第5話

車で移動する事約1時間。ようやく着いた場所は、とある大きな屋敷の前だった。

猫「ここは……」

男「ここがあなたの新しい住処になります」

猫「……どうしてこんな所に?」

男「さぁ、なぜでしょうね。私はそこまで聞いておりませんので」

猫「……そう」

私は改めて目の前にある屋敷を見上げる。

この家は、今まで見た事もないくらいに大きな建物だ。

それに庭も広いし、まるでお城みたいな形をしている。

猫「……すごい」

男「では、行きましょうか」

私は男の後に続いて門の中へと入っていく。門の扉を開けると、一人の女性が待っていた。

女性「お待ちしておりました。お嬢様」

猫「……誰?」

私は初めて見る女性の姿を見て、思わず疑問を口にする。

女性は私に向かって一礼し、自己紹介を始めた。

女性「初めまして。私はお嬢様のお世話係として雇われたメイドです」

猫「……そう」

やっぱりそうなんだ。

……って、ちょっと待った!

猫「……どうして私がここに住むことになるの?」

男「申し訳ありませんが、その質問にはお答えできません」

猫「……そう」

男は私の問いに答える気が無いのか、すぐに話を終わらせてしまった。……仕方ない。まずはこの人の言う通りにしよう。

猫「……わかった」

女性「では、早速案内します」

そして私たちは、メイドさんの後に付いていく。……これから一体何が始まるんだろうか? 不安を抱えながら歩いていると、突然後ろから声をかけられた。

男「おっと、忘れるところでした」

猫「……なに?」

男「お嬢様。これを受け取ってください」

男は私に向けて封筒を差し出してくる。……また何か渡されるのか。

猫「……これは?」

男「開けてみてください」

私は言われるがままに中身を確認すると、中には一枚の写真が入っていた。

写真の中には、一人の女の子が写っていた。

猫「……この子は?」

男「その子の名前は『ルカ』と言います」

……ルカ? その名前は、どこかで聞いた事があるような気がする。……どこだったかな?

男「いえ、ただそれだけです」

猫「……そう」

私は写真をポケットの中にしまい、再び歩き始める。

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