第7話 月が綺麗ですね
突然ですが、皆で温泉にきています。
アレクのレストランがとうとうオープンするにあたって、道路も混むだろうし取材も凄そうだし、アレクのレストランに入れなかった客がうちに流れて来ると思うと常連に迷惑が掛かると思い、思いきってレストランを休みにしたのだ。
『オーナーって、太っ腹ですよね。凄く良い旅館。料理も美味しいし。』
浴衣姿の流星が眩しい。
脛毛薄っ。浴衣の下にシャツ位着ろよ。目のやり場に困るだろ。
『どうぞ。マイクさん。』
流星が日本酒を注いでくれている。
普段日本酒を飲まないので、酔ってしまうかもしれないが、どうでも良い。
『あんまり日本酒飲んだこと無いけど旨いな。』
流星に注がれれば何でも美味しいけど。
アレクは結局自分の店がオープンするまで、毎日のように流星に会いにうちに来た。
基本的には客として来ていたので追い出す訳にはいかなかったが、あんなに分かりやすく流星に対して気がある態度を取られたら、こちらも穏やかではない。
思いきって休みにして良かった。オーナーに提案してみたものの、OK貰えるとは思わなかったのだ。
旅館も気前の良いオーナーが予約してくれた。
料理人をしているから、良いものを食べて欲しいと良い所を探してくれたようだ。
『空いていて良かったですね。』
人気の宿らしいが、季節外れのせいか貸し切り状態だ。
流星の顔が赤い。俺に注いでくれているだけかと思ったけど、呑んでいるのかな?
くそ可愛い。
お酒のお代わりがもう良ければ、庭園が散歩出来ますよ。と、女将さんが教えてくれる。
もうこれ以上飲むとヤバそうなので、お言葉に甘えて庭に出てみた。
月が明るくて、これなら良い散歩になりそうだ。
『マイクさん。お水。』
流星がペットボトルを持ってパタパタと追い掛けてくる。
振り返ると、月明かりに流星がキラキラと輝いて見える。
目は柴犬のようにクリクリとしていて愛らしい。
口元はウサギのように口角が上がっていて愛らしい。
身長は俺よりもデカイくせに、いつもパタパタと付いてきてヒヨコのようで愛らしい。
『月が綺麗だな。』
マイクは酔うと、饒舌になる自分を押さえて何とか一言にまとめた。
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