第13話
「どうする? ここで引き返す?」
シルヴィア姉さんの質問に対して、少し考える。
ここまで順調に探索を進めて来た。貴重な
しかし、まだ
「もう少し進みましょう。
何か他の
「分かった。私の魔法はまだ試していないけど、そろそろ試してみる?」
シルヴィア姉さんの声がちょっと上ずっている。
初めて見る
「……うーん。もう少し様子を見ましょう。
魔力には限りがありますし、試すだけなら戻るときにリスクの少ない場所でも試せますから」
「そう……。そうね。分かった」
シルヴィア姉さんの顔は残念そうだけど、迷宮内で何が起こるか分からない。安全策を取ることにした。
街に残っている父さんたちはどうしてるだろう。
僕が街に残っていたら、これまでのこと、これからのことを色々考えてしまい答えのない問いを繰り返しているような気がする。
こんなことを考えるなんて、順調に進んでいて気が抜けたのだろうか?
今、未知の迷宮を進み身体を動かすことができて良かったと思う。
新しい刺激を受けて前に向いて歩くことができるから……。
腰に下げた、新しく拾った
三階層。
一階層と二階層は
未だに
しかし、こんな最初の階層でさえ
恐るべし迷宮。
資源の宝庫と言われても納得せざるを得ない。
三階層になってから色の違う
一階層、二階層だと水色だけだったけど、薄い緑色や茶色の
粘性や属性が違うと思うけど、戦うつもりはないので無視して進む。
三階層はより広い空間が続くようになった。
端の方まで見通せないので、どの方向に進めば道が続いてるのか分からない。広間の中央に何があるのか気になるけど、迷子になっては困るので右の壁に沿って先に進む。
「そろそろ休憩を考えたいので次の広間に入ったら周囲を確認して、
先頭を歩きながら声をかける。
と、目の前に丁度開けた場所が見えて通路部分から中を覗いた。
「シルヴィア姉さん、魔法で
二匹なので、倒せたらここで休憩します」
「もちろんいけるわ」
通路の影で
「火の神ヴェスタよ、我が願いに応えよ。
我が力に汝の力を貸したまえ。
我が願うは炎の顕現。
我が敵を燃やし尽くしたまえ。
シルヴィア姉さんが杖を突き出すと、長さ三メートルほどの巨大な炎の槍が宙に現れ一匹の
炎の槍が
僕は念のため通路から中に入りシルヴィア姉さんを守って鉄の片手剣を構える。
姉さんがすかさず次の詠唱を始めた。
ゆっくりとズルズルした動きで近づいてくる。
「……
詠唱の部分がよく聞こえなかったけど、先ほどと同じように炎の槍が
片手剣を構えたまま
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