第29話 偶数の国

 さて、場面は変わって偶数の国に着いた命知らずの「7」王子。

 

 表の歌にあるとおり、捕虜となって偶数の国王「8」エイトの元に引き出される。

 そして表の歌にあるとおり、こう訴えた。


「偶数と奇数を掛け合わせば、必ず偶数になる!」


 国王は、口をあんぐり。呆れているが、元からそのフォルムがアラビア数字の8なので大きく姿は変わらない。

 

「それがどうした?」


「偶数と奇数を掛け合わせば、必ず偶数になる!」


 実は国王「8」エイトは常識人である。

「えっとね。いいかい、君ね。結婚は掛け算じゃないんだ」


「じゃあ、足し算か?」


「足し算でもないね。掛け算の方がまだ近いと思うが、えっとね、あれは交換法則の成り立たない特殊な演算子だよ」


「演算子なんて、どうでもいい。娘さんをオレにください!」


「えっとね。問題はそんなに簡単じゃないんだ。ことは世界にかかわるからね。そもそも、」


「問答無用。力尽くだ!」

 

 いつの間にかプリンス・セブン「7」王子の縄は切れている。

 そして剣を持っている。この剣はドラマツルギーと呼ばれるものだ。


「いざ勝負!」


「え、えっとね。ちょっと待って」

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