第5話 教会

 朝になった。

 リリーが起こしにきた。


「起きて、起きないと悪戯しちゃうぞ」

「起きたよ。インク壺から手を離すんだ」

「残念。落書きしようと思ってたのに」


 そう言ってからもじもじする。

 パンティを換えてほしいのだな。


「分かってるよ。【抽出】【添加】【調合】」

「あんっ、ああっ」


 リリーはしばらく放っておこう。

 荷車を用意して、上級と最上級の回復ポーションを積み込む。

 朝飯を作ったら、リリーは落ち着いていた。


「朝飯食っていくだろう」

「ええ、お腹が空いたわ」


 朝飯を二人で食べる。


「今日は教会に行くのよね」

「ああ」


 リリーは何か思いついたようだが、言わなかった。

 変な奴だな。


 教会に来てみたが、本当に貧乏教会だな。

 壁の所々がはげている。

 さて、なんと言って切り出そう。


「お祈りにきました」


 俺は中にいたシスターに話し掛けた。


「よい、心がけです。神はいつも見守ってますよ」

「はい」


 祭壇の前で手を組んで祈る。

 商談が上手くいきますように。


「教会では治療など行わないのでしょうか?」

「どこかお悪いのですか?」

「いいえ、お話を聞かせてもらえればと思って。教会の活動に興味があるんです」

「よい、心がけです。敬語は使わなくていいですよ。神の前では人は平等です。簡単に説明しましょう。喜捨を頂いて聖魔法による治療を行っています。喜捨の高は問いません」

「それではやっていけないのでは」

「そうですね。魔力も限られいますし、楽ではありません。ですが、全ては神の御心です」


「相談したいんだ。俺はポーション職人なんだが、事情があってポーションをギルドでは売れない。教会でポーションを売っては貰えないだろうか。お代は喜捨の半分で結構」

「それは嬉しいお話ですね。じつはもう魔力がないのです。朝来た病人や怪我人の幾人かは、そのまま帰しました。いつもそれを心苦しく思っています」

「では表の荷車にポーションが積んであるので、持ってくるよ」


 回復の上級ポーションと最上級ポーションを納入した。


「私はシスター・セルラータです」

「俺はパンパスだよ」


「こんな提案をするのは心苦しいのですが、ポーションを作る過程の内職などありませんか」


 あるよ。

 パンティを一日穿くだけの仕事が。

 セルラータを改めて観察する。

 ベールの隙間から見える髪色は銀髪だ。

 体つきはすこぶる良い。

 こんな事を言ったら失礼だが、色っぽい体つきだ。

 だが、雰囲気にそんな物は微塵もない。

 清楚な雰囲気に場が支配されている。


 清楚なこのシスターにパンティの仕事を勧めても良いのだろうか。

 神のバチが当たりそうな気がする。

 とりあえず聞いてみるか。


「時間を取らないで、楽に稼げる仕事があるんだが。媚薬効果というのかそういう物がある。でも体に悪いわけじゃないんだ」

「媚薬とはなんでしょう」


 媚薬をしらないのか。

 とんだ箱入りシスターだな。


「試してみるかい」

「ええ」


 俺は背負いから、薬草パンティを取り出した。


「【抽出】【添加】【調合】。きつかったら言ってくれ。すぐに止めるから」

「くっ、この感覚は未知です。神の試練でしょうか。くふっ、あっ、あんあん」


 セルラータが喘ぐ。

 良かったのか。

 俺はとんでもない事をしてしまったのかも。

 セルラータが落ち着くまで待つ。


「1日金貨1枚、しようと思う」

「はぁん、そんなに」

「明日の朝に回収に来るから、もう一度よく考えてくれ」


 ネリアの部屋に行くと、仲間のデージーとプリムが一緒に待っていた。


「あんた、凄いらしいね。ネリアの声がうるさくて仕方ないから問いただしたら、やらないで気持ちよくしてくれるそうじゃないか」

「私も興味があるな。彼氏はいないし、寂しいのよね」


「今回からネリアに金貨1枚払う事にした。2人も俺の依頼を受けるって事でいいかな」

「やっとくれ」

「さあどうぞ」


「【抽出】【添加】【調合】。【抽出】【添加】【調合】。【抽出】【添加】【調合】」


「くわーっ、ふぅん、これは凄いね。あーーー!!」


 デージーが絶叫して、崩れ落ちた。

 宿の迷惑にならなきゃいいけど。


「あっあっ、こんなの。前の彼氏より凄い。くふぅん」


 プリムががくがく腰を揺らした。


「あんっ、これよこれ。これを味あわないと眠れないわ」


 ネリアがベッドに横たわった。


 3人が悶えまくる。

 俺は机に金貨1枚を置いてから、静かにドアを閉めた。


 デージーとプリムからはどんな属性の薬草パンティが出来上がるかな。

 まだまだサンプルは少ない。

 挑戦者は大歓迎だ。

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