第2話

学校に着くと、クラスメイトたちが一斉に私の方へと駆け寄ってきた。

男子生徒A「おい聞いたぞ猫ちゃん!お前、今回の選挙に出るんだってな!」

女子生徒B「すごいじゃん猫ちゃん!私応援するからね!」

猫「いや……あの、ちょっと待ってもらえます?」

いきなりの展開に頭が追いつかない。そもそもなぜみんながこんなに興奮しているのか理解できない。

猫「なんで私が選挙なんかに出なくちゃいけないの?」

男子生徒C「いやーだって猫ちゃんって結構強いし、国民の人気も高いからさ!俺らも投票しようと思ってたんだよ!」

猫「……人気なんて無いよ。それに私は戦うつもりは無いんだけど」

私の言葉に、教室中がシーンとなる。

そしてみんなの視線は私の隣にいる犬の方へ向いた。

男子生徒D「なぁ猫さん。……こいつは一体誰なんだ?」

猫「……専属執事」

男子生徒E「専属執事?あぁ、なるほど。そういう事か」

猫「……ん?」

男子生徒たちは何やら納得したような表情を浮かべている。

すると一人の生徒が手を上げて質問してきた。

男子生徒F「あのさ、専属執事って……何?」

猫「……知らないの?」

男子生徒G「あぁ、知らん」

猫「……」

専属執事というのは、この国で生まれた人間なら誰でも知っている事だ。

私も小さい頃から聞かされている。

『専属執事とは、主に仕える者。主のためならば己の命すら投げ出す覚悟を持つべし』

これはこの国の法律であり、絶対のルールだ。

だからこそ、私はそのルールを破った犬に対して怒った。

犬「お嬢様……」

猫「何?」

犬「すいませんでした……」

犬は私に向かって深々と頭を下げる。

その姿を見た私は少しだけ胸が痛くなった。

猫「もういいよ。過ぎたことだし」

犬「……はい」

犬はゆっくりと顔を上げ、私を見つめてくる。

猫「……何?」

犬「いえ、なんでもありません。……それより、お嬢様。授業が始まります」

猫「あぁ、そうだね」

私と犬はそのまま席に着き、いつも通りの授業を受ける。……しかし、私の心の中には少しモヤモヤしたものがあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る