第15話

 運命の出会いかどうかは分からないが、お互い通じ合うものがあったように、傍からは見える。


 プリンセス・ツウはユーリをじっくり眺め言った。


「あなた、プライム・ミニスターなんて言うから少し期待していたんだけど、「9」ですって?

 プライムでも、なんでもないじゃない」 


 プライム、つまり、素数。

 素数であることの魅力は素数自身にしか分からない。

 だが、その自己皇帝感は格別である。


 私ですら「19」を身にまとうことに高揚感を覚える。


 だがプライムでない数にも、それ故のステータスがあったりなかったりする。


「転生する時にプライムも勧められた。しかし俺はパワフル(多冪数)だしパーフェクトパワー(累乗数)だ」 


 多冪数は素因数分解したとき、二乗以上の指数が付くような素数が含まれる数。

 累乗数は単純に1以外の何かの累乗であるような数。

 ちなみに、多冪数だが累乗数ではない数はパワフルだがパーフェクトではない、弱点のある英雄からアキレス数と呼ばれる。


 プリンセス・ツウはパワーに興味がない。

「パーフェクトパワー? そんなのアタシの親父だってそうよ。つまらないわね」


 私もプライムの魅力には敵わないと思う。

 せっかく奇数国に生まれたのに素数を選びそこねるとは愚鈍という他ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る