第28話
こうして見事に奇数の王を説き伏せたプリンス・セブン「7」王子はアオウマとともに偶数の国へ。
私は、あっさりと「7」王子を手放した国王「13」サー・ティーンの話を聞く。
その身がもうながくないと悟った王の覚悟と真意を問いただす。
王のために私は歌う。
♪秒針は刻々として時を刻む
病身は切々としてその身を切る
危機には嬉々として臨み
死んでしまえばグウの音も出ない♪
王はその重い口を開く。
「あいつら、信用できないんだよね」
「あいつら、とは?」
「王子のセブン(SEVEN)と王妃のイレブン(ELEVEN)だよ」
「なぜですか、ご家族でしょう?」
「あいつら、名前にイーブン(EVEN)を隠してるだろ」
なるほど、王はとことんまで偶数(イーブン)が嫌いなのだ。
更にため息を吐いて王サー・ティーンは言う。
「結婚も出産も足し算ではないよねぇ」
「はい。もし足し算だとすると、奇数の国の住人同士で結婚すると、偶数の国の住民が生まれてしまう結果になります」
そもそも、結婚についての数学的法則は解き明かされていない。
二つの数の間から生まれる子どもについてもそうだ。
ただ、奇数同士なら奇数に。偶数同士なら偶数に閉じているのは確実で、偶数と奇数が結婚したならば偶数でも奇数でもないような数、ユーリが言うところの分数のような数が生まれる可能性が高そうだ。
「あいつはなんで急に足し算の話したの?」
「ハンシャ関係の数に入れ知恵されたようです」
「反射関係ね。ま、あるかもしれん」
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