第3話 最期の願い

体が熱い。頭が重い。汗が止まらない。あぁ、もう時間なのか。思ったよりも早かった。できることなら、明日までもってほしかったなぁ。卒業式まで。でも、願ってはいけない。1度、サダメを破ってしまったから。誰も助けてはくれない。これでいい。俺の一生はこれで終わる。ソトの世界は、想像の何倍も綺麗で、それ以上に楽しかった。悔いはない。あぁ、1つだけあった。俺の、この短い人生での悔いが。そうして俺は、大量の汗が雨のように落ちてくる顔を見ながら思った。


できるならもう1度、もう1度だけー。


静かな部屋に、雨の音が響き渡る。この世界を青白く染め上げる。まるで、何かを消し去っていくかのように。遠くにいる誰かに、何かを伝えているかのように。それは誰のカルマか、誰にも分からない。だが、また今日も誰かがサダメから抜け出そうとしている。もしかしたら、この雨は誰かの、サダメから抜け出した誰かのー。



 できるならもう1度、もう1度だけ雨が、俺の憧れたあの雨を見たかった。


 洗面台に溜まった多量の汗に、1粒、また1粒と雨粒が落ちていった。

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ソトの世界の雫に願いを U朔 @SsssssS0401

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