと」



 康平は駈剛の言っていた怪異という単語を、持っている携帯で検索し意味を調べた。道理では説明がつかないほど不思議で異様なこと、ばけもの。そういった意味であることを理解したあと晴彦にその画面を見せた。



「調べたら、ちょうどいい単語があった。これ」


「ん、怪異か。なるほど確かに合ってるね、今相対している敵の呼び方としては」


「うん、これからは僕らが倒す対象を怪異と呼ぼう。じゃあ早速今回の怪異である七不思議の7つ目だけど、これって7つ目を知っていれば会えるの?」


「……ごめん、あんまりそこはよく分かってなくて」



 康平の中に居る駈剛がバランスを崩した。確かに康平は元宮幸斗から七不思議の7つ目である“黄昏時にかごめ歌を聞いたら異界に連れていかれる”という内容や彼の被害状況は聞いた、そこへの侵入方法も聞きはしたが康平の要領を得ないものであったらしい。



「ただ午後5時に学校に入ってかごめ歌を聞けば良いのか、かごめ歌を聞いた上で何かをすれば良いのかは幸斗君から聞いてもよく分からなくてね。実際、そのかごめ歌を聞いた筈の元宮君は今もこうして被害に遭って無いし攫われた訳でもないし」


「あ、そっか。かごめ歌を聞く事が引き金になってるんじゃなくて、もっと別の要因で引き込まれるんじゃないのかって事か」


「多分ね。まぁそれよりも──」



 持っている携帯の時計機能に映し出された時間は16:28分、まだその7つ目の噂であるかごめ歌が流れるには若干早い時間である。康平自身はこのままでも構わないと思っているが、社会的に見て小学校の前をおよそ30分の間ただ立ち尽くすというのは如何なものだろうかと考えた。



「晴彦君、少し小腹でも満たそうか」


「良いけど、近くにあるの?」


「あるよ。すぐそこだし、飲み物でも頼んでちょっと休もう」



 その誘いに了承し、以前訪れた小さな喫茶店へと足を踏み入れる。店主が彼らの方を見やり、康平を視界に捉えると、どうやら憶えていたようで。



「お、いらっしゃい。今度はツレも一緒かい?」


「ええ、少し近くまで寄ったので休憩がてらに」


「そうかそうか、ちょっと待ってな」



 店内を見れば5名ほどの人数が店内に居て、時折テーブルに置かれたお茶を飲みつつテレビや新聞、雑誌などを見て各々過ごしている。その様子を見ていると店主が奥の席へと案内し、2人はそちらへと座った。お手ふきと水が差し出されテーブルの上に置かれると早速、康平はホットコーヒーを、晴彦はグレープジュースを頼み少し待つ。その間は少し水を飲んで今回の方針を再確認していく。



「にしても、どうしようか」


「向こう側の世界に入る方法だよね」


「かごめ歌を聞くにしても、実際に流れるかは分からないし。今日学校へ入るにしても、休みの日に入れてくれるかどうか……いや無理だ。そもそも入れる条件がかごめ歌以外に何があるのやら分かってないし」



 唸り、頭を抱えて悩む。条件を手探りで見つけていかねばならず、前例などない未知の領域を進んでいく必要があるのだ。今の2人の状況は、どのように起動するか分からない機械と相対しているのと同じような状況だった。


 そんな中、店主がホットコーヒーとグレープジュースが置かれたトレーを運んでこちらに持って来た。2人は一度凝り固まった頭を休ませる方を選ぶ。



「はいお待ちどうさん。ホットコーヒーとグレープジュースね」


「どうも」


「ありがとうございます」


「そういやお二人さん、何を悩んでたよ? 気難しそうにウンウン唸って」


「あー、えーっと」


「……! あの、つかぬ事をお聞きしても良いですか? 昔僕、琥蒲第三小学校に通ってたんですけど最近どうなってるか殆ど知らなくて。何か変な噂とか、こんな事があったなっていうのを聞きたいんですけど」



 意外とアグレッシブに行動し始めた康平に晴彦は毎度の事とはいえ驚く。確かにこの喫茶店は歩いて2〜3分もしない辺りに位置し、琥蒲第三小に起きたことをある程度は知っているかもしれない。小さな可能性だったが、康平にとってはどんな些細な事でも手に入れられるのならと動いたのだ。



「へぇ、卒業生か君。幾つ?」


「今年で17です」


「17か。おじさん3年前にこの店建てたから、君のことを知らないのも当然か」


「3年前ですか。では僕がいない時に起きたことを知っていたりは?」


「うーん変わった事ねぇ……」


「変わった事なら前にあったじゃない」



 そう言って話に割り込んだのは別の席に座っていた60代ぐらいの女性からだった。この女性のことに対して2人は詳しい訳では無いものの、話を聞いているとかなり耳ざとい性格をしているのだろうと感じられた。


 曰く、琥蒲第三小学校の児童に対して苦情を叫んだ事のある人物が居たとか。叫んだというのは読んで字の如く、しかも実際に直接学校に入り込んでは怒鳴り散らしていたとのこと。駆けつけた警察によって逮捕されたものの、その後の行方は分からずじまい、とのこと。何やらここ最近、琥蒲第三小学校の辺りではトラブルが多いらしい。



「他には何かあったりしますか?」


「他ねぇ、えっと……」


「そういやこの前、子どもが事故に会いそうになったとかあったな。あの小学校前で」


「事故?」



 女性に続くようにして話題を切り出したのは、70代ぐらいの男性。彼いわく、つい最近その光景を見たという。信号のない横断歩道を渡ろうとした3人の児童が、歩行者優先の規則を無視した車に撥ねられそうになったらしい。幸いにもその児童たちに怪我は無かったものの、この1件を学校側から警察に伝えるように連絡を入れたようだが、その後どうなっているのかは定かでないと言った。


 ここまで聞いていて分かったのは、異様にあの琥蒲第三小学校は昔に比べてトラブルに巻き込まれているような印象を受けた。通っていた頃は少なくとも当時にそんな噂を聞いた覚えが無いと康平は考える。となれば怪異が動き出したのは卒業以降と予想されるが、肝心の条件を満たしそうな内容があるというわけでは無かったようで、思考の海に浸らないようにミルクと砂糖を入れてコーヒーを飲んだ。


 色々と客が琥蒲第三小で起きたその手の話題を喋り続けているが、掴めそうで掴めないような錯覚に陥る。色々な話を聞いているが次第に雑談になっていき、この店での情報は得られないと決めるとコーヒーを飲みながら晴彦と談笑を始めた。



「そういえばさ、晴彦君。秀司と何を話したの?」


「うぇ? きゅ、急だね」


「秀司がどんな事を喋ったのか、ちょっと気になってね」



 ティーカップをソーサーに置き、穏やかな表情でそう問いかける。康平は基本このように穏やかというか、表情の変化というのが豊富ではない。昔はそうで無かったのだが、今はこのように起伏が少なく、どこか能面味を感じさせるようになっていた。


 とはいえそれ自体はもう長い付き合いになっている晴彦にとっては些細な事で、当たり障りのない返答をする。



「これからも康平君と仲良くしてねって、あと千田精肉店の店主さんからも」


「そっか。千田さん、かなり快闊な人だったでしょ。初対面だとちょっと引くぐらい」


「ううん、親しみやすくて良い人だと思ったよ。康平君と康平君のお母さんのことを色々と気にかけてるみたいじゃないか」


「色々と助かってるし、ありがたいんだけどね。時々ちょっとやり過ぎる所があるから、もう少し落ち着いてほしいんだけど」


「あぁ、でもそれはちょっと分かるかも」


「でしょ?」



 歓談を交わす2人であったが、ふと康平が時間を確認するとあと10分ぐらいで5時になろうとしていた。とはいえこの場所から学校まで徒歩ですぐ着くため、あまり急ぐ必要も無いのだが晴彦にはそれを伝えた。



「あと10分みたい。まぁ、ここから近いしそんなに慌てなくてもいいよ」


「そう? ならちょっとだけ、ゆっくりしよっかな」








 ギリギリまでその喫茶店で休んだあと2人は会計をして退店し、午後5時になる頃合で琥蒲第三の正門前に到着した。そこから少し待ってみたが、一向にかごめ歌が流れないし聞こえない。30分ほど待ってみたはいいものの、それでも30分前と同じ結果であった。どうやら今回は当てが外れたようだが、実際に成功するとは康平自身も思ってなかった。とはいえこれで、かごめ歌を聞く以前に他に必要な条件があることを知れた。あとはそれらに対する謎を解明するだけである。



「とりあえず、今日は帰ろう。無駄骨ってわけじゃ無いけど、待ってても多分反応の方も無いだろうし」


「そうしようか。にしても条件って何なんだろうね?」


「それはまだ分からないけど……うーん、まだこれも仮説とは言えない妄想だし。思いつくものはあるけど、もう少し考えを煮詰めてみるよ」


「それって?」


「多分なんだけど──」


「そこの2人ー、少し止まってー」



 不意に呼び止められる声に反応し、そちらへと振り向けば警察の服装をした人物が2人ほど来ていた。その警察官達は彼らのもとまで来ると、やって来た経緯を伝えたあと訊ねた。康平は嫌な予感を察知した。



「どうもー、自分らここをパトロールしてるんですけど」


「はぁ」


「この辺り、最近物騒になってきたでしょう? この小学校もトラブルが頻発してるし、この近くでも色々と怖い事が起きてるからさ。それでこの辺りに何で居たのか聞いても?」



 職務質問らしい。しかしなぜだか康平の予感は悪い方向に働いているようで、訝しみながらもこちらからも質問を投げかけた。



「その質問にお答えして、特に何も無ければ解放はしてくれるんですよね?」


「素直に答えてくれれば、すぐに戻りますよ。けどおかしな様子とか物を見たら、それについて聞いたりするかも」


(おい、コイツらなぞさっさと放って帰るぞ。構っている暇なぞ無い)


「でしたら、こちらからの条件を呑んでいただけるのであれば応じます。条件を提示しても?」



 駈剛からの催促が来るが、康平はこのような形で対応し反応を見る。前に居る警察官は少しだけ目尻が下がり眉をひそめたため、あまり好意的な反応とは言い難い。後ろに居た警察官は康平の問いに反応した。



「その条件を呑む必要はあるんですか?」



 ここで確信した。この2人は確かに職務質問をしに来たが正当な理由を述べようと、何が何でも怪しいと決めつけそうな雰囲気がしていた。晴彦を守るようにして、康平はその問いかけに答える。



「僕たちは貴方々の職務質問に対して拒否する事が出来る。しかしその方法ではなく、あくまで応じるという形を取るんです。こちら側の要望を多少取り入れることでお互い無駄に時間を浪費したり、トラブルを避けるためにも、一般人からのお願いは素直に聞き入れても良いはずですよ?」


「ではどういった条件を?」


「単純な話ですよ。僕たちが職務質問に応じる代わりに、貴方々には誓約書を書いてもらった後、会話内容を録音しながら職務質問を行うというものです。簡単な話でしょう?」



 ただ静かに、何の感情も湧かないようにそう言った康平。しかしその発言に前に居る警察官が舌打ちをした、まるで隠そうともしないその横柄な態度に呆れてものが言え無くなり、この2人に関わったことが間違いだとして思考を変える。



「どうやらもう1人の方は条件に納得していないようですね。これ以上話すこともないので、今回の職務質問は拒否させていただきます」


「いやいやいや、ちょっと待ってください。ただ質問を受けるだけなのに」


「その質問を受ける受けないを決めるのは、我々一般人にある事をご存知では無いのですか? 警察官なのに。僕たちには拒否権を行使する権利がありますが」


「おい」



 その言葉に反応しようとしたが、前に居た警察官が康平の肩を掴み学校の壁へと移動させ、逃げられないようにした。どうやらこの警察官は血の気が多いらしい、先程の掴んだ手に苛立ちが込められていたのが感じ取れた。



「いいからさっさとこっちの質問に答えろ、簡単な事だろうがよ。公妨で逮捕するぞ」


「それが本性ですか、こんなのでよく警察官になれましたね」


「ああ゙?!」


「まあまあ待て待て」



 後ろに居た警察官が宥めながらも、それを止めようとしない所に悪徳具合を感じられる。その警察官はこの状態を解かないまま康平に話しかけた。



「すまないね、コイツ血の気が多くて」


「でしたらこの方を離れさせてくれませんか? こんな状況では脅迫と捉えられますよ」


「脅迫かどうか判断するのはこちらだ。有形力の行使を知らないだろう?」


「知ってますよ、法律関係の事はよく勉強してますから」


「なら話は早い。君はそこで大人しくしてなさい」


「そんな条件を呑めるわけないでしょう」



 そう言い終えた直後、康平の右耳に風を切る音と硬いものに何かがぶつかった音が聞こえた。見れば康平の右側の壁を殴ったようだ。康平を抑えている警察官は壁を殴っても大して効いて無さそうな様子を見せており、かなりの肉体派らしい。話なぞとてもでは無いが通じないらしい。



「康平君!」


「すみません、コイツは私でも抑えられない荒くれ者でして。もう一度お尋ねしますが、職務質問を受けてくれますか?了承いただけるならば解放するように交渉してあげますよ」



 最早何も言うまい。この警察官達が何を言っても自分達の言う通りにしないと暴力を行使するスタンスであることに対し、若干の憐れみを持ってしまった。康平の中で抑えていた感情が少しずつ膨らみ、マグマのように静かに煮えたぎり始めた。



「…………呆れた、こんな手段でしか職務を全う出来ないのか。とんだクソ野郎共が居たもんだ」


「あぁ?」


「国家権力が聞いて呆れる。お前達は自分達の持つ権力にどんな責任が働いているのか考えた事があるのか? それを理解せずに理不尽を振りかざすのか? それがお前達の仕事なのか?

違うだろ。お前達は人々の安全を守り、治安を維持するために居る。それがお前達に課せられた責務だ、それを無視した行為をするなんてのは以ての外。お前達みたいな人間が警察に居る事実に反吐が出る」


「お前、本気で痛い目みなきゃ分からんらしいな。」


「やめろ! 彼に手を出すな!」



 相手は完全に本気になった。もはや職務の体裁を保つ事など無理難題すぎる、それを止める晴彦の声が響くが康平は真っ直ぐその警察官の方を見て告げた。



「やってみろ、ただし自分がどうなっても良いのなら……!」


「嘗めた口ききやがって……よっぽど痛い目を見たいらしいなァッ!」



 警察官が康平の服を掴み動きを封じると、そのまま拳を振りかぶる体勢に入った。このままでは間違いなくあってはならない事が起きてしまう、そんな時であった。



「そこ! 一体何をしている!?」



 その叫んだ声に全員そちらを見る。道路を挟んだ場所から走って此方に向かってくる1人の男性が駆けつけてくると、その警察官と康平の間に割り込み両者を引き離す。康平とその男性はお互いの顔を知っていた。



「刑事さん」


「君は……! 少し待っててくれ」



 その男性、内田の言う通りに頷き晴彦と共に1歩下がる。2人の警察官は内田に睨みを効かせ、威圧するように立つ。



「失礼ながら、どちら様で?」


「まずはそちらの所属と名前を言ってもらおうか、警察なら先に提示する義務がある」



 康平と晴彦の時は提示していなかった警察手帳であったが、その2人は渋々といった様子で警察手帳を見せるが一瞬に終わり、どこの誰であるのか3人は分からなかった。



「きちんと見せろ、それでは職務怠慢だ」


「ですが見せたでしょう? これ以上手を煩わせたくないんですがね」


「非番ではあるが俺も警察だ。そのような態度で、提示して確認しなければならない物をすぐに見せず所属を明かさないのならば、それ相応の覚悟はしてもらうぞ」


(郷田ごうだ 良樹よしき横峯よこみね さとると、脅すなら使え)



 よくあの一瞬で分かったものだと感心と驚きを見せる康平は、早速その名前を使い他の警察を呼ぶために携帯の電源をつけ──電話線とネット回線が全て繋がっていない事に気付く。まさかと思ったその直後、この場にいる全員に聞こえるように学校のチャイムが聞こえた。今は午後6時に差し掛かろうとしている頃、空を見れば夕暮れ──ではなく異様に赤すぎる空模様が映し出されていた。


 全員、学校の方へと見やる。そうして学校のチャイムが鳴り終えた所で今度は歌が聞こえた。少女のような声でその童歌は彼らの頭の中に直接響いている。



━━ かーごーめ、かーごーめ。

   かーごのなーかのとおりぃはー。



「かごめ歌、まさかっ!」


「ああ、来るよ……!」



━━ いーつ、いーつ、でーあーう。

   よーあーけーのばーんーに。



「かごめ歌、一体誰が?」



━━ つーるとかーめがすーべーったー。



「何だ、一体?」



 各々がそのかごめ歌に反応し、誰もそこから動かずに居た。そうして歌詞は終わりを迎える。



━━ うしろのしょうめん、だーぁれ?



 それが言い終わった瞬間、全員の頭に直接響く黒板を引っ掻き続けるような不快音が襲った。全員が咄嗟に耳を押さえるがそれでも効果はなく、どんどん音が大きくなり立つことさえ儘ならなくなる。唯一康平だけは何とか立っていられるようだが、それでもこの不快音と併発する頭痛に対し苦悶の表情を浮かび上がらせている。


 そうして康平だけがその光景を見た。まるでテレビのザッピングのように視界に映る光景が変わっていき、やがて自分たちの居る場所の景色も正門前ではなく何処かの屋上に変わっていくではないか。やがて全ての景色が変化し終えると唐突にその不快音が消え去った。皆一様に変わった景色を視界に捉え、康平と晴彦以外は何が起きているのか分からずに居る。



「なんだ、ここは?」


「屋上? いやしかし……」


「一体どうなってやがる、さっきのは何だ?」





「ようこそ、私の領域へ」



 全員か少女の声がした方へと見た。どこかの屋上に、この時間帯というシチュエーションがより一層不可解な状況に頭が付いてこない。しかしその少女はそんな事は意に介さず、ただ淡々とこの場に居る全員に告げた。



「ねぇ、私と遊びましょう?」

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