九月:お兄ちゃんに自分から頭を撫でてもらうこと
「ふぇええええええええ!?」
九月の課題を知った時の萌夏の反応だ。
悲鳴たすかる。
「何よこれぇ!」
驚くのも無理はない。
今月の課題はこれまでと少し毛色が違うからだ。
『お兄ちゃんに自分から頭を撫でてもらうこと(複数回、学校でも)』
これまでは兄妹のコミュニケーションを取り戻す目的の課題だったけれど、距離を縮めるための課題に変化した。
母さんったら、二学期に入ったことでやり方を変えて来たな。
この調子だと三学期は期待、じゃなかった、覚悟しておいた方が良いかも。
「お兄ちゃんに撫でっ……」
おやおや。
想像してニヤニヤしちゃってますよ。
最近ツンツンが減って素直な感情が表に出てくる回数が増えてきた気がする。
良い傾向だね。
「撫でるかい?」
「ば、馬鹿っ!」
ありゃ、部屋に戻っちゃった。
昔はたくさん撫でてあげたじゃないか。
今更恥ずかしがらなくても、なんてね。
この課題で僕に出来ることは二つ。
一つは萌夏が頭を差し出す仕草をしたらその合図を見逃さずに撫でてあげること。
もう一つは常に手を清潔にしておくことだ。
洗う回数ふ~やそうっと。
――――――――
「あんなの無理! むりむりむりむり!」
お兄ちゃんに頭を撫でられるなんて、そんなの無理!
百歩譲って家の中なら出来るかも知れないけれど、学校でもなんて意味分からない。
そんな姿誰にも見せられないよ。
でも…………
「ごくり」
いっけない、思わず生唾を飲み込んじゃった。
だってお兄ちゃんに頭を撫でられたところを想像しちゃったんだもん。
お兄ちゃんって撫でるの上手なんだ。
撫でられていると天にも昇る気分って言うのかな、とても幸せな気持ちになるの。
お兄ちゃんの優しい気持ちが伝わってくるの。
お兄ちゃんに守られている感じがしてとても安心するの。
でもあの感触をもう大分長い間味わってない。
お兄ちゃんのなでなで。
…………恥ずかしけど一回くらいは良いよね。
「はい、やって」
「わかった」
「ふわああああああ!」
え、何!?
何が起きたの!?
快感がゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクって体中を駆け巡ったんだけど。
うわ、まだ止まらない。
だめ、これだめ、らめぇ!
「お兄ちゃんちょっと待って!」
「え?」
うう、危なかったよぅ。
危うく見せられない姿をお兄ちゃんに見せちゃうところだった。
具体的にはスカートの中から何かが垂れちゃうところだった。
「お兄ちゃんったら何したのよ!」
「え?撫でただけだよ?」
「嘘!絶対、その、なんか、あやしい薬とか使ったでしょ!」
「はは、なにそれ。そんなの存在するの?」
でもそうとしか思えないもん。
あまりにもすっごい快感だった。
お兄ちゃんのことを想って一人でアレしてるときよりも強かった。
あんなの耐えられないよ。
昔はここまでじゃなかったのに。
はふぅ、手が凄くおっきくなってたなぁ。
優しい手つきなのは相変わらずで、気持ち良さだけが格段に上がってる。
上手くなったのかな。
それとも久しぶりだからすごく感じちゃったのかな。
どっちにしろもう無理。
だって撫でられたら恥ずかしい姿を見せちゃうのが確定しちゃったから。
はぁ、今月の課題は未達成でお小遣い抜きかぁ。
……
…………
……………………
も、もう一回くらい良いかな。
「はい」
「ふわああああああ!」
ああ、これほんとダメ。
らめなのに止められないよお。
「も~か」
「ふわああああああ!」
優しい声で名前呼ばないで!
お股がもっとキュンキュンしちゃうううう!
ら、らめ、そろそろやめてもらわないほ。
「お兄ちゃん、も、もう」
「ん? なんだい?」
ろれつがまわらなくてつたわらないよおおおお。
「な~でな~でな~でな~で」
「ふわああああああ!」
誰か助けてええええ!
「はい、やって」
「了解」
「ふわああああああ!」
「や、やって」
「うん」
「ふわああああああ!」
「…………」
「いくぞー」
「ふわああああああ!」
だめだめ、癖になっちゃってる。
結局毎日お兄ちゃんの部屋に通って撫でてもらっちゃってる。
しかも一日に二回以上の日も沢山!
この中毒性はまずい。
引き返せない。
「…………」
「もう一回だね」
「ふわああああああ!」
こんなんじゃあいずれ学校でも催促しちゃうよー
恥ずかしい所みんなに見られちゃう!
「あ、お兄ちゃん」
「はい」
「ふわああああああ!」
ほらぁ!
学校でお兄ちゃんに会ったら反射的に頭を差し出しちゃったよ!
「な、なぁ四季さんヤバくないか?」
「すっげぇエロい」
「うわだいたーん」
「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
「ま、まって、俺も行く!」
うわああああん!
見ないでええええ!
でも止められないの!
ビクンビクン。
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