第11話

ハルマ「はぁ....どうすればいいんだろ....」


防御だけでは乗り切れない、分かってはいたことだった。


リク「よっ!ハルマ!」

ハルマ「ん?あ、リクさん!」

リク「随分と悩んでるね、さっきのこと?」

ハルマ「はい」


攻撃技となると、何も思いつかないでいた。


ハルマ「自分でもいつかは考えなきゃいけないことだと分かってはいたんですけど、どうにもイメージが湧かなくて」

リク「ん~....確かに格闘術だけだっだもんね」

ハルマ「なにか...きっかけがあれば」

リク「なぁ、ハルマ、本当に君の能力で出来るのは防御だけかい?」

ハルマ「え?」

リク「もしそう思ってるんだったら、もう少し頭を軽くしてもいいと思うんだよね」

ハルマ「それってどういう」

リク「俺が言える大ヒントはここまで、あとは自分で考えて」


リクは3年早くこの場に居る。

彼自身かなり優秀で、訓練と任務を積み重ね、今では相当な能力者になっている。

その上で気になることは"2つ"あった。

他のメンバーはこのことをどう思っているのだろうか。


ジョーカー「なぁ、ハルマの能力ってよ....やっぱなんか変だよな」

ケイタ「なにが?」

ジョーカー「なにって....分かんねぇけど」

エダ「でも、私も見てて思うよ」

ケイタ「えぇ~、そうかなぁ、アンデはどう思う?」

アンデ「俺?....ん~、まぁ特殊だとは思うぞ」

ヒナ「私たち自体特殊な力持ってるじゃん」

アンデ「いやそういう意味で言ったんじゃなくてだな....」

ケイタ「でも確かによくよく考えれば...」


ラジャル、アオ、リク、ハルマ以外の9人が揃って気になっていることがあった。


アオ「奥?」

ラジャル「うん」

アオ「なんですか?それって」

ラジャル「まぁ考えてみれば分かることなんだけど、彼ってほんとに特殊なんだよね、ジョーカの炎、アンデの毒を見ててもやっぱり能力は攻撃が基本となる、防御はその後だ。なのに彼は全部が逆なんだよね」


ハルマの能力は同業者から見てもかなり特殊だった。


アオ「それは、確かにそう思いますけど」

ラジャル「これまで訓練を見てきたけど、ハルマのシールドは普通とは何か違う気がするんだよね」

アオ「というと?」

ラジャル「まぁこれは俺の勘なんだけど....」


━━━━━次の日


ラジャル「さぁ!今日も始めるよ!」

ジョーカー「すみません」


そこでジョーカーが手を挙げた。


ラジャル「お?なんだなんだ?」

ジョーカー「私が最初でしていいか?」

ラジャル「おぉ、積極的だねぇ、良いよ!」

ジョーカー「対戦相手も私が選ぶぞ.....ハルマ」


ジョーカーの指名はハルマだった。


ハルマ「えぇ!?僕ぅ!?」

ジョーカー「あぁ、やってくれるだろ?」

ハルマ「でも、僕とやっても」


ハルマはまだ自分では相手にならないと考え、断ろうと思った。

だが.....


ハルマ(違うだろ....ここで逃げたって何も変わらない、勝てないことは、戦わない理由にはならない)


ハルマ「うん、やろう!」


その顔にはどこか吹っ切れたような気持ちが現れていた。


ラジャル「ふふっ.....いいよ!」


対人訓練 ハルマVSジョーカー


アンデ「なんか、メインイベントになりそうな予感がするな」

ケイタ「なんかハルマも良い顔になってるし!やってくれるぞ!」

ラジャル「それじゃ、よーい....はじめ!」


合図と同時にジョーカーが技を繰り出す。


ジョーカー「#炎銃__フレイムショット__#!!」


ジョーカーは炎の弾丸を撃つ。

だが、ハルマはいつものように防御はせず、その技を避けた。


エダ「避けた!」

アイズ「いつもだったらシールドを作ってたのに」

ステラ「変わろうとしてるんだよ、あいつも」

ジョーカー「今までとは違うってか?だが何もしないなら今までと同じだぞ!」


なんとかハルマは避けるが、中々攻撃が出来ずにいた。


ハルマ(やっぱり強い....でもここできっかけを掴むんだ、ほんの小さなものでもいい!)

ジョーカー「まだ終わらないぞ!#炎舞__レクイエムファイアー__#!」


その炎はまるで、蝶のように舞いながら、蜂のように素早く飛ぶ


ハルマ「まずいっ!....#絶対防御__パーフェクトシールド__#!!」


大きな爆発が起きるほどの威力だったが、ハルマはなんとか無事だった。


ハルマ「ごほっ!ごほっ!」

ジョーカー「ほんとに堅いな、だが、まだまだ私は燃えるぜ!!」


ジョーカーの手に火の玉が現れた。


ジョーカー「ちょっとした新技だ、行くぞ!#龍の息吹__レッドドラゴン__#!!」


炎の龍が現れ、龍の口から炎のブレスが吐き出された。


ハルマ「どうする!なにかヒントは」


━━━━━リク「なぁ、ハルマ、本当に君の能力で出来るのは防御だけかい?」━━━━━


ハルマ「俺に...出来ること....そうだ!」


何かを閃いたハルマはシールドを展開した。


ジョーカー「っ!?」

ジョーカー(なんだ....シールドか?いや、今までとは何か違うぞ.....!!)

アオ「....あれは」


━━━━━ラジャル「彼の能力は防御を具現化する能力だと思うんだよね」

アオ「それはシールドだから当たり前なんじゃないんですか?」

ラジャル「それはそうなんだけど、防御と言っても色々な種類がある、例えば....」━━━━━


"技をはじき返す"


ハルマ「#反撃の壁__カウンターシールド__#」


誰も予想しなかった、ハルマはジョーカーの技を弾き返した。


ジョーカー「マジかよ!#炎舞__レクイエムファイアー__#!」


弾き返された事に焦ったものの、どうにか自分の技で相殺しようとしたが、大きな爆発が起きた。


シロナ「ど、どうなりました?」


段々の煙が晴れていき、少しずつ状況が見えてきていた。


ジョーカー「はぁ.....はぁ......これは、予想外だった.....」

ハルマ「はぁ.....はぁ.....」


2人は立っていたが、もうお互いの体力は残っていなかった。


ラジャル「よし、そこまで!良い勝負だった!」

ケイタ「おぉぉぉ!!!すげぇぞハルマぁ!!!」

エダ「ほ、ほんとに....腰が抜けそうだわ....」

ジョーカー「へへ....最後はやられたよ、ハルマ。今回は痛み分けだ、ありがとうな」

ハルマ「うん.....こちらこそ、ありがとう」


ハルマの成長を疑うことなど誰もしていなかったが、昨日の今日でこれをやり遂げると予想したのは何人居ただろうか。


ラジャル「人の成長速度は必ずしも一定じゃない、きっかけさえあればいくらでも強くなる....この子達の未来が楽しみだね」

アオ「えぇ....」

リク「僕も楽しみです....」



To be continued

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