第25話

 ハンシャとユーリが誰をメメント森に派遣するか、話し合っている。


「国王「13」自ら行ってくれれば流石に負けることはないだろうが、説得は面倒だな」


 十三の異名を持つと言われるサー・ティーンの異名の一つが「聞く耳持たぬ君」である。

 偶数を憎むあまり「言い分(イーブン)」を一切認めない。それがこの名の由来だ。


「けどよ、戦って勝てる相手は奇数の国にはあまり残ってないんだぜ」


「そうだな、「7」王子では駄目か?」


「強いことは強いが、ラッキーナンバーなだけだぜ」


「方法があるなら「1000000000000066600000000000001」のような怪物を連れて行っても良いが、手間がかかるし、目立ちすぎる」


 ユーリが持ち出した1000000000000066600000000000001はベルフェゴール素数と呼ばれる悪魔で奇数の国の城の地下の牢獄に封印されている。

操ってメメント森に連れて行くには凄腕の魔物使い(ティマー)が必要なはずだ。


「ティマーが必要ない方法がありますぜ。ワシが「89」(おくすり)を調達するんで、「2」をヤク中にしてしまいましょう」


「しかし、運び屋が危険だろう。お前がやるのか?」


「オレはやらないぜ。それこそ「7」王子、プリンス・セブンに任せよう」


「プリンス・セブンへのツテはあるのか?」


「ジャの道はヘビーだぜ」

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