第16話
「本題に入ろう。プリンセス・ツウ。お前の要望はなんだ?」
「アタシはプライム同士で結婚したいの。だけど、こちらの国に居るプライム・ナンバーはアタシだけ」
「なるほど、たしかに奇数の国には可算無限の素数がある。だが、お前の気に入るような奴が居るかな。つまらぬ男ばかりだ」
「そうかしら「5」将軍とか、なかなか男前じゃない?」
「なんだ脳筋が好きなら、いっぱい居る。無限に居るな。うまいことだまくらかして連れて来よう」
「嬉しいわ。では交換条件。アナタの欲しい物は何かしら?」
「戦争の無い平和な世界で、私の名が永遠に讃えられることだ」
「あらあら、なかなか無理な願いね」
「無理は要らない、このユーリにかかれば新しい世界が生まれる」
「どういうこと?」
「プリンセス・ツウ、君と別な素数との子どもたちが偶数でも奇数でもない数に生まれたなら、偶数奇数の国境は消え去る」
「そんな子ども生まれるかしら? アタシは伝説にして至高の数。ゼロの誕生に期待しているのだけど、「0」は偶数の国の住民と考えるのが自然じゃないかしら?」
「ふふふ、大丈夫。君たちは分数も知らんのだね」
「ぶんすう? なにそれ?」
「大丈夫。いずれ分かるさ。分かる数と書いて分数。いや、楽しみだ」
「不気味ね」
「よし、話し合いは終わった。連れて行く数が用意出来たら通信機で合図する」
「頼んだわ」
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