慰藉
机に座っている君がいる。
左手に白い薔薇
右手には黒い薔薇
赤いドレスを着て踊る君。
カラフルな日記帳
君の視線は、青く澄んでいる。
茨の王冠 流れるのは喜びの紅い血。
踊る 踊れ 心のままに。
歌え 果てとなく、叫ぶ、沈黙の夜明けまで。
「あとどれくらい?」
と君はつぶやく。
「さあ、どうかな?」
と僕が訊く。
笑う 嗤う 哄笑は曇り空を突き抜ける。
不意に流星が降ってくる。
瞬く間に消えて、君は、嗤う。
砂漠に落ちる流星。
机に座っている君がいた。
それはいつかの夜明け近く。
恋人たちも、抱き合って、眠りにつく頃。
コーヒーを淹れた。
苦くて、煙たい、ブラックコーヒー。
最初の恋 最後の恋
そして君は机から立ち上がる。
煙草の火は消える。
ハードボイルド小説、それも、特別なレイモンド・チャンドラー。
パラパラとページをめくる。
すぐに閉じた。
カーテンを開けた。
外は眠っている。
でも、流星は、確かにあった。
確かにあったんだ……。
静かに、恋人がベッドから出てきた。
そしてこう言う。
「愛って何?」
僕は黙ったまま、そっと部屋を出た。
コーヒーの香りと煙草の香り。
絶妙なブレンド感覚
そしてトランス感覚。
「砂漠に流星は落ちたのか?」
誰も答えてはくれない。
しかし、僕らは、答える。きっと。
「生命の歌」詩集 鏑木レイジ @rage80
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