第17話

 話し合いがまとまり、ユーリはタクシーを呼んで帰った。


 奇数の国から来たタクシーは「1729」となっている。ユーリはそれに一人乗り込んで帰った。

 ちなみにそのタクシー、三人乗りのハズである。


 残された私と「2」。魔女が私に話しかけてくる。


「アナタもなかなか素敵なプライムね」

 

「どういたしまして、素敵な数を略して素数ですよ。そのなかでも貴女は素敵の極みだ」


「あの奇妙な男は何者なの? 首相、プライム・ミニスターって何?」


「首席宰相の意味で、軍事以外の政治をする人のトップらしいですよ」


「それ、なんか意味あるの?」


「さあ?」


「いつもは何をしているの?」


「まあ、佞臣の一種ともうしますか、宮殿で愚にもつかないおしゃべりを続けています」


「イロモノなの? うちで言うならば「16」みたいな」


 偶数の国に居るという「16」は道化師。彼については後々詳しく取り上げる予定だが、今は脇道に逸れ過ぎるのでやめておく。


「道化師。ジェスター、ジョーカー、クラウン、ピエロ、ハーレクイン。まあ、それに近い存在ではありますが、そんな高級なものでもありません。居ても居なくてもどうでもいい」


「そうなのね。今回の約束、守ってくれるかしら」


「さあどうでしょう。公約は守らないけれど、身内への義理堅さはあります」


「プライムにとって公約数など無意味だから構わない。期待値のハードルは下げてかかりましょう。それでいいかしら?。」


「結構です」


「では、アタシもタクシーで帰るわ」


 プリンセス・ツウが呼んだ偶数の国のタクシーは「6963472309248」であった。長い、長過ぎる。まあ、リムジンみたいなものだ。

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