第3話 怪我人

 ポーションの売り先だが、薬師ギルドが使えないのは痛いな。


 俺は冒険者ギルドで営業する事にした。

 冒険者に声を掛けたが、誰もポーションを買ってくれない。


 なぜかというと鑑定魔法にその原因がある。

 鑑定魔法を習得している冒険者は多いが、ポーションの良し悪しは分からない。


 鑑定魔法は知っている知識しか出て来ない。

 ポーション職人なら薬草や、ポーションの鑑定は出来る。

 だが、冒険者は出来ない。

 知識がないからだ。

 その代わり、冒険者はモンスターや人間の攻撃力を鑑定出来る。

 知識にないモンスターや人間は駄目だが、そんな感じだ。


 したがって、薬師ギルドのお墨付きがないポーションなど誰も買ってくれない。

 俺はふてくされて、冒険者ギルドの酒場でちびちびとやっていた。


「怪我人よ! どいて! 誰か治療師ギルドに知らせて!」


 俺は声のした場所に見に行った。

 赤い髪をした女冒険者が腹にざっくりと傷を負っていて、髪より赤い血が腹から流れている。


 仲間の女冒険者が心配そうに眺めていた。


「上級ポーションならありますよ。ギルドを通してない奴ですが」

「あんた、その歳だと見習いだね。こんな時に嘘をつきやがって」


 茶色の髪をした大柄な女冒険者に、俺は突き飛ばされた。

 信用って大事だな。

 俺は痛感した。


「ごほっごほっ」


 肋骨が折れたような気がする。

 俺は上級ポーションを呷った。

 物凄いほのかに塩味がする。

 ポーションの味見で鍛えた俺の味覚はそれを捉えた。

 甘いヨーグルトの様な匂いも物凄い微かにする。

 なんの匂いか言わないでおこう。

 一般人なら感じないだろうな。

 やっぱりこの味覚と嗅覚だけでも俺は天才だ。


 骨は元通りになった。

 やっぱり上級ポーションだな。

 売るとしたら金貨1枚は下らないだろう。


「大変だ。治療師ギルドの凄腕は出払っていて、薬師ギルドにも行ったが、上級ポーションの在庫はない」


 さっき飛び出していった男が帰って来て言った。


「俺のポーションを使ってくれ。治らなかったら殺してくれてもいい」

「あんた、まだいたのかい。うせな」

「まあまあ、試してみようよ。駄目元でさ」


 緑色の髪をした女冒険者がそう言って、仲裁に入った。


「仕方ないね。さっさとやりな」


 俺は上級ポーションを怪我人に飲ませた。

 みるみる塞がる傷口。


「疑って、悪かったね。お礼は弾むよ」

「金額は相場で良い。俺の常連になってくれれば、それとポーションの材料を調達してほしい」

「そんな事ならお安い御用さ」


「くたばれ、クマっ。あれっ、私、助かったの」


 赤毛の女冒険者は剣を抜いて、立ち上がり、剣を振り抜いた。

 振り抜いた剣の切っ先が俺の目の前だ。

 俺は冷や汗をかいた。


「ネリア、この人が助けてくれた、ええっと何だっけ」

「パンパスだよ」


「ありがとう、ネリアです」


 赤い髪の女冒険者はネリアというみたいだ。


「あたいは、デージー」


 茶色の髪の女冒険者はデージーね。


「私はプリムよ」


 緑の髪の彼女はプリムというらしい。


「ところで、ポーションを買ってほしいな。安くしておくよ」

「へぇーどれぐらい」


 プリムが興味を示した。


「上級ポーション相当なんだけど、相場の半額の銀貨50枚で良い」

「ねぇ買ってあげようよ。デージーも賛成してくれるでしょ」

「構わないぜ。お礼の意味を込めて買ってやるよ」


 この3人はパーティを組んでいて、鉄の女神というパーティ名らしい。

 ポーションを10本も買ってくれた。

 ネリアが別れ際にメモを俺に握らせてきた。


 メモには泊っている宿屋と部屋の番号が書いてあった。

 ええと、来いって事だよね。

 そしてオッケーという事だよね。


 ちょっと思いついた事がある。

 リリーからは水属性の薬草パンティが採れた。

 じゃあネリアからは?

 俺は好奇心を抑えきれなくなった。

 オッケーの事などどこかに吹き飛ぶ。


 薬草パンティを持ってネリアの部屋に入る。

 部屋にはネリアが脱ぎ捨てた衣類が散乱していた。

 全裸でシーツを被っているらしい。

 ネリアの良く鍛えられた体の輪郭が良く分かる。


「【添加】【調合】」


 薬草パンティを穿かせてやった。


「ちょっと、これ何? ああっ、凄い。こんなのって」

「一日、経ったらまた来る」


「はぁはぁ、帰らないで」

「言っておくけど、パンティ脱がないとエッチは出来ないよ」

「えっ、それはやだ」

「そうだろ。病み上がりなんだから、大人しくしておけ」

「あっ、あっ。くぅー」

「お大事に」


 俺はネリアの部屋を後にした。

 サンプルは多い方が良い。

 ほかにも誰か志願してくれないかな。

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