第17話

 五階層に入り魔石亜人形ストーンゴーレムが出て来たとき、サラティ姉さんが蒼光銀ミスリルレイピアの一撃で倒した。

 二メートルを超える魔石亜人形ストーンゴーレムが頭を貫かれてそのまま真後ろに倒れる。


 サラティ姉さんの剣技は僕よりもかなり上なので、僕が力任せに長剣で殴るよりもスマートで早い。

 サラティ姉さんのおかげで魔石亜人形ストーンゴーレムの弱点が頭だと分かった。


 魔泥亜人形マッドゴーレムは泥の粘性捕食体スライムに近い感じだったので、ブスブスと長剣を突き刺して中にある核を壊してきた。


 魔石亜人形ストーンゴーレムは人間に近い体をしていて体をバラバラにして倒してきたけど、頭が弱点なら僕が頭を長剣で切り飛ばすのもありだ。

 残念ながら少し身長が足りなくて長剣が届かないので、少し工夫が必要だけど……。


 サラティ姉さんがレイピアで戦うことで魔物モンスターとの戦い方も変わっていく。


 魔石亜人形ストーンゴーレムの体は魔力の宿った石でできている。

 スファルル姉さんへの手土産に腕の一部を砕いて衛士の忠犬パックスに持ってもらった。


 慣れてくると危なげなく魔石亜人形ストーンゴーレムを倒せるようになり、六階層に入った。

 六階層の敵は五階層と同じだった。


 粘性捕食体スライム魔泥亜人形マッドゴーレム魔石亜人形ストーンゴーレム

 かなり偏った魔物モンスターの編成だ。


 集団暴走スタンピードで溢れ出した魔物モンスターとも違うし、何か理由があるんだろうか?


 蒼光銀ミスリルの短槍を見つけたので、パックスに預けて更に先に進む。

 本当に限定特典リミテッドボーナス蒼光銀ミスリルの武具、防具が揃いそうだ。




 七階層に入ると新しい魔物モンスターが出てきた。


 これまでの魔物モンスターに追加して大型の黒い鼠、狂黒鼠マッドラットが増えた。野生の黒鼠というか、大きくなってほとんど猪みたい鼠が凶暴化したものだ。毛皮が厚くなり刃が通りにくくなっている。

 体長一メートル程の黒鼠が赤い眼をして噛み付いてくるのはあまり気持ちの良いものではない。


 衛士隊のアデスが鉄剣で狂黒鼠マッドラットに斬りかかったけど毛皮で弾かれ、体当たりで吹き飛ばされる。

 カバーに入った僕が斬りつけると、蒼光銀ミスリルの長剣はアッサリと狂黒鼠マッドラットの首を落とした。


 相変わらず鉄剣では刃が立たない。蒼光銀ミスリルの武器を持っているから先に進める。

 少し優越感を感じながらも、危機感を感じる。

 この先、どこまで硬くなるのか?

 蒼光銀ミスリルでどこまで行けるのか?


 不安を感じながらも八階層、九階層と進む。

 鉄爪土竜アイアンモール一刀兎ソードラビット茜牙魔狼マダーファングヴォルフ

 現れる魔物モンスターが徐々に、自然の生き物が魔力に侵された姿になって襲って来る。

 更に深く潜ると、鹿や熊も現れそうだ。


「サラティ姉さん、疲れ具合はどうですか?」


「まだ大丈夫だけど、少し休憩できるといいかな」


「シルヴィア姉さんは?」


「私の方は大丈夫。今日は昨日ほど魔法を使ってないからね」


 衛士隊の三人はあまり戦闘をしていないので、まだ余裕がありそうだ。


 休憩場所を探してる内に十階層の階段が見えた。

 これまでのところ漏れなく限定特典リミテッドボーナスを手に入れている。


 蒼光銀ミスリル戦棍メイスロッド戦斧アックス。そして片手剣。

 見事に蒼光銀ミスリルの武器が各種揃っていた。


 パックスだけではなく、ロッジにも分担して持ってもらっていると、そろそろ戻る頃合いに思えてくる。


「十階層で神授工芸品アーティファクトを見つけたら戻りましょう。

 ただし、十階層は区切りの階層なので一際強い階層主フロアマスターがいる可能性もあります。

 その場合は生き延びることを最優先します」




 そして、十階層に降りた。


 十階層は真っ直ぐな一本道になっている。

 結構長い。


 真っ直ぐ進んだ先に両開きの大きな扉がある。


 高さは三メートル、横幅は二メートルほどの石の扉。

 何やらうねるような紋様が施してあり、右と左で二匹の蜥蜴が向かい合うように配置されている。

 尻尾を上に上げて、下を向いた蜥蜴が舌を出している。


 この奥に階層主フロアマスターがいるのは間違いないようだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る