第6話

波が立ち、風が吹く。

ここは、とある海の上。


「状況はどうだ、ネル」

ネル「はい、ザブレス隊長、目的地まであと3日ほどだと予想されます」

ザブレス「あと....3日」


波に乗ってやってくるものは....


ザブレス「下がっていいぞ、ネル....他の隊員にはいつでも行けるように準備だけはさせろ」

「........」

ザブレス「おい、聞こえないのか?」

「ぷふっ」

ザブレス「何を笑ってやが.....お、お前は....!!」

「ご無沙汰しておるの、航海は順調か?隊長殿」

「全く、お前の変装ごっこにも飽きてきた」

「釣れない事を言うでない、似合っておるぞ?」

ザブレス「なんでここに居る....!!オニメ!!.....レイカ!!」

レイカ「あ?私らに対して随分な態度を取るじゃねぇか、口の聞き方には気をつけろ」

オニメ「まぁよせレイカ、別に喧嘩をするためにここに来たのでは無い」

ザブレス「じゃあ....何しにここに来た」

オニメ「ちょっとだけ遊びに来ただけじゃよ」

ザブレス「ふざけるな!!」


そう言った瞬間、ザブレスの腕はキツく締められた。


ザブレス「ぐぁっ!!な...なにを....!!」

レイカ「口の聞き方には気をつけろと....そう言ったはずだ、数秒前に言ったはずなんだがな、お前の頭は鳥以下か?」

オニメ「離してやれ、レイカ」

レイカ「ふんっ」

ザブレス「がぁ....はぁ、はぁ、はぁ」

オニメ「少し協力してやろうと思ったんじゃが、どうじゃ、乗る気は無いか?」

ザブレス「だ....誰が....!!」

オニメ「ふむ....そうか....悪い話じゃないと思ったんじゃがの」

ザブレス「化け物風情が....」

レイカ「....っち!!」

オニメ「レイカ、よせ」

レイカ「だがよ、こいつ」

オニメ「分かっておる.....確かにこの作戦に指揮権は妾達には無い、好きにするといい.....だが、お主らの命の主導権は今は妾達にある」

ザブレス「.....!!!!」

レイカ「デカい態度を取ろうが命はたった一つ、今この瞬間にでも...奪うことは容易い、あまり私達を舐めるなよ....チンピラ」

ザブレス「......くそっ」

オニメ「ふむ....まぁ協力姿勢は惜しまないつもりだ、お主が妾達を化け物と言ったが、お主らがこれから向かうのは、その化け物共の居る場所。せいぜい頑張るんじゃな、それじゃ妾達はこれで失礼する」


そう言って、オニメとレイカは姿を消した.....


ザブレス「く....くそ....あんな奴らに....」


ザブレスはそう言って、必死に誤魔化す。

だが、どう足掻いても拭えることは無い。

今あるのは、恐怖のみだ。

この作戦での義務は成功することのみ。

必ず生きて帰る....ザブレスはそう心に言い聞かせた。




━━━━━そして、時はたち。

入隊式から3日後。

ハルマ達10人は順調に訓練を重ねていた。


アオ「さて、そろそろ訓練を始めるわよ」

ジョーカー「あれ、ラジャルさんは居ないのか?」

アオ「えぇ、会議に呼ばれていてね、今日は私が見るわ」

ハルマ「そうなんだ、今日は何するんですか?」

アオ「今日は対人訓練」

アンデ「対人....てことは」

アオ「2人組を作って対戦形式の訓練よ。能力も使っていいわ、危険と判断したら私が止める」


新隊員達は能力の使用自体は、専門校の時から訓練していた。

完全に扱えるようになるには、やはり対戦形式が1番だと思っていたが、今その訓練ができるとは。

10人は不安を抱えながらも、やる気は満ちていた。


アオ「それじゃ、2人組を組んで、始めるわよ」


初めての対戦形式、それぞれがどのような技を使うのか、これからどれほど力を付けられるか。

そして、自分の理想の強さを手に入れられるまで、どれほどの時間が必要か。

時間は有限、刻一刻と長針は進む。

そう....


ザブレス「.....そろそろだ」


刻一刻とその時は近づく。


To be continued

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