Perfect date plan|あの子を落とす、完璧なデートプラン
僕は洗面所の鏡に映る自分を見つめていた。そこに映る自分を見て心から誇らしい気分だった。遂に、大学3年目にして春がやってきたのだ。季節は冬だが、僕の心にはすでに桜が舞っている。なぜなら、大学の入学式で見かけた時から思いを寄せていた一宮さんと、今日デートをするからだ。集合は12時だが、支度を全て終わらせた今、時計の針は7時を指している。
一宮さんは環境学部に所属しており、学部こそ違ったが共通科目で顔見知りだった。2年かけて会えば挨拶する関係性になる事に成功。その後はインスタでお互いにフォローするようになり、DMで数回やりとりするまでに至った。そしてつい先日、とても自然な形でデートに誘う事に成功した。今回のデートは絶対に成功させなければならない。一宮さんの趣味嗜好はインスタで把握済みだ。彼女は環境問題に対し関心が高く、週末はゴミ拾いなどのボランティアにも参加している様子だった。ゼミもなんか環境系の物だったから、そんな一宮さんに好かれるためには、さりげなく僕も環境に配慮していることを伝えるのが得策では無いかと仮説を立てた。
まず服装は無印良品で間違い無いだろう。バイトで稼いだお金はほとんどが生活費で消えてしまい、親からの仕送りでやりくりしている僕にとって、無印良品は、価格も割と良心的だ。環境に意識がある女子はきっと無印男子が好きなはずだから、間違いない。次に、アクセサリーだが、友人から何かをリサイクルした、なんとかっていうエシカルブランドのブレスレットを借りてきた。ただなんの素材なのか、どんなブランド名だったかも忘れてしまったから、質問されたらまずい。次に忘れがちなのが、「マイボトル」だ。これは誰もが忘れがちなポイントだ。信号で立ち止まった時にさりげなくマイボトルを出すのが効果的だろう。合流したら、彼女がインスタで上げていたヴィーガンランチを提供しているお店に連れていく。そこで、僕は、彼女が行っていた事を知らなかったかのように振舞う。しかし問題は野菜が苦手だと言うこと。しかし背に腹は変えられない。ランチのあとは、適当にカフェに入ったりなどして、夕方には解散して紳士な印象を与えることが重要だ。結果を焦ってはいけない。今回のミッションはまた会いたいと思わせる事だからだ。まだ時計の針は8時を指しているが、自宅を後にした。
翌日目を覚ました僕は、しばらく天井を見つめていた。まだ信じられない気持ちでいっぱいだった。今日が休みの日で良かったと心底思った。そのまま僕はもう少し眠ることにした。
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