第19話
「これは珍しい客だ。
白虎か。まだまだ幼いが……」
突然現れた蜥蜴が喋った。
掌に乗るような銀色の蜥蜴が空中に浮いて喋っている。
「うん? 貴方は何なんだ?
訳の分からないことを。
僕は白虎じゃない。
「ほぅ。
鍛えれば判る」
空中で宙返りをしながら銀色の蜥蜴が言う。
「ん? 力が弱い?」
「おっ、良い腕輪をしてるね。それに
……の割には使ってないのか?」
蜥蜴がスーッと寄って来て僕の周りをクルクルと回った。
「腕輪は着けてるし、
これは今さっき手に入れたばかりだ」
「ふーん。そうなの?」
それまでのほほんとしてた蜥蜴が動きを止めた。
ちょっとした雰囲気の変化に戸惑いつつ、その違和感から剣を握る手に力を入れた。
直後、蜥蜴が光を放った。
咄嗟に右に避けて、即座に
ガキッ!
蜥蜴が空中で剣を受けて無傷のまま浮いている。
「うーん。まだまだだね」
「どう言うことだ」
力を入れても押すことも引くこともできない。
完全に押さえ込まれている。
怒りを抑えて蜥蜴に尋ねた。
「まだ僕には勝てないよ。
でも、初めての十階層踏破者だから、特別にプレゼントをあげる」
「……」
「別にそんなに難しく考えなくてもいいよ。
せっかくだから、この迷宮で手に入れたアイテムの使い方を教えてあげるだけだよ」
急に先ほどの殺気が消えて、蜥蜴が剣を外すと肩から力が抜けた。
「どう言うことだ?」
釈然としないから、同じことを呟くしかできなかった。
「まずは腕輪の使い方だけど、ただ腕に着けるだけじゃもったいないんだ。
そこに魔力を流すと
例えば、足元に落ちてる石を拾ってから魔導具を起動してごらん」
意味が分からないけど、魔導具の効果なんて試して見ないと分からない。魔力を流すってどうやるのかも分からない。
しかし、……試してみれば何か判るか。
「
……何も変化が無い。
「身体の奥から魔力を流すんだよ」
「はぁ?」
「はい、もう一度やってみて」
蜥蜴に言われて、もう一度左手を突き出す。
「
すると、右手の石が消えた。
「あっ。消えた……」
「そうそう、それで良いんだよ。
そのまま、腕輪を確認してごらん」
言われて左手の腕輪を意識する。
特に変化が無いので、グッと左手の拳を握り締めるようにすると、腕輪の中に石が入ってるのを感じた。
……見えないのに、こんな小さな腕輪かのに中に入ってる。
魔導具凄い。
「できたようだね。
せっかくの
次は
まだ契約相手がいないみたいだから、特別に僕が用意してあげるよ。
出てきて
どこからか淡い光を放つ小さな虫が飛んで来た。
僕が右手を差し出すとその上に留まった。
銀色の黄金虫。他には何も変わりない。
「精霊にも色んな種類がいるし姿も様々だ。
今日は特別に君と相性の良い精霊、
今度も具体的な説明なしにやってごらん、かよ。
僕はさっきの
「
そこで意識を
読めるような文字じゃない。記号のような魔法陣のような何かだ。
小さな魔法陣が白紙のページの中央に滲むように浮かび上がる。
「無事、契約できたようだね。
ちなみに、お互いの承諾がないと契約できないからね。
それじゃ、
契約は終わってるから、
人によっては自分の魔法に妖精の力を貸してもらうとか色々あるみたいだけど、まずは
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