第3話 交戦

白煙は発進エリアへと突っ込んでいった。ようやく補足した。それはミサイルであった。ミサイルは発進エリアに溜まっていた戦龍機をあっさりと破壊した。

『おい、203、204小隊。応答しろ!クソッ!』

確実に撃墜されてしまったようだ。

更にレーダーディスプレイには3つの敵を示す赤の三角マークがこっちに向かっていた。望遠スコープで確認する。

「・・・隊長、敵は簡略式のミサイルランチャーボックスを所持していた模様。今、投棄して銃火器を手にしています。我々と交戦するつもりです!」

『よし、戦闘分析は完璧だな。ならコイツを使うぞ。3カウントしたら前に突っ込め。何も考えるなよ?』

「了解です!」

矢島機の戦龍機も55式戦龍機だったがマイナーチェンジが施されている。肩部に円筒状のものが増設されている。そこから飛翔体が発射された。

『いくぞ、3、2、1、GO!』

前へ前へと行く。その先にスモークが展開される。これで撹乱するようだ。

『全ての光っている部分を消すんだ!目視でしかあの中は戦えない!』

フッとライトを消していった。一方の敵はライトやカメラアイが光ったままだった。

その光を目掛けて能登が55式軽機関銃を乱射する。不意打ちを喰らった敵機は銃弾を浴びて爆発した。しかし、その爆風でスモークが払われてしまった。それでも2体2に持ち込めた。再び銃を乱射する。さっきとは違い回避行動をされる続ける。それでも何とか背後を取り弾を打ち込んだ。敵機が黒煙を吐きながら機能停止したように見えた。少し離れたところで矢島も1機撃墜したようだ。しかし、再び警告音に包まれる。それと同時に機体に鈍い衝撃が加わる。

「ぐっ、何が起こったんだ!」

メインカメラに映し出されたのは死にかけの敵機であった。

「まさか仕留め損ったのか!」

そして敵機の頭部の内蔵式機関砲により頭部が破壊された。すぐにサブカメラの映像に変わる。その敵機の手にはナイフが握られていた。

「殺される!マシンガンは!?」

乱射するもゼロ距離で狙いが定まらない。

そしてナイフが振り下ろされる。その刹那、敵機が銃弾によって蜂の巣にされた。

『EMDSを起動しろ!早く!』

急いで作動用のレバーをひいた。機体が一瞬光った。そして敵機がゼロ距離で爆散した。

『全く、危ないとこだったな。』

「はい、次からはしっかりと仕留めて見せます。」

同じミスはしてはならないのだ。それで死ぬのは勘弁だからだ。交戦後、航空支援として空から敵の戦車や歩兵を相手に機関砲掃射を行い続けた。味方の地上部隊の奮戦もあって無事基地の防衛線は突破されなかった。しかし、戦龍機はそのほとんどを失う形になってしまった。

そして、これが後に世界を巻き込んだ大戦争の始まりとなる。

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