piggyback
月曜日、暗雲が立ち込め、今にも雷の1つや2つ落ちてきそうな天気の中生徒会室に向かう渡り廊下で伊勢地を待っている。
ゲーム開始までそう、時間はない。
一体やつは何をしているのだろう。
とりあえず、遅刻して不戦敗になるのは嫌だったので俺は一人生徒会室に向かうことにした。
俺たちが通うこの白水高校は新校舎と旧校舎に別れている。
新校舎は一時期生徒数が莫大に増えたときに使ってはいたものの生徒数が減少方向にある今大部分は物置となっている。
そして新校舎と旧校舎をつなぐ道は渡り廊下の一本のみ、それも異様に長い道になっている。
また、渡り廊下は2階という微妙な位置にあり三階から新校舎と旧校舎を行き来するにはわざわざ2階まで降りる必要があるその渡り廊下は良くも悪くも中央に位置しているため航空写真などを見るときれいなH型だ。
生徒会室に向かう足取りは若干駆け足になり、首筋や手のひらを冷たい風がひっかくように過ぎ去っていく。
生徒会室は新校舎の三階にあるためなかなかに遠い、普段であれば通ることすらないだろう。
まあ、ある意味僻地だ。
ポケットが震える、携帯から連絡が来ているのだ、連続して震えていることから電話だ。
可愛らしい猫のアイコンが表示された『伊勢地』と書かれた画面が携帯には写っている。
なんだか嫌な予感がする、応答してもろくな事にならないだろうという。
この感覚は良くも悪くも裏切らない、そのことを俺は嫌というほど知っている。
いつまでもなり続ける電話に出る。
「ごめん僕出れそうにない」
「出れない?」
それは、ポーカーにということだろうか。
じゃあ、もう廃部?
「廃部にならないようお願い、あそこは僕の居場所なんだ」
俺は、とっても重たい荷物とネギを背負いながら生徒会室に向かった。
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