第12話
重大な使命を帯びて迷宮に潜ることになった。
とは言え、迷宮には物理攻撃に耐性のある
しかし、メイクーンには魔術師は二人しかいない。
一人はシルヴィア姉さん、もう一人は
魔術師の出生率は一万人に一人と言われているので、人口一万人の街に二人もいれば一般的な比率より多いのだけれど……。
悩んだ結果、シルヴィア姉さんに同行してもらうことにした。
リリエッタさんは領内で唯一の治癒魔法の使い手なので、怪我人が溢れてる状況で連れ出す訳にはいかない。
シルヴィア姉さんも普通であれば連れ出せないのだけれど、何故か僕の護衛扱いで同行してくれることになった。
あとは、衛士隊から若手で体力のある男性が三名。衛士隊の訓練に参加したこともあるサラティ姉さんの指名で槍が得意なパックスとロッジ、アデスが選ばれた。
パックスは種族が秋田犬で、グレーの毛並みが力強い忠犬。ロッジは尻尾の短いブチ、アデスは尻尾の長い虎猫だ。
「
戦闘すると剣が腐食してしまうし、動きが遅いから回避できると思う。
シルヴィア姉さんも囲まれない限り魔法は使わないで。
できれば一階層目は素通りして下に進みたい」
迷宮に着くと簡単に方針を説明した。
昨日の片手剣とは別の新しい片手剣を持ってきたけど、
陣形は先頭が僕。ロッジ、アデス、シルヴィア姉さんと続いて殿がパックス。
僕が道を切り拓いて何かあればシルヴィア姉さんが魔法で活路を開く。パックスたちはシルヴィア姉さんの護衛兼荷物持ちだ。
人数が少ないと運べる荷物が減るし、持って帰れるアイテムも減る。
かといって
そうして決まったメンバーだ。
一階層目は既に経験済みなので、
前回の短剣を拾った行き止まりの広間に行かないようにして分岐を選ぶと下り坂に出た。
とりあえずその下り坂までを一階層目、下り坂の先を二階層目とした。
父さんから聞いた話だと、迷宮は階層構造になっていて十階層ごとに
階層を数えておくことで、
迷宮探索には必要なスキルらしい。
二階層。
歩くより少し遅いペースで迷宮を進む。
振り返ると一階層はただ勘で進んでいただけだけど、ほぼ最短距離を歩いたようだ。
それでも十数回
体感的には一時間ほど歩いて二階層に入ったので、距離にすると四キロメートルまではなくて、約三キロメートル程度だと思う。
二階層目も勘で進んで行くけど、一階層目に比べて明らかに広い空間が増えた。
一階層目は通路が主だったけど、二階層目は所々に大広間のような広いスペースで繋がっている。
そんなスペースに何体かの
「広い場所が続くと方向が分かりにくいね」
「そうですね。暗くはないですけど、明るくもありませんから距離感も掴み難いです」
ん?
広間の中央に何か立ってる。
二個目の広間に入って広間の様子を伺うと、何匹か
「少しここで待っててくれる?
中央の棒を見てくる」
そう言うと僕は
中央部分は少し盛り上がって周囲が少し明るくなっている。
剣?
そこに長剣が一本立っていた。
装飾を施された鞘に入って真っ直ぐに地面に立っている。いや、突き刺さっている。
長剣の側に近寄ると、一瞬躊躇ってから長剣を地面から抜いた。
……特に仕掛けはない。
長剣を鞘から抜く。
迷宮で拾った短剣と同じように蒼白い刃渡りをしてる。
一階層で短剣を拾ったときと同じように
僕の様子を見ていて危険はないと判断したらしい。
「それは?」
「
一階層のときはもっと小さな場所で端の方に落ちていたのですが、今回は目立つところにありましたね」
「この迷宮に
「はい。有り難くもあり、困ったことでもあります」
「どうする? ここで引き返す?」
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