第13話

「行かれるのですか?魔女に会いに」


「当然だ。イカれた者にしか見えない世界がある」


「何か、あってからでは遅いです」


 ジレンマ、トリレンマはユーリを止めようとしている。

 なんとなく、それは部下としての習性である。

 

 ユーリは訊く。

「何かあるかもしれない。無いかもしれない。敢えて聞こう。奇数国に私に何かあって困る奴はいるか?」


 彼らは考える。奇数国は困らない。王は彼を嫌っているし、軍も彼に期待していないし、民はこの男のことなど知りもしない。


 自分たちも仕える主人が変わるだけのこと。この奇矯な男から別な主人に変わられてもなにも悪いことはない。


「では、お止めはいたしませんが、……」

 

「分かった。お前たちは連れて行かない」


 安堵する二つの数。


「ジュークボックス! お前は来い」


 やれやれ、めんどくさい。

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