第4話

家に帰ると、玄関の前で一人の男が立っていた。

男「お待ちしておりました。お嬢様」

猫「……あなたは」

そこに居たのは、先日私の事を襲ってきた謎の男だった。

猫「何か用でも?……それとも私を殺しに来たとか?」

私は警戒しながら問いかける。

男は笑いながら答えた。

男「まさか。そんなわけがないでしょう」

猫「……じゃあどうしてここに居るの?早く要件を言ってくれないかな?」

男「まぁ慌てずに。私はただお迎えに上がっただけです」

……どういう意味だろう?私を迎えに来るという事は、やはりこの人は敵なのかな?

猫「……とりあえず中に入りませんか?」

男「いや結構です。ここで話させていただきます」

猫「……わかりました。それで、私になんの御用でしょうか?」

私は冷静を装いながら話しかける。

すると男は、懐から一枚の手紙を取り出して私に差し出してきた。

猫「これは?」

男「手紙です。読んでみてください」

言われるがままに手紙を開くと、そこには見覚えのある名前が書かれていた。

猫「……えっ?」

差出人の名前は『姫川アンナ』

それは私の実の母親の名前だった。

猫「なんで……お母さんの名前が?」

男「その手紙の内容はご存知ですよね?」

猫「……知っています」

私がこの国で一番会いたくない人物。それが母である『姫川アンナ』だ。

昔は優しかったけど、今となっては私に暴力を振るうだけの最低な女。そして今も、私に対して酷い仕打ちをしている張本人でもある。

男「実は私も彼女から依頼を受けましてね。お嬢様をお連れするように言われたのです」

猫「……私を連れてどうするつもりですか?」

男「さぁ?詳しいことは私にも分かりかねますが、おそらくは楽しい事ではないと思いますよ」

猫「……そう」

正直、あまり関わりたくはないけれど……。

でも、今は大人しくついていくしかないみたい。

猫「……どこに行けばいいんですか?」

男「そうですね。……とりあえずは、こちらへ」

そして私は、男の車に乗って目的地へと向かった。

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