美術学生Oさんへのインタビュー
――Oさん
「ある課題を制作しているとき、不意に頭をよぎった考えがあって。それは“私はなんの為に作品を制作しているのか?”って疑問でした。たとえ自分の作りたい作品を作れたとしても、他人に評価されないと虚しいし、仕事にもお金にもならない。けど周りに求められるニーズに合わせた作品を作って評価されても、自分がただの道具のように感じられてしまって……」
――インタビュアー
「よく分かります」
――Oさん
「受験生の間は、基礎練とか必要だから授業課題もそれに応じて、ある程度の制限があることは理解してました。けど将来的に考えても、周りからの需要を考えた上で作品を作らなきゃ見向きもされないで独り善がりで終わるんじゃないかって不安で。どんなに一生懸命作っても、誰からも理解されずに終わるかも知れない。そんな人生って怖くないですか?」
――インタビュアー
「僕は割と、周りのことは気にせず色々やっちゃうタイプでしたから……他人が理解してくれないならそれで仕方ないって割り切っちゃいますね」
――Oさん
「そう言えるのはある意味、強いから羨ましいです。けど寂しいですし、負け惜しみみたいにも思えちゃうんですよね。だからやっぱり、実績を積み重ねた上で、正当に評価される方がまともだし、幸せだって思うんですよ」
――インタビュアー
「じゃあ、そっちに割り切って仕事するってことで……?」
――Oさん
「そうやって煽るのやめてください(笑)頭では解ってても、気持ちがついていかないっていうか……割り切れないんですよ。どうやっても。しかも最近はTwitterで、『社会人になって毎日仕事しかやってない、虚しい』みたいなOLさんの鬱漫画読んじゃって、将来考えたらまた心死んじゃったりして。一応希望した職種に就いて、趣味で製作続けるみたいな感じになりそうです。無難な所に落ち着いて、そこから地道に頑張るしかないかなって」
《一部抜粋》
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