4. 孤
「ん……」
仄暗い空間――目を凝らせば、天井付近に小さなランタンが所々にあった――で、私は起き上がる。硬い床に寝ていたようだ。
物語なら「私は誰? ここはどこ?」となるシーン。けれど、私は自分が誰かわかっている。ノドカだ。だから、私は物語の住人ではない。大丈夫。大丈夫なんだから。
そう思いながらも、心臓はうるさい。握りしめていた手を開いてみると、爪痕がくっきり残っていた。
「……まぁ確かに『ここはどこ?』なんだけど」
落ち着いているふりをして、小さくこぼしてみる。しばし待ってみるが、何の反応もない。ここに私は独りのようだ。
それがわかると、妙に冷静になる。正確に言えば、冷静な自分が頭の中に現れた。動揺して泣きだしそうな自分は依然としてここにいるから。
…………やっぱり、あの日の無人の図書館は、勘違いではない。閉館アナウンスには何かある!
ぎゅう、と目を瞑るが、再び開いたとしても、目の前は暗いまま。元の図書館に戻ることはなかった。
真っ暗、というほどではないが、自分の付近が朧気に把握できる程度の状況だ。まずは光が欲しい。
「ここから、出なきゃ……」
私はよろよろと立ち上がった。
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