第20話
迷宮の十階層。
得体の知れない蜥蜴だけど、ひょっとしてこの蜥蜴も精霊の一人なのかな?
「君は魔法をどれだけ使えるんだい?」
「飲み水を出したり、火をつけたりといった程度しかできないよ」
「なるほど。まだ小さいからね。
これから魔力が増えると使える魔法も増えるよ」
「そんなものかな?」
「そんなものだよ。
自分で使える魔法が少ない方が精霊に任せて上手くいく場合もあるから、心配しなくていいよ」
シルヴィア姉さんのような凄い魔法も使えないし、何なら無愛想に答えた生活魔法もそんなに使えない僕に対して蜥蜴が暢気に言った。
「そう、なのか?」
「まあ、それは置いといて
この世界には五行の力が循環してる。
当然、得意な魔法やスキルも違う。
そもそも精霊と縁があるかどうかは置いといて、縁があって主従関係や協力関係、支援関係などの色んな関係を結べると力を貸してもらえる。
ただ借りられる力はその妖精のできること次第になる」
「僕が借りれるのは
「うん。そういうことだ。
まぁ、まだ
金属性、つまり土の中から金属が生まれる、金属が冷えると表面から水が生まれるという
だから得意なことと弱点がはっきりしてる。
土の中から金属を生み出すのが得意で、逆に水に力を奪われてしまう。
もう一つ、昆虫なので木属性、その下位属性の風や雷を強化するのも得意だ。昆虫は木の側で暮らしてるから、木属性を操るのが多少は上手くできる」
「……五行は習った。
魔法の訓練で魔力を練ることと五行の関係」
「ふーん。
知ってるんだ。
知ってる割には中途半端だけど……」
そう言いながら小さな蜥蜴が首を捻る。
そんな仕草には人間味がある。
「こんな田舎だと魔法を使える人は少ないから……。
シルヴィア姉さんと教会のリリエッタさんぐらいだけだよ」
「ふーん。少ないね。
幼くても魔法は使えるのに勿体ない。
流石に若くて上手い使い手は少ないだろうけど、君の適性は?」
「適性?」
「そう適性。
まぁ、分かってるけど、ちゃんと知ってる? って話し」
「まだ、知らない。
上級学院に入ったら検査をするって聞いたけど……」
「そうかぁ……。
まぁ、何となくそうだろうとは思ったけど……」
飛び回るのを止めた蜥蜴が渋い顔をした。
得体の知れないノリからシリアスに変わられると身の危険を感じる。
僕が少し身構えると蜥蜴が気軽に言った。
「君に
しばらくこの迷宮を自由に攻略するといい」
「
「
そう言って空中を舞うと一瞬で消えた。
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