第4話 ライバル

ドサッ。


流星は買い出しの荷物を床に落としてしまった。

セロリと玉ねぎ、あぁ、トマトと玉子が割れてたらどうしよう。


神様、気になる人が目の前で抱き合っていたらどうすれば良いですか?

あぁ、それからキスも…。あ、ひっぱだかれた!


『流星!助けてくれ!』

流星は、はっと我にかえってマイクに張り付いてるデカイ金髪を剥がす。


『え?流星?』

デカイ金髪は今度は流星に張り付く。


デカイ金髪は留学先でルームメイトのアレクだった。


『で、何でマイクさんに抱き付いてキスしてたんだよ!』

流星はテーブルを指でトントンしながらアレクを問い詰める。

デカイ金髪のアレクはすっかりと体を小さくして反省している様子だ。


『後姿が流星に似てて、嬉しくて抱き付いただけだよ。 そしてキスは未遂だよ~。』

アレクは上目遣いで流星を見る。


こいつなんで日本にいるんだ?

オレ、後ろ姿マイクさんに似てるんだ~。

嬉しいかも。

いや、キスしてたよね?


『流星、オレが買い出し行ってくるから、コーヒーでもお客さんと飲んでたら?』

マイクはそう言いながら、コーヒーカップを準備している。

潰れたトマトと割れた卵を買いに行ってくれるようだ。


マイクさんが淹れてくれるコーヒー!是非飲みたい。


『いえ、こいつは客じゃないですよ。 アレク、いつ日本に来たんだよ。』

流星はアレクを睨み付けた。


どうやらアレクは日本のレストランに引き抜かれて、しかも近所らしく、流星が働いているレストランの様子を見に来たらしい。


アレクは確か有名レストランの一人息子だったハズだ。日本に支店でもあったのだろうか?


『親父さんは元気にしてる?』

流星はそれとなく聞いてみる。アレクの家庭は複雑なのだ。


『相変わらずだよ。流星に会いたがっていたよ。俺が働く事になったレストランは叔父さんがオーナーなんだ。』


アレクはコーヒーが美味しい。豆は何使っているの?ここのレストランは何年目とか、急に早口になっている所を見ると、親父さんとは相変わらず連絡を取っていないのだろう。


ルームメイトのアレクからは留学先で何度もアタックされていた。

結局何も無かったけど。

そういえば、アレクにここで働いて居ること伝えたっけ?






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