錯乱クレイヴェロウ

エリー.ファー

錯乱クレイヴェロウ

 菱形の憂鬱について幾つかの解説を行う前に、考えを改めなければなりません。ビジネス的思考には、百点の選択など存在せず、解釈は無限に広がります。クレンデス事件を解決したハキムナウディバは、完全からほど遠い生き物が完全な行いを目指すのは不完全な理解の上である、と語っています。間違えてはならない点としては、この不完全な理解の上であることが、努力やアプローチなどの無意味さを表現しているわけではない点です。往々にして、この言葉はハキムナウディバの意思に反した使われ方をする場合があるので、気を付けてください。いずれにしても、私たちはハキムナウディバのように優秀なわけでも、才能があるわけでもありません。何かに追いつくためには、それに応じた努力や忍耐が必要となってくるわけです。研究の結果、人間の集中できる時間の平均は四時間十八分と判明していますが、一つの目標を持ち続け、また目指し続けることのできる期間の平均については分かっていません。この部分について、人それぞれであると言い切ってしまうのは簡単ですが、今現在の情報から推察をしてみようと思います。まず、アジア人の中でもずば抜けて活躍した芸術家と言えば愛出田 弥一郎が非常に有名ですね。彼は十八歳の頃にSNSの原型となる、鳳縄蔵前葛越前板を発明し、かの有名な平賀 源内と共に江戸中で流行させました。この背景には愛出田が、井倉出身で訛りが非常に強く人前で喋ることにコンプレックスを持っていたことが知られていますが、他にも、吃音などにも悩まされていたのではないかとも考えられています。さて、この愛出田が鳳縄蔵前葛越前板を思いつき、実現までに要した期間は約六年と言われています。次はハイル海域の王として生涯君臨し続け、フィルモア軍、エンディウプス軍、ローマ軍を破って恐れられたヨーロッパの暴君、ハンドール王についてです。最近の研究では、同性愛者であったことが分かり、現在の社会状況と相まってよく聞く名前になったことと思います。ハンドール王が成し遂げた偉業は数多くあります、翻訳という行為をビジネス化する、片手で持てるほどの軽い指揮棒の発明、ハンガーの発明、ワインのラベルであるエチケットの発明、時間によって挨拶を変える習慣を根付かせる、麻酔の研究に多額の資産を投じ現在の麻酔についての基礎を形成する、等々数えたらきりがないでしょう。その中で最も有名なものは、北半球と南半球の定義を作ったことです。当時は、余り評価されなかったようで、ハンドール王が公の場で発言したとの記録もありませんが、彼と仲の良かった気象学者たちの日記からは、それを示す記述が多く見つかっています。彼が夢を思いつき、そして叶えるまでの期間は非常に短く平均で一年弱となっています。最後に第二次世界大戦で活躍したグゥメハを紹介しましょう。ラダァーイ一族の出身でありながらアメリカ陸軍の中将となり、最後にはアメリカを裏切ってミャンマーに亡命した後、画家として大成するというドラマのような人生を駆け抜けました。戦場の哲学者と呼ばれ、自重主義で有名なフランスの哲学者ゴーゴルドマンの影響を強く受けた数々の発言は、アメリカ陸軍の動きを完全にコントロールするまでに至りました。嘘です。

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